
「昔のニキビ跡が消えない」「肌がごわついて化粧ノリが悪い」「毛穴の黒ずみが目立ってきた」——20代から60代の女性に多い悩みです。年齢とともに肌のターンオーバー(生まれ変わり)は遅れ、古い角質が残りやすくなるため、肌トラブルが積み重なって見た目年齢にも影響します。
そんな悩みに有効な治療のひとつが「ケミカルピーリング」です。エステのピーリングとは異なり、医療機関で行うケミカルピーリングは専門の薬剤を使用し、肌の代謝を科学的にサポートする治療です。安全性と効果のバランスが取れているため「ダウンタイムが少ないのに効果が実感しやすい」と支持されています。
今回の記事では、ケミカルピーリングの基本から効果、使用される薬剤の種類、リスクや副作用、実際の治療の流れ、そしてニキビ跡改善への有効性まで詳しく解説します。
ケミカルピーリングとは?

ケミカルピーリングとは?
酸性の薬剤を肌に塗布し、古い角質や毛穴の詰まりを取り除いて新しい皮膚の再生を促す美容医療です。皮膚の表面をやさしくリセットし、肌トラブルの根本原因にアプローチします。
本来、人の肌は一定の周期で新陳代謝を繰り返しています。しかし、加齢・ストレス・生活習慣の乱れ・紫外線ダメージなどでターンオーバーが滞ると、角質が厚くなり、ニキビ跡やくすみ、毛穴詰まりが改善しにくくなります。
ケミカルピーリングは、その乱れを外部から整えることで、肌の自然な再生力を引き出す治療です。
使用する薬剤の種類と成分・主な効果
ケミカルピーリングに使用される代表的な薬剤は以下の通りです。
- グリコール酸
フルーツ酸(AHA)の一種で、浅い角質層に作用します。毛穴の汚れや古い角質を除去し、ニキビ予防や美白効果に優れています。初めてピーリングを受ける方や軽度のニキビ跡におすすめです。
- サリチル酸マクロゴール
脂性肌や毛穴詰まりが強い方に向いています。皮脂分泌を抑え、ニキビや角栓を改善。マクロゴールという基剤により薬剤の刺激が緩和され、安全性が高いとされます。
- 乳酸
グリコール酸より分子が大きく、作用がマイルド。乾燥肌や敏感肌の方にも使いやすい薬剤で、保湿効果や美白効果も期待できます。
- トリクロロ酢酸(TCA)
より深い層まで作用するため、クレーター状のニキビ跡や小じわ改善に有効。ただし作用が強いため、医師の厳密な管理下でのみ行われます。
薬剤は肌の状態や悩みに合わせて使い分けられ、複数の種類を組み合わせて治療することもあります。
ターンオーバーとは?その仕組み

ターンオーバーとは?
肌の表皮は約28日周期で新しく生まれ変わります。これを「ターンオーバー」と呼びます。しかし、加齢や生活習慣の乱れにより40代では約45日、50代ではさらに長くなるともいわれています。
ターンオーバーが遅れると、古い角質が肌表面に溜まり、以下の症状が起こりやすくなります。
ケミカルピーリングは強制的に角質を除去し、ターンオーバーを正常化することで、肌本来の明るさと滑らかさを取り戻すのです。
ケミカルピーリングをおすすめする症状

ケミカルピーリングは以下のような悩みに効果的です。
- ニキビ・ニキビ跡の改善
- 毛穴の黒ずみ・詰まり
- 肌のごわつき・ざらつき
- シミ・そばかす・くすみ
- 小じわ
- 化粧ノリの改善
また、定期的に行うことで「肌全体のコンディションを整えるメンテナンス」としても役立ちます。
ケミカルピーリングの施術ができない方

