「片方の目だけ眠そうに見える」「写真を撮ると左右の目の大きさが違う」「最近になって急に片目だけ下がってきた気がする」
このような悩みを抱えながらも、眼瞼下垂症だと気づかずに過ごしている方は少なくありません。
眼瞼下垂症というと、両目とも下がるイメージを持たれがちですが、実際には片目だけに起こるケースも非常に多く、とくに生まれつきの場合や後天的なトラブルでは左右差が顕著に現れます。
片目だけの眼瞼下垂症は、見た目の問題にとどまらず、視野が狭くなる、目が疲れやすくなる、肩こりや頭痛を引き起こすなど、日常生活にも影響を及ぼします。
さらに注意したいのは、「急に片目だけ下がってきた」ケースです。この場合、単なる加齢変化ではなく、神経や全身の病気が関係している可能性もあり、放置すべきではありません。
今回の記事では、片目だけの眼瞼下垂症について、生まれつきの場合と後天的な原因の違い、なりやすい人の特徴、手術や保険適用の考え方までを詳しく解説します。
原因を正しく理解したうえで、自分に合った治療や手術を選びたい方にとって、判断材料となる内容をお伝えします。
生まれつき（先天性）の眼瞼下垂症の原因は片目だけが80%
先天性眼瞼下垂症とは？
生まれつき起こる先天性眼瞼下垂症では、約8割が片目だけに症状が現れるといわれています。これは決して珍しいことではなく、形成外科や眼科の診療現場でも頻繁に見られる特徴です。
先天性眼瞼下垂症の主な原因は、まぶたを持ち上げる役割を担う眼瞼挙筋（がんけんきょきん）の発達不全です。この筋肉の発達には個人差や左右差が生じやすく、片側だけ筋力が弱いことで、片目のみまぶたが下がった状態になります。
幼少期から以下のような特徴が見られることが多いです。
- 物心ついた頃から片目が開きにくい
- 写真を見返すと、昔から左右差がある
- 眠そう、ぼんやりした印象に見られやすい
- 額にシワを寄せて目を開けるクセがある
子どもの場合、視野が十分に確保できない状態が続くと、弱視（視力の発達障害）につながるリスクがあります。そのため、見た目だけでなく、視機能の観点からも早期の診断と治療判断が重要です。
大人になってからも、先天性眼瞼下垂症が原因で、目の疲れや頭痛、集中力の低下を感じる方は少なくありません。また、左右差が強いことで、対人関係や写真写りにコンプレックスを抱えるケースも多く見られます。
生まれつきの片目だけの眼瞼下垂症は、自然に改善することはほとんどありません。成長とともに目立たなくなることはあっても、根本的な改善には治療や手術が必要になる場合が多いのが現実です。
急に片目だけまぶたが下がる眼瞼下垂となる原因
これまで問題がなかったにもかかわらず、ある日突然、片目だけまぶたが下がってきた場合は、後天性眼瞼下垂症を疑う必要があります。特に短期間で変化が現れた場合は注意が必要です。
後天性眼瞼下垂症の原因は多岐にわたり、筋肉の問題だけでなく、神経や全身疾患が関与していることもあります。
代表的な原因として、以下が挙げられます。
腱膜性眼瞼下垂
加齢や長年のコンタクトレンズ使用、目を強くこする習慣などにより、眼瞼挙筋とまぶたをつなぐ腱膜が緩んだり外れたりすることで起こります。利き目側や負担がかかりやすい側だけに症状が出ると、片目だけ下垂して見えることがあります。
動眼神経麻痺
まぶたや眼球を動かす神経に障害が起こる状態です。脳梗塞、脳動脈瘤、腫瘍、糖尿病などが原因となることがあり、眼瞼下垂に加えて、物が二重に見える、目の動きが悪いといった症状を伴うことがあります。
重症筋無力症
神経と筋肉の伝達がうまくいかなくなる自己免疫疾患です。朝は問題なくても、夕方になると片目だけ下がってくるなど、日内変動が特徴です。
外傷や手術後の影響
目の周囲のケガや、過去の眼科手術・美容外科手術によって、片側の筋肉や神経がダメージを受けることで起こることもあります。
このように、急に片目だけ下がる眼瞼下垂症は、美容的な問題では済まされないケースもあります。自己判断せず、早めに医療機関を受診し、原因を明らかにすることが重要です。
片目だけ眼瞼下垂になりやすい人の特徴・他の病気に注意
片目だけの眼瞼下垂症には、なりやすい生活習慣や体質があります。日常の積み重ねが左右差を生む原因になることも少なくありません。
以下のような方は注意が必要です。
- ハードコンタクトレンズを長期間使用している
- 片目を強くこするクセがある
- スマートフォンやパソコン作業が多く、目を酷使している
- 過去に目の外傷や手術歴がある
- 糖尿病、甲状腺疾患、自己免疫疾患などの持病がある
注意すべき眼瞼下垂の背景に隠れている場合がある病気
「片目だけだから大したことはない」「年齢のせいだろう」と思い込んでしまうと、発見が遅れる可能性もあります。違和感や変化を感じたら、早めに専門医へ相談することが大切です。
左右差は？片目だけの眼瞼下垂症手術 保険適用やポイント
片目だけの眼瞼下垂症であっても、視野障害などの機能的な問題が認められれば、保険適用で手術が可能です。眼瞼下垂症は、単なる美容目的の手術ではなく、医学的治療として位置づけられています。
手術において特に重要なのは、左右差への配慮です。片目のみ手術を行う場合でも、反対側の目とのバランスを考えながら、細かな調整が求められます。
左右差に配慮する眼瞼下垂手術のポイント
- まぶたの高さだけでなく、目の開き方や表情全体を考慮する
- 原因に応じて適切な術式を選択する（挙筋前転術、ミュラー筋タッキングなど）
- 術後の腫れや左右差を見越したデザインを行う
保険適用となるかどうかは、視野検査の結果などをもとに判断されます。一方で、「見た目の左右差をより整えたい」「仕上がりのデザインにこだわりたい」といった場合は、自費診療となるケースもあります。
Dr.三沢
片目だけの眼瞼下垂症手術は、医師の経験や技術力が仕上がりに大きく影響します。治療実績が豊富な医師を選ぶことが、満足度の高い結果につながります。
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まとめ【片目だけ眼瞼下垂症について】
- 片目だけの眼瞼下垂症は、生まれつきの場合もあれば、加齢や生活習慣、病気が原因となって後天的に起こる場合もあります。
原因によって治療方針や注意点は大きく異なるため、正確な診断が何より重要です。
- 先天性では筋肉の発育不全が主な原因となり、後天性では腱膜の緩みや神経疾患が関与することがあります。適切な手術によって改善が期待できるケースも多く、条件を満たせば保険適用となることもあります。
- 片目の眼瞼下垂症に悩んでいる方は、原因や治療法をしっかり理解したうえで、自分に合った手術や治療を選択することが大切です。
専門医に相談し、不安や疑問を解消したうえで、納得のいく形で治療を受けることが、後悔しない第一歩となります。
