
陥没乳頭とは、乳首が本来外側に突出しているべきところ、乳輪より内側に引っ込んでしまっている状態をいいます。軽度であれば、指でつまむと一時的に出てくることもあり、生活への支障は少ないケースもあります。しかし、重度の陥没乳頭、特に「真性」と呼ばれるタイプは、つまんでも出てこない、すぐに引っ込んでしまうといった特徴があり、授乳が困難になったり、感染や炎症を繰り返したりといった深刻な問題を伴います。
多くの女性にとって乳首の形は、授乳機能だけでなく、自分の身体に対する自信やパートナーシップにも関わる大切な要素です。そのため「このままでいいのだろうか」と悩み続ける方も少なくありません。実際、重度の陥没乳頭は自然に治ることがほとんどなく、根本的な改善には医療的な介入が必要となります。
今回の記事では、重度の陥没乳頭に悩んでいる女性に向けて、症状・原因・リスクから手術治療の詳細、保険適用の可能性まで、わかりやすく丁寧に解説していきます。
重度の陥没乳首の症状・主な状態

重度の陥没乳頭には、以下のような特徴があります。
- 指でつまんでも出てこない
軽度では刺激を加えると一時的に突出することがありますが、重度では全く反応が見られません。
- 乳首が完全に埋もれている
乳輪に覆われて外観上ほとんど見えず、乳首の存在が確認しにくい状態です。
- 授乳困難
赤ちゃんが乳首を吸うことができず、授乳自体が成立しません。そのため人工乳に頼らざるを得なくなるケースがあります。
- 汚れ・皮脂が溜まりやすい
陥没部分に皮脂や汚れが蓄積し、細菌感染や悪臭の原因となります。
- 炎症や乳腺炎を繰り返す
内部に細菌が繁殖しやすく、炎症を起こして膿が溜まることがあります。特に授乳期には乳腺炎を繰り返す要因となります。
- 見た目のコンプレックス
下着や温泉、パートナーとの関係で強い恥ずかしさや不安を感じ、心理的負担になることも多いです。
このように、重度の陥没乳頭は「単なる見た目の問題」ではなく、衛生・授乳・健康の面で放置できない症状といえます。
重度の乳首陥没の原因とリスクやデメリット

重度の陥没乳頭の原因は、主に以下のような構造的な問題によります。
原因 |
内容 |
線維組織の癒着 |
乳首の内部にある線維組織が短く硬いため、乳頭を内側に強く引っ張ってしまいます。 |
乳管の異常 |
授乳時に母乳を通す乳管が癒着している、または発達が未熟なため、乳首が外に出られない状態になります。 |
先天的要因 |
思春期に乳房が発達する過程で乳首が十分に伸びなかった場合や、遺伝的に陥没が生じるケースもあります。 |
リスク・デメリット
- 授乳障害:母乳育児が難しく、母親のストレスや赤ちゃんの栄養問題に直結します。
- 感染リスク:汚れや母乳が内部に残り、細菌感染・炎症の原因になります。
- 精神的負担:パートナーシップや自己肯定感に影響を与え、コンプレックスを強めます。
- 自然治癒の困難性:軽度と違い、真性は放置しても改善の見込みがありません。
このように、重度の陥没乳頭は生活の質(QOL)を大きく損なう可能性があるため、治療を検討する必要があります。
手術以外で重度の陥没乳頭を治せるかどうか

軽度や中等度の場合、市販の吸引器やマッサージで一時的に乳首を外に出すことが可能です。しかし、重度の陥没乳頭はその構造的問題から、外部からの刺激だけでは改善できません。
- 吸引器:軽度なら効果があるが、真性では無効。吸引を繰り返してもすぐに戻ってしまう。
- マッサージ:血流促進や柔軟性を高める目的で行われるが、重度の癒着を解消することはできない。
- 自己処置のリスク:無理に引っ張ると出血や感染を引き起こすことがあるため、自己流での改善は危険。
したがって、重度の陥没乳頭はセルフケアでは改善が期待できず、唯一の根本的解決は手術治療です。
陥没乳頭の治し方/吸引器の効果とセルフケアのリスク・手術で根本治療
重度の陥没乳頭の治し方・手術治療

重度の陥没乳頭に対して行われる手術は、形成外科領域で確立された方法があります。代表的なのは以下の2つです。
1. 乳管温存法
・乳首を内側に引っ張っている線維組織を切除し、乳首を引き出す方法。
・授乳機能を残したい女性に適している。
・再発の可能性はあるが、授乳の可能性を残せるメリットがある。
2. 乳管切断法
・線維組織や乳管を切離して、乳首を確実に外に出す方法。
・突出効果が高く、再発率が低い。
・ただし乳管を切断するため、将来的な授乳は困難になる。
手術の流れ
- 局所麻酔を行い、痛みを最小限に抑える
- 乳輪周囲に小さな切開を加える
- 線維組織や乳管を処理して乳首を外に出す
- 縫合し、乳頭が安定するように保護する
手術時間は30分〜40分程度。日帰り可能で、術後数日で日常生活に復帰できます。
授乳が困難な場合は保険適用可能

