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『シミが増えて顔の印象が変わってしまった』『加齢に伴い、肌の透明感が失われた』と感じている方も多いでしょう。
シミは年齢とともに誰にでも現れる可能性があり、原因としては紫外線の影響やホルモンバランスの乱れ、さらに遺伝的要因などさまざまです。
この記事では、シミの種類や原因について理解を深めた上で、美容皮膚科で提供される各種シミ取り治療法を詳しく解説します。
Dr.三沢
シミ治療のプロセス、治療後のケア方法、また保険適用の範囲についても触れ、顔のシミに悩む方が最適な治療方法を選べるようサポートいたします。
シミができる原因と種類
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シミとは?
顔の皮膚に現れる茶色や黒色の色素沈着のことを指します。シミは主にメラニンという色素の蓄積が原因で発生し、紫外線や加齢、ホルモンバランスの変化、遺伝的な要因などが影響しています。
シミは多くの人にとって美肌を損ねる要因と考えられ、シミがあると顔がくすんで見えたり、実年齢よりも老けた印象を与えてしまいます。
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シミには、いくつかの種類があり、その特徴や治療法が異なります。シミの種類ごとに適した治療を選ぶことが大切なため、まずは各種シミの特徴を見ていきましょう。
老人性色素斑
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老人性色素斑とは?
最も一般的なシミで、日光黒子(にっこうこくし)とも呼ばれます。
加齢と共に増えやすいことから「老人性」と名付けられていますが、日光による紫外線が主な原因であり、特に40代以降から目立ち始める傾向があります。
茶色や黒色の色素沈着が特徴で、顔や手の甲、肩など、紫外線に当たりやすい部位に現れることが多いです。
老人性色素斑は、レーザー治療やフォトフェイシャルによって除去が可能です。特にレーザー治療ではメラニン色素にピンポイントで働きかけるため、周りの肌に負担をかけずに治療できます。
治療後は紫外線対策が必須で、再発防止には日焼け止めクリームの使用や帽子・サングラスなどのUV対策が重要です。
脂漏性角化症
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脂漏性角化症とは?
年齢と共に増えやすい盛り上がりのあるシミの一種です。
一般的には「老人性イボ」とも呼ばれ、ホクロに似た見た目が特徴です。硬い触感があり、見た目が気になる場合は除去を検討することが多いです。
脂漏性角化症の治療には、炭酸ガスレーザーや電気メスによる切除が一般的です。色素沈着部分を除去することで、周囲の皮膚を傷つけずにシミを薄くすることが可能です。
治療後のケアとしては、治療跡を触らないことが大切で、紫外線が治療跡に直接当たらないよう注意が必要です。
雀卵斑(そばかす)
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雀卵斑(そばかす)とは?
遺伝的要因で現れ、特に色白の方や紫外線に敏感な方に多く見られます。
小さな点状の茶色いシミが顔や腕に現れるため、見た目に大きな影響を与えがちです。
そばかすの治療には、レーザー治療やフォトフェイシャルが効果的です。そばかすは日光の影響で濃くなる傾向があるため、紫外線対策が重要です。
シミを薄くした後も、日焼け止めクリームの使用や帽子・サングラスの着用を心がけましょう。
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
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後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)とは?
青灰色や茶色の色素沈着が左右対称に頬骨のあたりに出現します。
通常のシミよりも真皮層までメラニンが沈着しているため、美白化粧品などでは改善が難しく、専門的な治療が必要です。
ADMの治療には、QスイッチYAGレーザーやレーザートーニングが適しており、複数回の施術が必要です。
治療後は肌がデリケートな状態になるため、摩擦や刺激を避け、十分な保湿ケアを行うことが推奨されます。
肝斑
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肝斑とは?
