帯状疱疹
帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV:varicella-zoster virus)というヘルペスウィルス属の再活性化による病気です。
子供のころに水ぼうそうにかかりますが、水ぼうそうが治ったあとも、ウイルスは体内の神経節に潜んでいます[潜伏(せんぷく)感染]。帯状疱疹は、その潜伏したウィルスが免疫力の低下によって再燃して起こる病気です。ですから、加齢によって免疫力が低下するため高齢者によく認められるのはそういう理由からです。また、免疫力が低下するのは加齢だけではありません。若い人で日常生活における過重労働やストレスなどによっても免疫力は低下するため、そのため帯状疱疹を発症してくる方もいます。
30代の男性 左胸部の痛みを伴う皮疹
初診時
治療2日目
治療5日目
治療7日目
帯状疱疹は、若年者でも発症します。この方の場合は左胸部に一側性に現れた水疱形成をともう皮膚の病変で肋間神経5,6領域の前胸部から側胸部、そして背部まで帯状に認められた典型的な帯状疱疹でした。
帯状疱疹は痛みを伴います。痛みを伴って写真のような赤いポツポツした皮膚症状が現れたら、発症72時間以内に抗ヘルペスウィルス薬を全身投与することで皮膚症状や、急性期における痛みの程度や期間などを短縮してくれる効果があります。
また、急性期の痛みが強かったり皮膚症状の重症度に比例して帯状疱疹の合併症である帯状疱疹後神経痛に移行することが多く、痛みが長く続く傾向にあります。
この方も仕事の多忙さで受診するのが72時間過ぎるギリギリのところでした。抗ウイルス薬を7日間服用し皮膚の症状はこのように落ち着いてきました。ですが、痛みは軽度残存しています。
*帯状疱疹は、成人のひとで人同士で移ることはありませんが、水ぼうそうにかかったことがない乳幼児には水ぼうそうを発症する可能性があるので小さなお子様との接触は控えましょう。