今回は老化に伴う上まぶたのタルミに効果的な方法〜
眉下切開法(上眼瞼リフト)について説明したいと思います。
眉下切開法は、いろいろな下記の名称で認知はされているかと思いますが、、、
眉毛下切開、眉毛下皮膚切除、拡大眉毛下皮膚切除、上眼瞼リフト、上眼瞼形成・・・など、
内容はほぼ同じものであり、眉毛の下でタルミのある皮膚を切除する方法です。
眉下切開法(上眼瞼リフト)について
老化によるタルミが上まぶたに生じた場合、余った皮膚=余剰皮膚切除を行うにあたり、以下の図に示すような2つのアプローチの方法があります。
眉下切開法と睫毛上切開法です。
眉下切開法−
眉下切開法は、以下のような方が適応となります。
- 上まぶたの皮膚が厚い
- 上まぶたの外側に余剰皮膚が多い
- ダウンタイムを短くしたい
- 偽性眼瞼下垂
偽性眼瞼下垂
睫毛上切開法−
睫毛上切開法は、以下のような方が適応となります。
- 目頭側(内側)に余剰皮膚が多い
- 二重形成を希望
- ダウンタイムは気にならない
- 真性眼瞼下垂症
眉下切開法の適応について
老化によるタルミが上まぶたに生じた場合、余った皮膚=余剰皮膚切除を行うにあたり、眉下切開法 or 睫毛上切開のどちらを選択して、上まぶた形成を行うかが重要となります。
厚く、外側に余剰皮膚があり黒目の大きさが正常の場合では眉下切開法が適応であり、黒目の大きさが小さく目頭側(内側)に余剰皮膚の多いタイプでは、睫毛上切開が適応となります。
真性眼瞼下垂症の場合では
真性眼瞼下垂症
黒目の大きさがこのように半分の場合は、眉下切開法は相対的禁忌です。
真性眼瞼下垂症では眼瞼挙筋機能が低下することで起こっています。目の上の凹みは症状を緩和するため、おデコの筋肉である前頭筋を収縮させて、持ち上げています。
眉下皮膚を切除して持ち上げたとしても黒目の大きさは変化せず、睫毛が上がったり、目が閉じにくなったりという症状が出てしまいます。
眉下切開法の適応である外側余剰皮膚が多いタイプで真性眼瞼下垂(黒目の大きさが小さい場合)では、しっかりと睫毛上切開からアプローチを行い、挙筋群の修復を行う必要があります。
この場合、幅広い切除は睫毛上切開では行わない方が良いでしょう。これは睫毛側の皮膚と眉毛側の皮膚の厚さが違います。
その間の皮膚が多ければ多いほど最後に縫い合わせる皮膚の厚み同士が異なり、不自然なまぶたになってしまうからです。睫毛上での皮膚切除の幅は最小限に抑え、幅広い皮膚切除は主に眉下切開法に任せた方が自然な仕上がりとなります。
症例によってはそれぞれの利点と欠点を考慮して、単独もしくは併用することが重要です。
また、見かけの二重幅の微妙な調整や左右差の修正などを希望するケースにおいても眉下切開法は大変有用です。
眉毛下切開法のデザイン
眉毛下切開法は皮膚を切除します。
切除した皮膚は一度切ったら元に戻すことはできません。正確に皮膚を切除するためには、正確な切除ラインをデザインすることが最も重要です。
眉下切開法の一般的な原則を下記に示します。
A=瞳孔中心を通る垂線上で、皮膚切除下端から睫毛上までの距離
B=皮膚切除下端から外眼角までの距離
C=皮膚切除の最大幅(10〜16mm)
デザインにおいては、皮膚の被さりの位置と余剰皮膚がどれくらいあるのかを正確に見極めることが重要です。
被さりの位置と余剰皮膚の量を評価します。無理のない紡錘形をデザインします。下すぎるデザインでは、のちに傷跡が目立つので注意が必要です。
眉毛下切開手術について
眉毛下切開における手術では局所麻酔下にて行えます。
上眼窩裂からでる上眼窩神経を1箇所局所麻酔を注射します。神経ブロックすることで眉毛の痛覚を減弱することができます。
上眼窩神経
血管収縮剤(エピネフリン)が添加された局所麻酔薬をデザインした皮下に散布して、出血量を最小限に努めます。エピネフリンの効果が出現するのに約10分間待ちます。
デザイン通りに正確に皮膚を切開するのですが、この切開が最後に行う縫合の仕上がりに左右するので、しっかりと皮膚を切開しなければなりません。
皮膚がガタガタになったりすると縫合しても修正ができません。注意深く切開し、余剰皮膚を切除します。
基本的には眉毛の下縁を切開します。眉毛の中に切り込む必要がある場合(拡大眉毛下切除)では、毛包斜切断法を行います。
*毛包斜切断法とはメスを斜めに寝かせて切開を行います。毛根を傷つけないで行うので、後に毛の成長が認められます。
そして、眼輪筋上を剥離して皮膚を切除します。ケースによっては眼輪筋やその下に存在するROOF(retro-orbicular-oculi fat)・眼窩脂肪(脂肪組織)を切除したり、状況によっては皺眉筋切除を行うこともできます。
切除した後に確実に止血を行います。丁寧に正確に真皮埋没縫合、皮膚縫合を行います。こうすることで術後のダウンタイムを軽減し、また術後の瘢痕を目立たなくします。
まとめ
- 1. 眉下切開法の適応は眉毛外側に余剰皮膚があるタイプ
- 2. 真性眼瞼下垂では睫毛上切開を行う必要がある。
- 3. 眉下切開法は、デザインと縫合技術が重要なポイント!