
陥没乳頭は、乳首が常に凹んだ状態にあり、見た目のコンプレックスだけでなく、授乳や衛生面での問題を引き起こす可能性がある症状です。軽度であれば大きな支障を感じず生活できる方もいますが、中等度から重度になると、母乳が出にくい・赤ちゃんが乳首を吸えない・乳腺炎を繰り返すといった問題が起こり、放置して良いものではありません。
特に長年悩んできた女性にとって、「この手術は保険が適用されるのか」「未婚でも40代でも保険診療で受けられるのか」「費用はいくらかかるのか」といった点は非常に重要です。陥没乳頭手術は一定の条件を満たす場合に保険適用となり、条件を満たさない場合は自費診療となるというルールがあります。
今回の記事では、陥没乳頭手術における 保険適用の条件・具体的な費用の目安・保険が効かないケース・自費診療の相場 を詳しく解説します。年齢や結婚の有無が影響するのかという点についても触れながら、最終的に「保険適用の条件を知って、安心して手術を受けたい」と思えるよう導きます。
陥没乳頭手術 保険適用となる条件

陥没乳頭とは?
本来突出している乳首が皮膚や組織の癒着によって内側に引き込まれている状態を指します。軽度の場合は指で刺激すると出てきますが、重度になると常に凹んだまま戻らないこともあります。授乳が難しくなったり、炎症を繰り返す原因になるため、治療を検討する方が少なくありません。

健康保険が適用されるかどうかの分かれ目は、「医学的に治療が必要かどうか」です。美容目的ではなく、機能改善を目的とする手術と認められることが条件になります。
代表的な適用条件を詳しく見ていきましょう。
1. 授乳に支障がある場合
- 赤ちゃんが乳首をくわえられず授乳が困難
- 母乳が乳管から出にくく、つまりを起こしてしまう
- 出産前の女性でも、将来的に授乳障害が予測される
特に「真性陥没乳頭(強い凹みがあり手で引き出せないタイプ)」は、授乳機能に直結するため、保険適用となるケースが多いです。
2. 衛生上の問題がある場合
- 乳首が常に凹んでいることで分泌物や皮脂がたまりやすい
- 洗浄が難しく不衛生になりやすい
- 乳腺炎や炎症を繰り返す
この場合は感染予防の観点からも治療の必要性が高いと判断されます。
3. 真性の陥没乳頭(重度)
軽度〜中等度の陥没では、手でつまむと突出することがありますが、重度(真性)の場合はほとんど出てこず、再発率も高いのが特徴です。こうしたケースは明らかに機能障害とされ、保険適用の可能性が高くなります。
4. 年齢・未婚の有無は条件ではない
「未婚だから授乳を予定していない」「40代以上だから授乳の予定はない」といった理由で保険対象外になるのではと心配される方もいます。
しかし、年齢や未婚かどうかは保険適用の条件とは関係ありません。将来的なリスクや現在の衛生上の問題があれば、適用対象となります。
保険適用(3割負担)陥没乳頭治療の費用

実際に保険が適用された場合、患者さんの負担は大きく軽減されます。
- 手術費用(10割負担時):片側 5〜10万円程度
- 保険適用(3割負担時):片側 15,000〜30,000円前後
- 両側の場合(3割負担時):30,000〜60,000円程度
このほか、術前検査(血液検査・心電図など)、術後の処置代、薬代が加算されますが、これらも保険診療の範囲内です。
美容目的で自費手術を受ける場合は数十万円の負担が必要となるため、保険適用されれば経済的負担はおよそ1/3以下に抑えられることになります。
陥没乳頭手術が保険適用外となるケースとは

一方で、以下のような場合は保険が効かず、自費診療となります。
- 美容目的のみの場合
「授乳には問題ないけれど、見た目を改善したい」というケースは保険適用外です。
- 軽度の陥没で機能障害がない場合
手で軽くつまめば乳首が出るタイプは「機能的に問題なし」と判断され、適用外になります。
- 審美的こだわりの強い手術
「できるだけ傷跡を目立たなくしたい」「形を美しく整えたい」といった美容的要望は自費扱いになることがあります。
- 保険診療を取り扱っていない美容クリニックでの施術
多くの美容外科では保険診療を取り扱っていないため、自動的に自費扱いとなります。
保険適用外(自費診療)陥没乳頭治療の費用

保険が効かない場合は、自費での支払いとなり、費用は医療機関や術式によって差があります。
- 片側手術:15〜25万円程度
- 両側手術:30〜50万円程度
- オプション追加:再発防止処置、傷跡修正などでさらに費用がかかる場合も
また、自費の場合は術後の再手術・トラブル対応も別途費用が発生することが一般的です。
エムズクリニックの陥没乳頭治療

