
鏡をのぞいたとき、メイクでは隠しきれないニキビ跡や毛穴の開きが気になったことはありませんか?
「スキンケアを頑張っても、なかなか治らない」「クレーター状の跡がずっと残っている」そんなお悩みを持つ方は少なくありません。
こうした肌トラブルの多くは、表面だけでなく皮膚の真皮層にまでダメージが及んでいるため、化粧品では限界があります。
この“肌の奥”に働きかけて根本から改善を目指すのが、フラクショナルレーザー治療です。
近年では、従来の痛みやダウンタイムを大幅に軽減しながら、肌の再生を促す「ICON XD(アイコンXD)」などの最新機器も登場しています。
今回の記事では、フラクショナルレーザーの仕組みや効果、注意点、そして最大限に結果を引き出すためのポイントまで詳しく解説します。
フラクショナルレーザーとは?

フラクショナルレーザーとは?
皮膚に極小のレーザー光を格子状(フラクション状)に照射する治療法です。
「フラクショナル=部分的な」という名のとおり、肌全体を一度に照射するのではなく、点状に間隔をあけて微細な熱エネルギーを加えるのが特徴です。
照射された部分は微細なダメージを受け、体が自然治癒の働きを起こします。
すると、新しいコラーゲンやエラスチンの生成が促され、皮膚が内側から修復されます。これを繰り返すことで、凹凸のあるニキビ跡やたるみ毛穴が滑らかに整っていくのです。
2種類のフラクショナルレーザー

フラクショナルレーザーには、大きく分けて2タイプあります。
- ノンアブレーティブ型(皮膚表面を傷つけないタイプ)
真皮層にのみ熱エネルギーを届け、肌の奥で再生を促すタイプです。
痛みや赤みが少なく、当日からメイク可能なことも多く、忙しい方に人気です。
- アブレーティブ型(皮膚を削るタイプ)
CO₂(炭酸ガス)レーザーなどに代表され、皮膚表面まで熱を加えます。
深いニキビ跡や瘢痕にも効果的ですが、ダウンタイム(赤み・かさぶた)が長くなります。
他治療との違い
ケミカルピーリングやダーマペンなどの治療は「表皮の代謝促進」を目的としていますが、フラクショナルレーザーは「真皮層の再生」が目的です。
つまり、より深い層からハリと弾力を取り戻す“根本治療”に近い性質を持っています。
フラクショナルレーザーのニキビ跡・毛穴への効果・施術回数の目安

項目 |
内容 |
ニキビ跡(クレーター状)の改善 |
ニキビ跡がクレーターのように凹んでしまうのは、炎症により真皮層のコラーゲン線維が破壊されるためです。
この損傷を修復する力を人工的に引き出すのがフラクショナルレーザーです。
レーザーで微小な熱ダメージを与えると、皮膚が「再生しなければ」と反応し、コラーゲンやエラスチンを新しく生成します。
これにより、凹んだ部分が内側からふっくらと盛り上がり、なめらかな肌へと再構築されるのです。
軽度〜中等度のニキビ跡であれば、3〜5回程度の施術で見た目が大きく改善することも珍しくありません。 |
毛穴の開き・黒ずみへの効果 |
毛穴が開く原因には、加齢・皮脂分泌過多・コラーゲン減少などがあります。
真皮層の弾力が弱まると、毛穴の縁を支える力が低下し、“たるみ毛穴”が目立つようになります。
フラクショナルレーザーは、真皮層を熱で刺激してコラーゲン生成を促すため、毛穴を内側から引き締める効果が期待できます。
また、皮脂バランスも改善されるため、毛穴の黒ずみや化粧崩れがしにくくなる点もメリットです。 |
美肌効果・肌質改善 |
さらに、細胞のターンオーバーが活性化することで、
・くすみの解消
・肌のキメの改善
・小じわ・乾燥ジワの軽減
・ハリ・ツヤ感アップ
といった総合的な美肌効果が得られます。 |
回数・頻度の目安
初めて受ける方や肌ダメージが深い方は、1〜2か月おきに3〜5回の施術が目安です。
1回でも肌のなめらかさを感じる方もいますが、継続的に行うことでより確実な再生効果が得られます。
その後は、半年〜1年に1回のメンテナンス施術を行うと、美肌が長く保たれます。
フラクショナルレーザー施術後のダウンタイムと注意点