以下の方は、ケミカルピーリングによる施術を控える必要があります。
- 妊娠中・授乳中の方
- 肌に炎症や傷がある方
- アトピー性皮膚炎など皮膚疾患がある方
- 強い日焼け直後の方
- 薬剤アレルギーのある方
まずは医師のカウンセリング・診察で適応を判断し、安全に施術を行うことが重要です。
ニキビ跡にケミカルピーリング治療

治療の流れ
ケミカルピーリングの一般的な流れは、以下の通りです。
- カウンセリング:肌状態を診察し、薬剤や施術回数を決定。
- 洗顔:メイクや皮脂を除去。
- 薬剤塗布:数分間薬剤を置き、角質を剥離。
- 中和・洗浄:薬剤を中和し、洗浄して肌を保護。
- 保湿・鎮静:パックやクリームで肌を落ち着かせる。
1回の施術は30分程度で、仕事や学校帰りにも受けやすい治療です。
リスクや副作用・ダウンタイム
ケミカルピーリングは比較的安全ですが、リスクや副作用もあります。
- 赤み・ヒリヒリ感
- 一時的な乾燥やつっぱり感
- 薄い皮むけ
- 炎症後色素沈着(強い刺激や紫外線により起こることがある)
ダウンタイムは軽度で、数日以内に改善することが多く、当日からメイク可能な場合もあります。ただし、施術後は紫外線対策と保湿が必須です。
他の治療との比較

ニキビ跡治療には、ケミカルピーリング以外にもレーザー治療やダーマペンなどがあります。
治療 |
内容 |
レーザー治療 |
色素沈着やクレーター状のニキビ跡に効果的。ただしダウンタイムが長く、費用も高め。 |
ダーマペン |
肌に微細な針を刺し、再生力を高める。効果は大きいが赤みや腫れが数日続くことがある。 |
ケミカルピーリング |
比較的ダウンタイムが短く、価格もリーズナブル。軽度〜中等度のニキビ跡や毛穴トラブルに適している。 |
このように「リスクと効果のバランス」を考えたとき、初めて美容医療を受ける方にはケミカルピーリングが選ばれやすい理由がわかります。
施術事例【ケミカルピーリングでニキビを改善】