陥没乳頭の治療は、目的によって「美容目的」と「医療目的」に分かれます。
- 美容目的:見た目を整えたい場合は自由診療(保険適用外)
- 医療目的:授乳困難や乳腺炎の繰り返しといった明確な症状がある場合は保険適用
例えば、赤ちゃんが乳首を吸えない、授乳ができず乳腺炎を繰り返すなど医学的に治療が必要と判断されれば、形成外科や乳腺外科で保険が適用される可能性があります。自己負担額は大幅に軽減され、数万円程度で受けられることもあります。
Dr.三沢
保険の可否は医師の診断によって決まるため、まずは専門クリニックで相談することが大切です。
施術事例【20代/女性 穴が開いているような状況の重度(真性)陥没乳頭の治療後、突出良好】


刺激しても全く乳頭は出てこない真性の陥没乳頭の状態で、陥没した部位に汚れが溜まったりなど、不衛生な問題とそれによっての炎症歴、将来的な授乳障害を引き起こす状態でした。

乳頭予定となる部分の下側の下方と側方の2カ所に、約2mm程度の切開線をおいて手術を行いました。
乳管を損傷することなく、乳頭を外に引き出します。
Dr.三沢
手術直後から乳頭の突出は良好です。術後1週間の状態でも乳頭の突出具合がよく、傷跡が目立ちません。
陥没乳頭形成【仮性・真性の違い】重度でも最小限のキズで治療して突出良好
よくあるご質問
重度の陥没乳頭手術の痛みはありますか?
重度の陥没乳頭手術は、ほとんどのケースで局所麻酔を用いて行われます。そのため、手術中の痛みは最小限に抑えられ、処置の最中に強い痛みを感じることはほとんどありません。局所麻酔の注射時にはチクッとした刺激や圧迫感を伴うことがありますが、数秒程度で済むため大きな負担にはなりにくいです。
手術後は、数日間にわたり軽度の痛みや腫れ、つっぱり感が出ることがあります。これは切開や縫合を行ったことによる自然な反応で、多くの方が鎮痛剤を服用すれば十分にコントロールできる程度です。個人差はありますが、日常生活に大きな影響を与えるほどの痛みが続くことは稀です。
さらに最近では、形成外科や美容外科の分野で傷跡を最小限にする術式や、再発を防ぐ縫合法が確立されており、術後の不快感や回復期間はより短縮されています。そのため「手術は痛そうで怖い」と感じている方も、実際には想像よりも負担が少なく受けられることが多いです。
陥没が重度の場合は、マッサージや乳頭吸引器は逆効果ですか?
重度の陥没乳頭は、乳頭の内部に強固な線維組織が存在し、それが乳管を引き込んでいることが原因です。このようなケースでは、マッサージや吸引器を用いても根本的な改善は期待できません。むしろ強い刺激を与えることで乳頭や乳輪の皮膚に炎症を起こしたり、乳管を傷つけて授乳時にトラブルが生じたりする可能性があります。
軽度の場合、マッサージや吸引器が一時的な改善に役立つこともありますが、重度では逆効果になるリスクの方が高いのです。例えば、無理に吸引してしまうと乳頭が赤く腫れたり、内部に細菌感染を起こして膿がたまることもあります。さらに繰り返し行うことで皮膚が硬くなり、手術を行う際にも治療が難しくなるケースがあります。
そのため、重度の陥没乳頭の方はセルフケアに頼らず、早めに形成外科や専門のクリニックで相談することが安全で確実な方法です。
陥没乳頭が軽度に比べて重度の場合、手術に違いはありますか?
はい、手術の内容や方法には大きな違いがあります。軽度の陥没乳頭の場合は、乳管を残したまま、癒着している部分を軽く切開して乳頭を突出させるシンプルな手術で改善できることが多いです。術後の回復も早く、授乳機能を温存できるメリットがあります。
一方、重度の陥没乳頭は、強固に引き込んでいる線維や乳管そのものが原因となっているため、より複雑な処置が必要です。場合によっては乳管を切離して乳頭をしっかり引き出す必要があり、その際には再発防止のための特殊な縫合法や、乳頭の形を整える再建的な手技が加えられます。これにより、単純な術式に比べて手術時間がやや長くなり、術後のケアや安静も丁寧に行うことが求められます。
また、重度の手術では「授乳機能を温存するか」「再発を徹底的に防ぐか」という治療方針のバランスも重要になります。妊娠や授乳を希望している方と、見た目の改善を最優先にしたい方とでは、選択される術式に違いが出ることがあります。そのため、手術前のカウンセリングで医師と十分に話し合うことが大切です。
まとめ
- 重度の陥没乳頭は、授乳の障害、感染リスク、心理的なストレスなど、さまざまな問題を引き起こします。セルフケアや吸引器では効果が見込めず、根本的に治すには手術が必要です。
・重度の陥没乳頭は自然に治らない
・授乳困難や乳腺炎の原因になる
・手術は日帰り可能で、負担が少ない
・授乳が困難な場合は保険適用になる可能性がある
- 女性が自分らしく生活するため、また母乳育児を望む場合にも、専門医による適切な治療を受けることが最も確実な選択です。重度の陥没乳頭は放置せず、形成外科での手術治療を受けることが改善への近道です。