エムズクリニックでは、陥没乳頭に対して「授乳機能を残しつつ、見た目を改善する」ことを重視した治療を行っています。単なる美容目的だけでなく、乳腺炎の予防や将来の授乳トラブルを避けることも目的とされている点が特徴です。
エムズクリニックの治療法の特徴
特徴 |
内容 |
1. 切らない治療(低侵襲法) |
皮膚を大きく切開せず、乳頭内部の癒着を解除して突出させる方法です。傷跡が目立ちにくく、ダウンタイムも短いため、日常生活への支障が少ないのがメリットです。 |
2. 授乳機能を温存 |
一般的な手術では乳管を損傷してしまう可能性がありますが、エムズクリニックでは乳管を温存する工夫がなされており、将来の授乳を妨げない治療が行われます。 |
3. 再発防止を意識した処置 |
単に乳頭を外に引き出すだけでなく、再び凹んでしまわないように縫合・固定の工夫をしています。これにより長期的な安定が期待できます。 |
治療後の経過
治療後は数日間の安静が必要ですが、抜糸は1週間前後で行われ、腫れや赤みも時間の経過とともに落ち着きます。多くの方が自然な見た目を取り戻し、授乳機能も温存できたと実感されています。
保険適用について
Dr.三沢
授乳障害や乳腺炎など医学的な理由がある場合は、健康保険が適用されるケースがあります。ただし、美容目的のみの場合は自費診療となるため、事前に医師とのカウンセリングで適用の可否を確認することが大切です。
施術事例【保険適用で傷跡が目立たない陥没乳頭手術】


エムズクリニックでは、傷跡の目立たない小切開法で陥没乳頭の治療を行っています。上記写真のように、術後の傷跡はほとんどわかりません。
2箇所の傷でアプローチして、引き込んでいる瘢痕組織を切離して解除します。この時に乳管を傷つけないように剥離することが重要です。

Dr.三沢
保険適用:自己負担金(3割)¥45,000で治療を行いました。授乳を開始される前に早期の治療をおすすめします。
よくあるご質問
陥没乳頭における美容目的の手術と保険での手術の違いは何ですか?
陥没乳頭の手術には、大きく分けて「美容目的の手術」と「保険で認められる手術」の2種類があります。
美容目的の手術は、見た目の改善や左右差の解消を希望して行うケースです。授乳や健康に直接影響がない場合は、医学的な必要性が認められないため自費診療となります。費用は10〜30万円程度が目安で、クリニックごとに差があります。
一方で、保険適用となるのは「機能的な障害」がある場合です。具体的には以下のようなケースが該当します。
・授乳がうまくできない(赤ちゃんが吸えない、母乳が出にくい)
・乳腺炎や膿瘍を繰り返す
・炎症や感染による痛み・しこりが生じている
このように、目的が「見た目」か「機能の回復」かで大きな違いがあります。
男性の陥没乳頭は保険適用になることはありませんか?
男性の場合、授乳機能は不要であるため、基本的に見た目の改善を目的とする治療はすべて自費になります。
しかし、例外的に、以下のような医学的問題があると保険が認められるケースがあります。
・乳頭に膿がたまって炎症を繰り返す
・痛みやしこりがあり、生活に支障がある
・乳頭分泌や感染症を繰り返している
つまり、男性でも「病気や炎症を防ぐために必要」と診断されれば、保険が適用されることがあります。美容目的のみでは適用されない点は女性と同様です。
陥没乳頭の手術は、生命保険や共済の給付金の対象になることはありますか?
健康保険の適用とは別に、生命保険や共済に加入している場合は「手術給付金」が対象になることもあります。保険会社によって判断基準は異なりますが、以下の条件を満たすと給付の可能性があります。
・医師が「陥没乳頭の手術」と診断し、診断書を発行している
・保険会社の給付対象リストに該当する手術として分類されている
・乳腺炎や炎症を伴うなど医学的な理由で手術が行われた
ただし、美容目的で自費診療を受けた場合は、基本的に給付金の対象外となります。加入している保険の約款を確認し、不明な場合は事前に保険会社へ問い合わせておくことが安心です。
40代でも健康保険による保険適用で陥没乳頭の治療はできないでしょうか?
陥没乳頭の治療は、年齢による制限はありません。20代や30代だけでなく、40代以降でも健康保険が適用される場合があります。
たとえば、以下のようなケースでは40代の方でも保険適用が認められることがあります。
・授乳中や授乳経験がある方で母乳トラブルを抱えている
・授乳を終えていても乳腺炎や膿瘍を繰り返している
・炎症や分泌物が続き、衛生的な問題や生活の不快感がある
年齢ではなく「医学的な必要性」が判断基準になるため、40代以降でも安心して相談できます。
未婚の若いうちに陥没乳頭は、保険適用で治しておいた方が良いでしょうか?
未婚・既婚にかかわらず、保険適用の有無は「症状があるかどうか」で決まります。未婚だからといって自動的に保険が効くわけではありません。
ただし、将来的に妊娠・出産を考えている方にとっては、早めに治療しておくメリットがあります。
・授乳がスムーズになりやすい
・乳腺炎や乳頭の炎症を予防できる
・精神的な不安を軽減できる
医学的に問題があると診断されれば、未婚の若い方でも保険適用が可能です。見た目だけでなく、将来の授乳のことを考えて医師と相談し、タイミングを決めることが大切です。
まとめ
- 陥没乳頭手術は、授乳機能や衛生上の問題がある場合には健康保険が適用される治療です。未婚・40代といった年齢やライフステージは条件には含まれません。一方、軽度の陥没や美容目的の改善は保険の対象外となり、自費で数十万円の費用がかかります。
- 長年陥没乳頭に悩んできた方にとって、まずは形成外科や乳腺外科を受診し、自分の症状が保険適用に該当するかどうかを確認することが大切です。条件を正しく理解して医師と相談することで、費用面の不安を軽減し、安心して手術を受けることができます。保険適用の条件を知り、納得したうえで陥没乳頭の手術に踏み出すことが、改善への第一歩です。