切らない眼瞼下垂=経結膜的切開法を行なった方です
50代 女性
コンタクトレンズ使用を長期にわたる腱膜性眼瞼下垂症の方でした。
5年前より眼瞼下垂症状が認められ、2年前に眼科で右側のみを皮膚を切開する眼瞼下垂症の手術を受けました。
今回、眼瞼下垂症再手術にあたり、
①経皮的(皮フ切開あり→腫れる)
②経結膜的(皮フ切開なし→腫れない)
手術内容と今後の予後に関して説明したところ、
②の経結膜的眼瞼下垂症手術、いわゆる『切らない眼瞼下垂』を選択されました。
↓施術前の状態です。
(フラッシュあり)を見て分かりますように、瞳孔部分に光が反射されて白く写っています。上まつ毛からその白い円形の部分までの距離ですが、右側の目の場合、白い円形の上の部分が欠けてしまっています。これだけ見ると眼瞼下垂症重症度分類の軽〜中等度のようにも思えます。
ところが、
①写真コメントにもありますように目の上が窪んでいる、
②二重幅が広い、
③右側の眉が上がっている(写真ではおでこの状態を見ることはできませんが、シワがあります。)
を認めるので、代償(=他の部位の働きで頑張っている!)されている状態です。この状態が継続すると眼精疲労、頭痛、肩こりなどの障害が起こるようになるのです。
施術直後の状態です。
施術前と施術後の比較です。前後で比較すると治療効果は著しく改善されたかと思います。
この方も大変結果に満足頂けております。
ですが・・・、
気になると言えば、右目と左目の二重幅の違いがあります。元々(オリジナル)生まれつきの二重の幅は左目です。基本、経結膜法(切らない眼瞼下垂)では表の皮膚を操作しないので、術後に二重の幅が変化することはありません。施術前の二重幅が左目のように復活します。
どうして、右目は左目と同じ二重幅が出ないのでしょう?
それは、↓
右目は2年前に眼科で一度手術を受けています。経皮的(皮膚を切る)な手法です。その手術の時に前の施術医は上の写真にもあるようにまつ毛から5mm上に切開線を設けたようです。おそらく、前執刀医の手術に対するコンセプトがあってのことかと思います。
一般的に皮膚を切開する(経皮的眼瞼下垂手術)する場合、整容的な配慮を考えるとまつ毛から5mm上で皮膚を切開することはありません。標準的には7〜8mmです。例外的に二重幅を大きくしたいとか、高齢者(前回ご紹介した)における眼瞼下垂では10〜12mmで設定する場合もありますが、7〜8mm以下の設定は整容的な結果を望むのであれば難しいように思えます。
*どうしても、幅が狭いものを望むやその人にとって奥二重の位置になるものは例外です(その場合は切開法を用いる必要はないのですが・・・)が、
特にこの方では、左目が9mmなので左右のバランスを考えると9mm設定でもよかった思います。
一般的に眼瞼下垂手術は、機能改善(眼瞼挙筋機能を回復させること)を主たる目的とするのは当然でしょう。ですが、目という大事な器官は、視力という機能だけではなく、見た目という機能の両方を併せもつ重要な部位です。ですから、整容的な配慮をしつつ機能を改善させることが私なりのこの手術に対するコンセプトです。
結果的、この方の場合は右側が三重瞼(=二重ではなく三重になっています。)になっています。眼瞼下垂症手術や二重手術の術後合併症で『予定外重瞼線』というものがあります。これは、設定した部位(切開線)よりも上=眉毛側で三重になる現象なのですが、この場合は不自然な目の形態となります。今回は、下=まつ毛側で発生しているので正面視で見ても全体的な『見かけの二重幅』はほぼ左右差なく同じなのでそれほど不自然ではないかと思われます。
*ご本人には、後日になって三重瞼を治療されたいのであれば、いつもで来てください、とお伝えしております。
今回のケースを通して、当然ですがいかに初回の手術が重要であるかと再認識させていただきました。
眼瞼下垂症の
手術合併症
出血、感染、術後瘢痕問題(ケロイド、肥厚性瘢痕などの発生)、麻酔によるアレルギー、再発、ドライアイ、一過性の視力低下、顔貌の変化、二重の左右差、上まぶたの皮膚知覚障害など
眼瞼下垂症の
料金
粉瘤手術にかかる自己負担金
眼瞼下垂症手術(挙筋前転法):片側 約 ¥22,500円
眼瞼下垂症手術(挙筋前転法):両側 約 ¥45,000円
切らない眼瞼下垂手術(自費診療) |
切らない眼瞼下垂(埋没式):片側 |
100,000 |
切らない眼瞼下垂(埋没式):両眼 |
150,000 |
切らない眼瞼下垂(切開式):片側 |
200,000 |
切らない眼瞼下垂(切開式):両眼 |
300,000 |