まず、まぶたを挙げる筋肉には、眼瞼挙筋(眼瞼挙筋)、ミューラー筋、の2種類があります。
そして、これら筋肉とまぶたの先端にある瞼板をつなぐ役割が挙筋腱膜という組織です。
眼瞼下垂症の多くでは、挙筋腱膜が伸びてしまったり、切れてしまっているために眼瞼挙筋にいくら力をれいても(まぶたを挙げようとしても)先端である瞼板まで力が伝わらず、結果的にまぶたがあがりません。
通常、人が物をみるためには意識的にまぶたを挙げた状態にする必要があります。そのときに使う筋肉が眼瞼挙筋です。
一方で、眼瞼挙筋の下に位置するミューラー筋は、自らの意思でコントロールできない筋肉です。このミューラー筋は自律神経(交感神経)によって調節されています。
つまり、その人が置かれた状況や必要に応じて筋肉が働きます。例えば、身の危険が感じたときには、体内では緊急事態であると感じて交感神経が興奮します。
そういった状況では、身の安全を確保するためにより多くの情報を視覚的に取り入れる必要があります。そのため、まぶたを大きく開けて視野を広げようとするのですが、その時に活躍する筋肉がミューラー筋なのです。
実は、眼瞼下垂症では腱膜が伸びてしまったり、切れてしまっています。眼瞼挙筋がいくら収縮してもまぶたが上がらないので、なんとかしようと代わりに活躍してくれるのが先ほどのミューラー筋です。
ですが、このミューラー筋が興奮しても、腱膜に異常があればまぶたは挙がらないのは当然です。
しかも、この異常な興奮によって余計な負荷が全身がかかり、頭痛や肩こり、イライラなど交感神経の興奮による弊害が起こるのです。
ですから、頭痛や肩こりの慢性的な症状が実は眼瞼下垂によるものだったというケースは多くの方で見られます。