ピーリングを行うことで、肌周期をリセットできます。過去にピーリングで苦い経験をされた方にも安心して受けていただけるように、天然乳酸ピーリングを基本にして施術を行いました。
肌周期は約28〜40日間です。これに乱れが生じると様々なスキントラブルが発生します。シミ・いぼ・ニキビなどはチリも積もれば長い年月をかけて、肌周期の異常で発生する肌のSOSです。
Dr.三沢
一度、肌周期をリセットし、正常な肌を取り戻すには今回の施術のようなケミカルピーリングをお勧めしております。
よくあるご質問
ドラッグストアなどで買える市販のピーリング剤とケミカルピーリングの違いは?
市販のピーリング剤は、ドラッグストアや通販などで手軽に購入できるアイテムで、フルーツ酸(AHA)、サリチル酸(BHA)、乳酸などが低濃度で配合されています。肌の表面の古い角質をやさしく落とすことが目的で、毎日のスキンケアに組み込める点が特徴です。効果はゆるやかで、毛穴詰まりの軽減や肌のざらつき改善、透明感アップといった日常的なケアに向いています。
一方、クリニックで行うケミカルピーリングは、医師の管理下でより高濃度の薬剤(グリコール酸、サリチル酸マクロゴール、トリクロロ酢酸(TCA)など)を使用します。薬剤の種類や濃度を症状や肌質に合わせて選択できるため、ニキビ・ニキビ跡・シミ・くすみ・小じわ・毛穴開きなど、悩みに応じた集中的な改善が期待できます。また、専門医が肌状態をチェックしながら行うため、安全性が高く、即効性や効果の持続力も市販品より優れています。
ケミカルピーリングによる施術に痛みはありますか?
施術中は、薬剤を塗布した際に「ピリピリ感」や「ほてり」を感じることが一般的です。これは薬剤が角質や毛穴に浸透して作用しているサインであり、通常は数分程度で治まります。軽度の赤みやヒリつきが一時的に出る場合もありますが、多くの方が耐えられる範囲の刺激です。
また、敏感肌の方や乾燥が強い方は刺激を感じやすいため、施術前に肌の状態を確認し、薬剤の濃度や種類を調整することが可能です。必要に応じてクーリング(冷却)や鎮静パックを行うことで、不快感を和らげることもできます。基本的に「強い痛み」とは異なるため、安心して受けられる施術といえます。
効果が出るまでどれくらいの頻度でケミカルピーリングを受ける必要がありますか?
ケミカルピーリングは1回の施術で肌のトーンが明るくなったり、化粧ノリが良くなったりと即効性を実感できる場合もあります。ただし、ニキビ跡や色素沈着、毛穴開きなどの根本的な改善には複数回の継続が必要です。
一般的な目安としては、2〜4週間に1回のペースで5〜6回程度続けると効果が安定して現れます。たとえば、
・ニキビの改善 → 2週間に1回を3か月程度
・肌質改善(毛穴・小じわ・くすみ) → 3〜4週間に1回を半年程度
が推奨されます。その後は、症状の改善度に応じてメンテナンス目的で1〜2か月に1回のペースで受ける方も多いです。定期的に行うことでターンオーバーが整い、再発防止や美肌維持につながります。
ケミカルピーリングによるニキビ跡治療は、保険適用できますか?
ケミカルピーリングは基本的に「美容目的」の施術に分類されるため、健康保険の適用はありません。自由診療となり、クリニックによって異なりますが1回あたり5,000〜15,000円程度が相場です。複数回の施術を想定すると、一定の費用がかかる点は理解しておく必要があります。
ただし、皮膚科での保険診療で行うニキビ治療(外用薬や内服薬)とは区別されます。ニキビそのものに対しては保険適用の薬物療法が中心ですが、ニキビ跡や色素沈着の改善は美容領域とされるため保険は適用されません。費用を抑えたい場合は、まずは皮膚科での保険治療を受け、それでも残る症状に対してケミカルピーリングを検討する方法もあります。
他の治療とケミカルピーリングを併用しても問題ありませんか?
ケミカルピーリングは、古い角質を除去し薬剤や美容成分の浸透を高める作用があるため、他の美容治療と組み合わせることで相乗効果が期待できます。たとえば、
・イオン導入やビタミンC導入 → 浸透率が高まり、美白や毛穴改善に効果的
・レーザー治療や光治療(フォトフェイシャルなど) → ピーリングで肌を整えてから行うと治療効果が高まりやすい
・美白治療(トラネキサム酸・ハイドロキノンなど) → シミや色素沈着の改善が加速
・ヒアルロン酸注射やボトックス注射 → 組み合わせにより総合的な若返り効果
ただし、施術の間隔や順番は医師の指示に従うことが重要です。同日に行える場合もあれば、数日〜数週間空けた方がよい治療もあります。肌の負担やリスクを避けるため、必ずカウンセリングで相談しながら計画を立てましょう。
まとめ
- ケミカルピーリングは、古い角質を取り除きターンオーバーを正常化することで、ニキビ跡や毛穴、くすみ、小じわなど幅広い肌悩みに効果を発揮する治療です。
・使用する薬剤は肌質や悩みに応じて選ばれる
・ダウンタイムが短く、日常生活に支障が少ない
・他治療と比べて受けやすく、価格面でも続けやすい
- 20〜60代で「長年のニキビ跡を改善したい」「肌全体をなめらかにしたい」と考えている方にとって、ケミカルピーリングは有力な治療法です。
「ケミカルピーリングについて詳しく知って、ニキビ跡の最適な治療を受けたい」と思う方は、まずは医師に相談し、自分に合った施術を選ぶことをおすすめします。