本日、ご紹介するのは眼瞼下垂症の方お二人です。
一人の方は、以前(5年前)に眼科で眼瞼下垂症手術を受けたことがある方、
もう一人の方は、「上を見れない、横が見づらい・・・」、眼科を受診していたようですが改善しないということで先ほどの方と一緒にご来院された方です。
お二人とも70代女性で、いつもお二人で来られて、待合室の待ち時間など、おしゃべりをされている仲の良い御二方でした。
眼瞼下垂症の主な原因
眼瞼下垂症になる原因として、下記ご参照頂ければと思います。
- 生まれつき(先天性)
- ケガ(外傷)
- 老化(加齢性変化)
- コンタクトレンズ(とくにハードレンズ)
- 過去に二重・眼瞼下垂症の手術経験がある
上記がありますが、基本的には手術所見では、大きく分けて二つの状態だと考えています。
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左のType1というのは、癒着している状態で眼瞼挙筋の挙上運動が障害されているタイプ、
そして、右のType2というのは、何らかの原因で挙筋腱膜があるべきところになくて、外れてしまっているタイプ。
高齢者の眼瞼下垂の他院修正・再手術の例
症例1の方は、Type1でした。70代 女性 過去5年前に眼科で、眼瞼下垂症手術を受けられたことがある方です。
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目が重くて、上を見るのが困難だということ、そして、頭痛がするということでした。
MRD(眼瞼下垂の重症度を示すもの)は、右が0.5mm、左1mmで軽度~中等度の状態でした。
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上を見るのには、かなりおでこの筋肉=前頭筋を使ってみるような状態です。
眼瞼下垂症 再手術 所見
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順番に1.~5.を説明しますと、
1. 挙筋腱膜の下に透けて見えるものがありました。
2. 挙筋腱膜とミューラー筋の間は癒着が高度でした。
3. その癒着を作っている原因は、以前の手術でしようされた糸で、その糸が5.で示す絹糸と呼ばれる非吸収性の糸でした。
4. 癒着を丁寧に解除することで眼瞼挙筋を観察することができました。
これらの過程から推測するのには、以前の眼科で受けた眼瞼下垂症手術は、固定糸に絹糸を使用したミューラー筋タッキング法であったと考えられます。
今回、眼瞼下垂症手術において、挙筋腱膜前転法 v.s. ミューラー筋タッキングというお話は割愛して、どちらの術式においても使用される固定する糸にフォーカスを絞りたいと思います。
固定に用いるどの糸を使用するのか?
それは外科医の判断です。術者の好みや経験、そして慣習的なものなどで決まります。
ちなみに、わたしは、絹糸という種類の非吸収性の糸を形成外科医になってからは使用したことがありません。
外科医は、色々な場面で糸を使い分けをします。手術を行う上で最も重要な手術道具の一つと考えています。
ですから、エムズクリニックでは10種類を超える糸を使い分けて用いるので、常時準備をしています。糸一つでその手術の結果が決まりますから、自然とそういう感じになります。
手術にはエチコン社のプローリンという糸を使用
エムズクリニックでは、眼瞼下垂症手術を行う上で肝中の肝となる挙筋腱膜固定には、以下を使用します。
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エチコン社のプローリンという糸です。プローリンは、通常心臓血管外科などで使用される事が多い糸です。
心臓という最も重要な部位に使用されるということからもプローリンが良い糸だということはお分かりかと思います。糸自体も素晴らしく、それを刺入する針も切れ味が抜群で、変に組織を傷つけません。
1本の糸に対するコストも絹糸と比較すると何十倍もする糸です。
逆側も同様に絹糸を用いられていました。
眼瞼下垂 手術後の経過
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上記は、手術直後の状態です。
以下は、手術後1か月後の状態です。
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眼瞼下垂 手術のビフォーアフター
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明らかに目の大きさは変わっております。非常に楽になったと大変喜ばれております。
眼瞼下垂の他院修正・やり直し手術の例 お二人目 70代
次にご紹介するのは、70代 女性の方です。
眼科に受診していたようですが、『目が見えにくい』というお悩みで来院されました。
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左は重度です。瞳孔が隠れておりほとんど見えていないかと思います。
『目だけで、頭を動かさないで上を見てください~』というとこんな感じで首を後ろに曲げてみるような状況でした。
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術中所見です。
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Type2です。挙筋腱膜は通常瞼板に固定されていますが、眼瞼下垂症の方ではこのように挙筋腱膜が瞼板から離れて存在している場合があります。
眼瞼下垂 手術1ヶ月後の経過
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眼瞼下垂 手術のビフォーアフター
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上も目だけで見えるようになりました。
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眼瞼下垂症の手術合併症
出血、感染、術後瘢痕問題(ケロイド、肥厚性瘢痕などの発生)、麻酔によるアレルギー、再発、ドライアイ、一過性の視力低下、顔貌の変化、二重の左右差、上まぶたの皮膚知覚障害など
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眼瞼下垂症治療
眼瞼下垂症の料金 保険適用
手術にかかる自己負担金
眼瞼下垂症手術(挙筋前転法):片側(片目) 約 24,750円
眼瞼下垂症手術(挙筋前転法):両側(両目) 約 49,500円