先日、近医皮膚科よりご紹介をいただいた98歳 女性の方です。
下の写真にあるように左頬部にできた隆起性の皮膚病変、急速に大きくなり、腫瘍直上より出血が認められるということでご紹介をいただきました。
病理組織の結果は以下のとおりです。
偽癌性軟属腫(ケラトアカントーマ)切除
ケラトアカントーマは、急速に成長する皮膚腫瘍で、毛包に由来し、扁平上皮癌と組織学的に類似します。自然消退をすることがあり、消退傾向を示す高分化型の有棘細胞癌であると考えられています。
しかしながら,必ずしも消退するわけではないため,また、自然消退後はかなりの瘢痕を残すことがあるので、生検または切除が推奨されます。
耳側にある衛生病変(結果は脂漏性角化症でしたが)も含めて切除しました。傷跡がまだ残っていますが、徐々に消退するものとを思われます。
そして、左頬の治療が一旦落ち着いたところで、ご家族より目(眼瞼下垂症の治療)を改善するご希望があり、治療を行いました。
今までで最も高齢の方の眼瞼下垂症手術
ご高齢の方ということで思い出すのが、
『ご高齢だからという理由だけで治療をしないのは医療側のエクスキューズ(言い訳)だ! 年齢というファクター(因子)だけで医療者側が手術を拒むことは許されない』と、研修医時代にある著名な外科医より言われたことを思い出します。
左目はほぼ閉じており、それに伴い目脂がついて、余計、目が開けられない状態でした。
まぶたが開かない高齢者の眼瞼下垂症手術 ビフォアアフター
前回示したように、若年者と高齢者の眼瞼挙筋の比較で、高齢者における高度の眼瞼下垂がある場合には、眼瞼挙筋は脂肪変性をしているため、場合によっては通常の挙筋前転法だけでは十分なまぶたの開きが得られないことがあります。
ですが、この方の場合、薄っすらと赤〜ピンク色した繊維性組織が確認できます。
ですから、結果として右と左で多少の左右差はありますが、施術前に比べて随分と目が開けられたかと思います。
本人、ご家族より「施術をして大変良かった!」「見えるようになった!!」とお言葉をいただいております。
眼瞼下垂症の手術合併症
出血、感染、術後瘢痕問題(ケロイド、肥厚性瘢痕などの発生)、麻酔によるアレルギー、再発、ドライアイ、一過性の視力低下、顔貌の変化、二重の左右差、上まぶたの皮膚知覚障害など
眼瞼下垂症の料金 保険適用
手術にかかる自己負担金
眼瞼下垂症手術(挙筋前転法):片側(片目) 約 24,750円
眼瞼下垂症手術(挙筋前転法):両側(両目) 約 49,500円