施術直後は、赤み・ほてり・軽度の腫れが見られます。
この症状は多くの場合、24〜72時間以内に落ち着き、3〜5日後には細かいかさぶたが形成されることがあります。
かさぶたは自然に剥がれ落ちるため、無理に触ったり剥がしたりしないことが重要です。
完全に落ち着くまでには1週間ほどかかりますが、その間もマスクなどで隠せる程度の軽度な赤みです。
ダウンタイム中のスキンケアポイント
- 1. 徹底した保湿ケア
施術後の肌は水分保持力が低下します。ワセリンや低刺激性の保湿剤でしっかり潤いを守りましょう。
- 2. 紫外線対策を徹底する
レーザー後の肌は紫外線に敏感です。日焼け止め(SPF30〜50)をこまめに塗布しましょう。
- 3. 刺激の強い化粧品は控える
ピーリング剤・スクラブ・レチノールなどは1週間程度中止するのが安全です。
- 4. 入浴・サウナは当日避ける
血行が促進されると炎症が長引くため、施術当日はぬるめのシャワーにとどめましょう。
- 5. メイクは翌日以降
ノンアブレイティブタイプなら、翌日からメイク可能なことが多いですが、肌状態を見て判断します。
アフターケアにおける注意点
治療直後は“肌が生まれ変わる途中”です。
角質層がまだ薄いため、外的刺激を避け、「休ませるケア」を意識してください。
摩擦や強い洗顔は避け、やさしくぬるま湯で洗うようにしましょう。
一部でフラクショナルレーザーにより「悪化した」「効果がない」と言われる理由

ネット上では「フラクショナルレーザーで悪化した」「効果を感じなかった」との口コミも見られます。
これらにはいくつかの共通原因があります。
- 1. 照射設定が適切でない
肌の厚みや色調、ニキビ跡の深さに合わない出力設定を行うと、赤みが強く残ったり、炎症性色素沈着が生じやすくなります。
- 2. アフターケア不足
紫外線対策や保湿を怠ると、炎症後の色素沈着や乾燥悪化のリスクが高まります。
- 3. 回数不足
1〜2回の施術ではコラーゲン再生が十分に進まず、効果を実感しにくい場合があります。
- 4. 適応外の症例
皮膚の凹みが線維化しているような深いクレーターには、脂肪注入や再生医療などの併用が必要なこともあります。
- 5. ダウンタイム中の誤った行動
かさぶたを無理に剥がす、日焼けする、飲酒・サウナなど血行を促進する行為も悪化要因です。
つまり、「悪化した」と感じる多くのケースは、治療設計やアフターケアが十分でなかったことが原因です。
経験豊富な医師のもとで、正しい照射設定・回数・ケアを行えば、安全で高い効果が得られます。
フラクショナルレーザーICON XD(アイコンXD)による治療と流れ

ICON XDとは?
「ICON XD(アイコンXD)」は、アメリカ・サイノシュア社が開発した医療用ノンアブレイティブ・フラクショナルレーザーです。
従来型のフラクショナルレーザーに比べて、表皮を傷つけない、赤み・腫れが少ない、回復が早いという特長があります。
波長は1540nmのエルビウムグラスレーザーで、真皮層に確実に熱エネルギーを届けながらも、表皮を保護します。
そのため、仕事帰りでも受けやすい・翌日からメイク可能という利便性の高さが魅力です。
治療の流れ
- カウンセリング・診察
医師が肌の状態を確認し、悩みや希望に応じて出力・回数・間隔を設定します。
- 洗顔・麻酔
清潔な状態で麻酔クリームを塗布し、約20分放置。痛みを大幅に軽減します。
- レーザー照射(約20〜30分)
肌全体に均一に照射します。照射直後に軽い温かさを感じる程度です。
- クーリング・鎮静
照射後すぐに冷却し、鎮静パックなどで肌を落ち着かせます。
- アフターケア指導
自宅での保湿・紫外線対策など、具体的なケア方法を説明します。
治療後の経過と効果のあらわれ方
- 翌日:赤みがやや残るが、メイク可能
- 3〜5日後:かさつきやザラつきが出る
- 1〜2週間後:古い角質が自然に剥がれ、肌が滑らかに
- 1か月後:コラーゲン生成が進み、ハリや毛穴の引き締まりを実感
複数回を重ねることで、肌全体の質感・トーン・弾力が総合的に向上します。
最大限に美容効果を得るポイント

1. 施術間隔を守る
コラーゲンが再生するには約4〜6週間かかります。
短期間に詰めすぎると、逆に炎症が残ることもあるため、1〜2か月おきが理想です。
2. ビタミンC・トラネキサム酸の導入を併用
レーザー後の肌は美容成分が浸透しやすいため、エレクトロポレーションなどの導入治療を組み合わせると美白・美肌効果が高まります。
3. 十分な睡眠と栄養補給
肌の再生にはたんぱく質やビタミンA・C・Eが欠かせません。バランスの取れた食事を意識しましょう。
4. 医師による定期診察
状態に応じて照射設定を微調整することで、安全に最大効果を引き出せます。
【エレクトロポレーションとは?】いつから効果があるか/メリットデメリットや危険性について
施術事例【フラクショナルレーザー治療ビフォアアフター】