ホルモンバランスの影響を受けやすく、妊娠中や経口避妊薬の服用時に悪化しやすいシミの一種です。
左右対称に現れやすく、特に頬や額、口周りに薄く広がります。肝斑は紫外線やストレスの影響で悪化するため、日常的なケアが重要です。
肝斑にはレーザートーニングが効果的です。低出力のレーザーを肌全体に照射することで、悪化のリスクを避けつつ、徐々に薄くしていくことができます。
トランサミンの内服や肝斑専用の美白クリームも併用されることが多く、無理なく治療を継続することがポイントです。
炎症後色素沈着
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炎症後色素沈着とは?
皮膚が炎症を起こした後に発生するシミです。
ニキビ跡や傷跡が残るケースが多く、一般的には時間の経過と共に自然に薄くなりますが、症状が重い場合には美容皮膚科での治療が検討されます。
炎症後色素沈着には、レーザー治療や美白クリームが用いられます。内服薬による治療も可能で、トランサミンやビタミンCの服用で色素沈着を改善する効果が期待できます。
炎症後は肌が特に敏感なため、ケアには細心の注意が必要です。
シミ取りの治療法
美容皮膚科では、シミの種類に応じたさまざまな治療法が提供されています。以下では、代表的な治療法について治療の具体的なプロセスや効果、注意点を含めて解説します。
レーザー治療
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レーザー治療は、メラニン色素に直接働きかけ、シミを除去します。一般的に「Qスイッチルビーレーザー」や「QスイッチYAGレーザー」など、目的に応じたレーザーが使用されます。
施術後には一時的にカサブタが形成され、1~2週間程度で自然に剥がれ落ちることでシミが薄くなる仕組みです。
メリット |
デメリット |
効果が高く、短期間でシミを改善できる点が魅力です。特に老人性色素斑や脂漏性角化症などの治療に適しており、目に見える改善が期待できます。 |
治療後に肌が敏感になり、紫外線に対して特に注意が必要です。また、赤みや色素沈着が一時的に生じることがあるため、アフターケアが重要です。 |
レーザートーニング
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レーザートーニングは、肝斑や肌のくすみ改善に用いられる低出力のレーザー照射方法です。
肌全体に均一にレーザーを照射するため、少しずつ色素を薄くする効果があり、1回の施術で大きな負担をかけずに済みます。通常、2~4週間に1度の頻度で数回の施術が推奨されます。
メリット |
デメリット |
肌に優しいため、肝斑のようにデリケートなシミにも安全にアプローチできます。トーンアップ効果も期待でき、顔全体の色むら改善にも役立ちます。 |
複数回の施術が必要であるため、時間と費用がかかります。また、一度の治療で劇的な改善が見られるわけではなく、長期的に取り組む必要があります。 |
ポテンツァ
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ポテンツァは、微細な針で皮膚に穴を開け、RF(高周波)エネルギーを使ってシミや肌の悩みを改善する治療法です。
色素沈着部分にピンポイントで働きかけ、同時に肌の弾力やハリも向上させる効果があります。針の長さやエネルギーの強度は個別に調整されるため、さまざまな肌タイプに対応可能です。
メリット |
デメリット |
シミ取りに限らず、毛穴の引き締めやニキビ跡の改善にも効果があるため、総合的な肌質改善が可能です。 |
治療後に赤みや腫れが出ることがあるため、数日間のダウンタイムが必要です。また、効果が安定するまでに数回の施術が求められます。 |
HIFU(ウルトラセルQプラス)
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HIFU(高密度焦点式超音波)治療は、肌の深層にエネルギーを届けることでリフトアップと美肌効果を両立させる方法です。
シミ取りのほか、たるみやくすみの改善にも役立ちます。超音波エネルギーが肌の奥に働きかけ、コラーゲン生成を促進することで、シミとたるみを同時にケアします。
メリット |
デメリット |
ダウンタイムがほとんどないため、忙しい方でも手軽に受けられるのが魅力です。リフトアップ効果も期待できるため、若々しい印象が得られます。 |
