エムズ皮フ科形成外科クリニックのAyaです😊
先日、5月12日は「国際看護師の日」「看護の日」でした。この日は、近代看護を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日。そして今年はナイチンゲール生誕200周年です。
この時期になると看護学校では「戴帽式」が行われます。
「戴帽式」とは、教員や看護部長さんからナースキャップを戴く儀式です。ろうそくの灯りを受け取り、そのキャンドルの明かりの中でナイチンゲール誓詞を朗読する、とても厳かな雰囲気の式です。
ご存知ない方も多いと思うので、ナイチンゲール誓詞をご紹介します。
【ナイチンゲール誓詞】
われはここに集いたる人々の前に厳(おごそ)かに神に誓わん
わが生涯を清く過ごし、わが任務(つとめ)を忠実に尽くさんことを。
われはすべて毒あるもの、害あるものを絶ち、
悪しき薬を用いることなく、また知りつつこれをすすめざるべし。
われはわが力の限りわが任務の標準(しるし)を高くせんことを努むべし。
わが任務にあたりて、取り扱える人々の私事(しじ)のすべて、
わが知り得たる一家の内事のすべて、われは人に洩(も)らさざるべし。
われは心より医師を助け、わが手に託されたる人々の幸のために身を捧げん。
🕯🕯🕯🕯🕯
毎年この時期になると、辛い病院実習を仲間と共に乗り越えた学生時代や、これまでに関わったたくさんの患者さん達を思い出します。
その中でも特に忘れられない、新人時代の経験をお話ししたいとおもいます。
______________________
ある大学病院の小児病棟で出会った、小児癌を患う中学生の男の子。化学療法のため髪の毛は全て抜け落ち、末期のためほとんど寝たきりとなっていました。
ある準夜勤務の日、深夜ナースへの申し送りも終わり、あとは記録をして帰るだけという、新人にしては珍しく順調な夜にもかかわらず、その子が突然「お風呂に入りたい」と言い出しました。
時間は深夜… 付き添いをしていた彼のお母さんは私たちに気を使い、「明日にしよう」と促していましたが、どうしても入りたいという彼。シャワーや入浴は人手のある日勤帯で実施することになっていましたが、彼は数日前より体調が優れず、お風呂に入れていませんでした。
たまたま彼の主治医が当直で院内に。深夜のシャワー浴の許可もおりたため、主治医も一緒になりみんなでお風呂に入れようということになりました。
新人の私の心の中は、正直穏やかではなかったです。なんでこんな時間に… 今日は早く仕事が終わりそうだったのに… そんな気持ちで浴室での介助にあたりました。ストレッチャーごとのシャワー浴。たまたま頭側にいた私は洗髪担当となり、髪の毛のない坊主頭をとくに念入りに洗ったのを覚えています。
数日後、彼は天国へ。
病院から出る彼の最期を、スタッフみんなでお見送りしました。その時の彼のお母様からの言葉に私は涙が止まらず、そしてその言葉は20年近く経った今でも忘れることができません。
「あの時、頭洗ってくれてありがとうね。すごく気持ち良かったみたいで、あの後も毎日毎日頭洗って欲しいって言ってたのよ。」
……
私、あの時どんな気持ちでケアしてた?なんでこんな時間に…って思いながらやってよね?
すごくすごく申し訳なくなり、あのシャワーの日に戻ってやり直したいという気持ちにまでなりました。ごめんね、もっともっと心を込めて洗ってあげれば良かった。
それから私は、患者さんの洗髪が大好きになり、とくに大事にするケアのひとつになりました。人工呼吸器を使用している患者さんでも、時間と人手に余裕のある時は、ベッド上でガシガシ洗髪をするように。(もちろん安全には配慮しております😂)
患者さんひとりひとりのニーズを知り、気持ちや思いを汲み取って看護すること。彼に教えられたとっても大切な教えです。
_______________________
「看護の日」
この日になると、今まで出会ったたくさんの患者さんたちの顔や、その方々と過ごした時間が思い出されます。
そして、毎年初心を思い出させてくれる大事な日です😊