今回ご紹介する方、
40代 女性 お悩み:まぶたの重み(眼瞼下垂症)、
施術名:眼瞼下垂症手術+術後ボトックス治療
です。
私がなぜ外科の中でも形成外科を専門にしたのか?それを再確認をする上でも非常にありがたいケースでした。
形成外科は、失われたもの(現在)を回復(過去)したり、コンプレックス(現在)を解消(未来)したりと、時空を超えた外科治療かもしれません。
今回の方は、40代ですが中〜重度の眼瞼下垂症でした。20年以上にわたるハードコンタクレンズユーザー出会ったため徐々に瞼(まぶた)が障害されて挙筋機能が低下し、さらに二重の幅は乱れ顔貌も変化してしまった状態でした。
まず、↓をご覧ください。
*同様な症状でお悩みの方に少しでも参考になればと、ご本人より掲載許可を頂きました。誠にありがとうございす。この場をかりて感謝の意を示します。
20年前の写真です。
画質は荒いですが、大変きれいな目元で理想的な二重幅だったということはわかります。
ですが・・・、
原因はハードコンタクトレンズです。
↓20年後の状態です。(初診時)
↓20年前(過去)、20年後(現在)の比較です。
この写真一枚ですっかり変わってしまったということが分かります。
↓手術初見です。
挙筋腱膜は通常は瞼板に付着しています、、、ですが、この方の場合、瞼板から腱膜が外れてしまっています。これでは腱膜の先にある眼瞼挙筋(まぶたを挙げる筋肉)が収縮しても力が伝わりません。
↓手術直後の写真です。
黒目の大きさもほぼ同じで瞼縁も綺麗な弧を描くアーチとなっています。
↓ですが・・・、手術後1週間後の所見ですが、
抜糸を行うと、挙筋機能は左右共に回復しているのですが、見た目(整容的)に左右差が出ていることがわかりました。左の眉毛外側を注意して写真をもう一度見て頂ければと思います。左の眉毛=眉尻が上がっていると思います。手術前から認めていたのですが手術して改善したのに(手術直後の写真をご覧ください。)戻っています。
眼瞼下垂の方に特徴的なのですが、症状が重ければ重いほど瞼が上がらないのでおデコ=前頭筋を使って代償しようと働きます。前頭筋は随意筋といって自分の意志でコントロールできる筋肉なのですが、このように長期にわたり代償が働いていると筋肉内にメモリーされてしまい、代償しなくても良い状況なのに反射的(習慣的)に働いてしまうものと思われます。
したがって、このような場合には20世紀後半の発明品であるボトックス治療を行います。
↓その結果です。
手術1ヶ月経過して人に会っても不自然さを感じないくらいに戻ったのでご本人としても大変満足して頂いております。腫れも随分なくなったのですが多少腫れは瞼縁(まつ毛の上)に残っています。通常1〜3ヶ月かけて腫れは無くなります。二重幅に多少左右差はありますが、違和感を感じないくらいになりました。腫れが完全になくなるまで、今後時間の経過を見ていく必要があります。
↓過去(20年前)と現在(手術後の状態)を比較検討しました。
目の全体像としては左右別々に見比べると結果としては満足できるものでないかと思います。どちらが良いのか?
右目:右目は過去の20年前の目に近いのかもしれませんが、外側にhooding(余剰皮膚)が起きており二重幅小さくなっています。20年経過すると年齢と共に尾毛外側の皮膚が垂れてきます。その現象が起きています。
左目:二重幅右よりも大きいです。腫れがあるのでこの段階でなんとも言えないのが正直なところですが、施術後1週間目にボトックス治療を行ったのは正解だったかなぁと考えています。レジュビネーション(若返り)としてはこのくら『見かけの二重幅』があった方が良いのかもしれません。。。
結論から言うと、まだなんと言えない状況です。後2ヶ月は経過を見ていく必要があるということです。。
変化などあればまた追ってご報告したいと思います。
まとめですが、
形成外科とは再建外科です。失われたものを取り戻し、失われた際に味わったコンプレックスなどを凌駕する結果をもたらすように努力する外科学です。
そして、眼瞼下垂症手術の難しい点は(二重術)、左右という目を扱うだけではなく、またそれに伴う多くの変数因子:眉毛の位置、黒目の大きさ、挙筋機能、見かけの二重幅など・・・・を予測判断しながら行う点にあります。
術後どの程度の尾毛下降が起こるのか?、術前のデザインでどれくらい皮膚を取るのがベストなのか?多くの形成外科医がそれぞれのセンスで行う手術です。
でも、こうして少しでも患者さんに喜んで頂けると結果(まだ途中結果ですが、)を出すと一外科医として大変喜ばしい限りです。
眼瞼下垂症の
手術合併症
出血、感染、術後瘢痕問題(ケロイド、肥厚性瘢痕などの発生)、麻酔によるアレルギー、再発、ドライアイ、一過性の視力低下、顔貌の変化、二重の左右差、上まぶたの皮膚知覚障害など
眼瞼下垂症の
料金
粉瘤手術にかかる自己負担金
眼瞼下垂症手術(挙筋前転法):片側 約 ¥22,500円
眼瞼下垂症手術(挙筋前転法):両側 約 ¥45,000円