Before/施術前
After/施術後
Before/施術前
After/施術後
Before/施術前
After/施術後
Before/施術前
After/施術後

この施術に関して
バセドウ病眼症とはバセドウ病(甲状腺機能亢進症)を発症した方すべての人に起こるわけではありません。なぜ起こるのか?は明確ではありません。眼球が収まっている箱である眼窩内に炎症が広がりそれを抑えるために脂肪組織が増殖するのではないのか?ということが推測されます。一旦、増殖した眼窩脂肪組織は甲状腺の状態が落ち着いたとしても不可逆的でもとに戻ることはありません。今回紹介したケースでも既に甲状腺機能は正常化しておりましたが、眼窩内の脂肪(MRIで明らか)は増殖したままです。外科的=手術でしか改善することができません。
治療としては、MRIで確認した眼窩脂肪を上まぶた・下まぶたから適量摘出しました。そして、一部ROOFと呼ばれる眼輪筋の下にある脂肪組織もとっています。黒目の大きさは修正(=挙筋前転、修復など)していません。
腫れぼったい、目が飛び出た印象はなくなりました。左右の二重幅と黒目の大きさに左右差は認めておりますが、ご本人としては満足されており現時点では修正などは予定しておりません。
バセドウ病では外眼筋や眼窩脂肪に炎症が起きます。すると、炎症による腫れのためにその体積が増え、眼窩内圧(眼窩内の圧力)が高くなります。その結果、眼球が前へ押し出されて「眼球突出」が起こります。
今回のケースの場合では、

MRIを撮影すると外眼筋といって目の周りある筋肉(眼球を動かす筋肉)の腫れはありません。一方でその周囲にある脂肪組織が多くそれによって眼球突出が起きていました。

摘出した脂肪です。
術後の経過
治療前
術前の状態です。横からみると明らかなのですが、いわゆる『腫れぼったい目』の状態です。
術前マーキング
摘出する脂肪の範囲をマーキングします。
術中所見①
まず眼窩隔膜を切開します。
術中所見②
眼窩脂肪を引き出します。炎症のためか脂肪は繊維組織に覆われていました。
術中所見③
癒着を剥がすとご覧のように眼窩脂肪が飛び出てきました。この後、上瞼ではROOF切除も行いました。
術中所見④
下まぶたでは皮膚を切らないで、『あっかんべー』をした結膜側からアプローチを行い中央と内側の眼窩脂肪を摘出しました。
術中所見⑤
摘出した脂肪です。
術直後
術直後の状態です。
術後1週間
術後1週間でまぶた全体に腫れがあります。
術後1ヵ月
術後1ヵ月すると腫れは引いてきます。
術後3か月
術後3カ月では腫れはなくなります。




バセドウ病という病気をご存知でしょうか?
今回はバセドウ病後に起こるバセドウ病眼症のケースをご紹介します。
バセドウ病とは、
甲状腺ホルモン(FT3, FT4)の分泌が過剰になる病態(甲状腺機能亢進症)の代表的な疾患が「バセドウ病」です。バセドウ病は別名、グレイブス病ともいわれています。これは、アイルランドの医師Graves(グレーブス)によって、1835年に初めて報告されたからです。海外では甲状腺機能亢進症のことをGraves Diseaseともいわれます。 1.甲状腺腫大 2.眼球突出 3.頻脈 がバセドウ病の3徴といってバセドウ病の患者さんにみられる代表的な症状です。多くの甲状腺亢進症状は内科的に治療することが可能です。しかし、眼球突出に関しては一度突出すると、甲状腺ホルモンが正常状態に戻っても多くは改善しません。眼球突出に関しては外科的治療が必要となります。