よくあるご質問
フラクショナルレーザーの効果はいつから感じられますか?1回の効果、持続期間は?
フラクショナルレーザーの効果は、施術後すぐに現れるものではなく、肌が回復し再生する過程で徐々に感じられます。多くの方は1〜2週間後から「肌がなめらかになった」「毛穴が引き締まった」「メイクのノリが良くなった」といった変化を実感します。これは、レーザーによって肌の真皮層が刺激され、コラーゲンやエラスチンの再生が活発になるためです。
1回でも効果を感じる方はいますが、ニキビ跡や毛穴の開き、肌質改善を目指す場合は3〜5回の継続治療が推奨されます。回数を重ねることで、コラーゲンの生成が安定し、ハリ・弾力・キメの改善がより長く持続します。
効果の持続期間はおよそ3〜6か月程度ですが、生活習慣やスキンケア次第で変わります。日常的に紫外線対策と保湿を徹底すると、レーザーの再生効果を長く維持できます。また、半年〜1年ごとにメンテナンス施術を行うと、肌の若々しさをキープしやすくなります。
フラクショナルレーザーのダウンタイムは何日くらいですか?
フラクショナルレーザーのダウンタイムは、照射の強さや肌質によって異なりますが、一般的には2〜7日程度とされています。施術直後は赤み・ほてり・ヒリつきが出ることが多く、1〜2日後には肌表面に細かいかさぶたやざらつきが生じることがあります。これらは自然な再生反応であり、肌のターンオーバーが活発になっている証拠です。
3〜4日後には皮むけが始まり、5〜7日目には新しい皮膚が出てツヤのある状態になります。この時期に無理に皮を剥がしたり、摩擦を与えたりすると色素沈着のリスクがあるため注意が必要です。
メイクは通常翌日〜2日後から可能になりますが、刺激の少ないファンデーションを選ぶと良いでしょう。また、ダウンタイム中は保湿ケアと紫外線対策が非常に重要です。乾燥を防ぐことで回復がスムーズになり、レーザーの効果を最大限に引き出すことができます。
失敗・後悔の例として、フラクショナルレーザーのやりすぎがありますが、どのくらいの頻度が理想ですか?
フラクショナルレーザーは非常に効果の高い治療ですが、短期間に頻繁に受けすぎると肌に過剰な刺激を与え、炎症や乾燥、色素沈着を引き起こすリスクがあります。実際に「毎週のように施術を受けて肌が敏感になった」「赤みが長引いた」という失敗談も見られます。
適切な頻度は、肌の再生サイクルを考慮して3〜4週間に1回が目安です。これは、肌がダメージを修復し、新しいコラーゲンを生成するのに約28日〜1か月程度かかるためです。
肌質によっては2か月に1回程度でも十分効果が持続する場合があります。乾燥肌・敏感肌の方はやや間隔を空け、医師に相談のうえで調整することが大切です。
また、やりすぎを防ぐためには、施術後の肌の状態をしっかり観察し、炎症が残っているうちは次の施術を控えることも重要です。「早く効果を出したい」よりも「安全に肌を育てる」という考え方が、長期的に見て美しい肌づくりにつながります。
フラクショナルレーザーとダーマペンなど他の治療機器との違いは何ですか?
フラクショナルレーザーとダーマペンはいずれも肌の再生を促す治療ですが、そのアプローチはまったく異なります。
フラクショナルレーザーは、レーザー光を皮膚の奥(真皮層)に照射し、熱エネルギーでコラーゲン再生を促進する治療です。熱によるリモデリング効果が高く、ニキビ跡の凹み・毛穴の開き・小じわ改善などに強く作用します。肌表面を均一に再構築するため、「滑らかで引き締まった肌」を目指す方に向いています。
一方、ダーマペンは極細針で肌表面に微小な穴を開け、自然治癒力を利用してコラーゲン生成を促す治療です。熱を使わないため、ダウンタイムが短く、色素沈着のリスクも比較的少ないのが特徴です。また、施術中にヒアルロン酸や成長因子、美白成分などを導入できるため、肌の潤い・トーンアップ・ハリ感を高めるのに適しています。
つまり、フラクショナルレーザーは「熱エネルギーによるリモデリング効果重視」、ダーマペンは「物理刺激+薬剤導入による再生促進」という違いがあります。
どちらが良いかは目的によります。ニキビ跡の凹みをしっかり治したい場合はレーザー、美白やハリ感を中心に整えたい場合はダーマペンが向いています。両者を交互に組み合わせる「コンビネーション治療」も人気で、相乗効果により肌質の総合的な改善が期待できます。
まとめ
- フラクショナルレーザーは、ニキビ跡や毛穴の開きといった「肌の奥」に原因がある悩みを、根本から改善できる医療施術です。
中でも「ICON XD(アイコンXD)」は、ダウンタイムが短く、痛みも少ないことから、忙しい現代女性にとって理想的な治療法といえるでしょう。
治療効果を最大化するには、
* 肌質に合った出力設定
* 回数・間隔の適正管理
* 施術後の正しいスキンケア
が欠かせません。
- 自己判断や過剰な期待で施術を受けるのではなく、まずは医師による丁寧な診察とカウンセリングを受け、自分に最適な治療プランを立てましょう。
- フラクショナルレーザーは「1回で劇的に変わる魔法の治療」ではありません。しかし、肌本来の再生力を引き出し、少しずつ確実に美しさを取り戻す——そんな“自然な美肌づくり”を叶える方法です。肌の質感が整うと、ファンデーションのノリが変わり、表情まで明るくなります。ニキビ跡や毛穴に悩んでいる方は、フラクショナルレーザーを正しく理解し、専門医のもとで前向きに治療を始めてみてください。