この施術に関して
鼻を高くすることを隆鼻といいます。隆鼻術は昔から行われていた手術です。鼻を高くしたいというのは誰しも一度は思うことかもしれません。シリコンは人工物ですが鼻を容易に高くすることができます。一方で様々な問題があります。異物なので感染、柔軟さがないので飛び出しや変位などが挙げられます。また、自然か?というと疑問が残ります。そのシリコンを取り除いた場合、術前と同じくらいの鼻の高さが希望される方にはこの真皮脂肪移植術は良い適応だと考えられます。
麻酔は局所麻酔と静脈麻酔を併用して行います。
右の鼻腔縁からアプローチしてシリコンを抜去します。長期にわたり留置されていたためシリコン裏面には石灰化沈着が認められ組織と強固に癒着しておりました。癒着を解除して抜去しました。
抜去したシリコンインプラント↓
真皮脂肪は鼠蹊部より採取しました↓
抜去した直後と真皮脂肪移植を行った直後の比較です↓
シリコンを抜いた後の鼻の高さと真皮脂肪移植をした後の鼻の高さを比較したものです↓
術後の経過
治療前
術中所見①
術中所見②
術直後
術後3週間
施術カテゴリー
施術の説明:
シリコンインプラント抜去+真皮脂肪移植による再建
施術のリスク:
血、感染、脂肪の萎縮、術後瘢痕問題(ケロイド、肥厚性瘢痕などの発生)、麻酔によるアレルギー
施術費用:¥400,000(税別)
本日は、鼻プロテーゼ(シリコンインプラント)を抜去した後の再建をご紹介します。
今回ご紹介する方は、以前に大怪我をされたようです。その際に鼻を骨折したり、その後に鞍鼻といって鼻が潰れたようです。その際、再建に使用されたのが人工物であるプロテーゼ(シリコンインプラント)でした。
とくに、豊胸や乳がん術後の乳房欠損に対する乳房再建では組織欠損部位が大きくまた自家移植(広背筋皮弁、腹直筋皮弁など)では侵襲が大きいため、それを補うのにシリコンインプラントを用いることが当然のように行われています。
しかし、この乳房再建で問題が生じております。最近のニュースなどでご存知かもしれませんが、
ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA–ALCL)
というシリコンインプラントが原因で起こる病気です。
詳細などはまたの機会にお伝えしますが、シリコンインプラントは異物です。上記と矛盾することかもしれませんがたとえ異物反応が少ないとはいってもゼロではないということです・・・。
したがって、今回の方は『異物を取り除きたい、異物感から解放されたい』という思いがありました。
鼻プロテーゼ(シリコンインプラント)を取り除くことはそれほど難しいことでありません。。。
では、取り除くとどうなるか?
鼻プロテーゼ(シリコンインプラントを取り除くと鼻は確実に入れている時と比べて低くなるというのは直感的にお分かりかと思います。
取り除いた後どうするか?シリコンで入れられていた分、鼻は高いはずです。その取り除いたところに補うのには人工物ではない自家移植(自分の組織)が必要です。
そこで、今回ご紹介するのは真皮脂肪移植術です。