効果が現れるまでに時間がかかることがあり、即効性が欲しい方には不向きかもしれません。 |
光治療(フォトフェイシャル)
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フォトフェイシャルは、顔全体に光を照射することでシミを改善し、肌のトーンを均一に整える治療法です。
メラニン色素にのみ反応する光を使用するため、シミやくすみをターゲットにしつつ、肌全体の色むらも解消できます。
メリット |
デメリット |
シミだけでなく赤ら顔や毛穴の開き、肌のくすみにも効果があり、肌の総合的な質感向上が期待できます。 |
複数回の施術が必要な場合が多く、治療効果が表れるまでに時間がかかります。紫外線を避けるためのケアも欠かせません。 |
シミの塗り薬・内服薬
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美白クリームにはハイドロキノンやトレチノインが使われることが多く、シミ部分に直接塗布することで色素沈着を徐々に薄くします。
内服薬にはビタミンCやL-システインが含まれ、抗酸化作用によってシミの予防や改善に効果を発揮します。
メリット |
デメリット |
比較的安価で、日常的に使用できるため、シミの予防や軽度の改善に適しています。 |
即効性はなく、効果が出るまでに時間がかかる場合があります。重度のシミには限界があるため、美容皮膚科での併用治療が望ましいです。 |
シミ治療の適応・メリット・治療期間の目安
シミ取り治療のダウンタイム
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ダウンタイムとは?
施術後の肌が安定して回復するまでの期間を指し、この間のケアがその後の効果や肌の状態に大きく影響します。
シミ取り治療は、治療法によってダウンタイムの期間やケア方法が異なります。以下、代表的なシミ取り治療におけるダウンタイムと、それぞれの対処法を詳しく解説します。
レーザー治療のダウンタイム
シミに直接エネルギーを集中させるため効果が高い治療ですが、ダウンタイムがやや長めです。
照射後、赤みや腫れが数日続き、カサブタができることもあります。カサブタは約1週間で自然に剥がれ落ち、そこから少しずつシミが薄くなっていきます。
この間は、触らないことが大切です。日焼け止めを欠かさず使い、外出時は帽子やサングラスで紫外線対策を徹底しましょう。
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フォトフェイシャルや光治療のダウンタイム
レーザーよりもダウンタイムが短く、肌への刺激が少ない方法です。
治療後に軽い赤みが1~2日残ることが多いですが、メイクでカバーできる程度で、日常生活への影響はほとんどありません。治療後は少し乾燥しやすくなるため、保湿を徹底しましょう。
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HIFU(高密度焦点式超音波)やRF(高周波)のダウンタイム
シミだけでなくリフトアップ効果も期待できる治療法です。
これらは肌の深層にエネルギーを届けるため、表面への負担が少なく、ダウンタイムがほとんどありません。治療後に少し赤みが出ることがありますが、数日で改善します。治療後の保湿ケアとUV対策を行い、肌を優しく守りましょう。
失敗しないシミ取り治療の選び方
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シミ取り治療は、自分のシミの種類や生活スタイル、予算に応じた治療を選ぶことが重要です。ここでは、治療法を選ぶ際に確認したいポイントを紹介します。
- シミの種類に応じた治療法を選ぶ
- 予算とダウンタイムのバランスを考える
- 医師の実績や評判を確認する
シミの種類に応じた治療法を選ぶ
シミには、老人性色素斑、雀卵斑(そばかす)、肝斑、炎症後色素沈着などがあります。それぞれ発生原因が異なるため、効果的な治療法も異なります。
例えば、老人性色素斑にはレーザー治療が適しており、効果が出やすいですが、肝斑にはレーザートーニングが効果的です。肝斑に通常のレーザー治療を用いると逆効果になる場合があるため、まずは美容皮膚科でシミの種類を正確に診断してもらいましょう。
予算とダウンタイムのバランスを考える
治療法によって費用やダウンタイムが異なるため、自分の予算や生活スケジュールに合った治療法を選ぶことが大切です。
レーザー治療は即効性があるため1回あたりの費用が高めですが、フォトフェイシャルや光治療は複数回の施術が必要で、その分費用も異なります。忙しい方は、ダウンタイムの短い治療を検討してみましょう。
医師の実績や評判を確認する
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シミ取り治療には医師の診断・技術が問われるため、信頼できる医師を選ぶことが重要です。
医師の経験や過去の症例写真、患者の口コミなどを参考にし、しっかりと実績がある医師を選ぶと安心です。初回のカウンセリングで不安な点を質問し、医師の説明が丁寧かどうかも確認しましょう。
Dr.三沢
セルフチェックだけでは、シミの種類と対策が難しいため、美容皮膚科で診察・カウンセリングを受けて、あなたのシミの種類に合わせた根本的なシミ治療が必要です。
治療後のアフターケア
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シミ取り治療後のアフターケアは、治療効果の持続とシミの再発予防に非常に重要です。治療後の肌は敏感な状態で、外部からの影響を受けやすくなっています。以下のケアを徹底して行いましょう。
紫外線対策
治療後の肌は紫外線に対して非常に敏感な状態になっているため、紫外線対策が欠かせません。日焼け止めはSPF50以上のものを選び、顔全体にムラなく塗布しましょう。
帽子やサングラスで物理的なUV対策を追加するとさらに効果的です。紫外線対策は年間を通して必要ですので、習慣化していきましょう。
保湿ケア
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治療後の肌は乾燥しやすいため、保湿が重要です。洗顔後は、保湿力の高い化粧水や美容液、クリームを使って、しっかりと水分補給をしましょう。
低刺激のスキンケア製品を使用し、肌に優しいケアを心がけてください。治療後1週間ほどは、パックやオイルでの集中ケアも効果的です。
刺激を避ける
治療直後の肌は非常にデリケートです。摩擦や熱の刺激を避け、飲酒や激しい運動、サウナなど血行が過剰に促進される行為も控えましょう。
タオルで顔を拭くときも、ゴシゴシこすらずに優しく押さえるようにしながら乾かすのがコツです。
施術事例 40代 女性の肝斑治療にレーザートーニング
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目を擦るクセがある方は、摩擦によって皮膚に慢性的な炎症が起こり、結果的には茶褐色になってしまいます。洗顔している最中など顔をよく擦ったり、洗顔後にタオルで顔をゴシゴシ擦るような日頃の生活習慣によって引き起こされてしまった肝斑です。
目の下の両側に一様に広がるのが肝斑の特徴で、レーザー治療であるレーザートーニングにて、頬がほんのり赤くなくなるまで照射を行いました。頬の赤みは数時間で消失します。
肝斑治療は容易ではありません。そのため、以下のように、複合的に治療することが重要です。レーザートーニングは5回終了後(2〜4週間おきの治療)くらいから結果がでてきます。標準的には10回程度の治療を行います。
1.プリトリートメント(トラネキサム酸等の内服)
2.レーザートーニング治療
3.日頃の生活習慣を改善(顔を擦らない、日焼予防など)
詳しくは以下の施術事例の詳細もご覧ください。
【肝斑】治療にレーザートーニング 2〜4週間おきの間隔で10回
Dr.三沢
シミ改善は、定期的な通院治療、内服薬の服用、生活改善、自宅での日々のスキンケアも徹底することで、より効果が実感しやすいです。
よくあるご質問【シミ治療のFAQ】
シミ取りのクリームで自分でシミを消すことはできますか?
市販のシミ取りクリームや美白化粧品には、メラニン生成を抑える成分や、肌のターンオーバーを促進する成分が含まれており、軽度のシミやくすみに対してはある程度の効果が期待できます。特に、ビタミンC誘導体やアルブチン、トラネキサム酸を含む製品は、メラニン生成を抑え、シミが薄くなる効果があります。
しかし、深いシミや色素が濃いシミには限界があります。特に、頑固なシミや真皮層にあるシミ(例えば後天性真皮メラノサイトーシス)は、化粧品では改善が難しいため、美容皮膚科での治療が推奨されます。また、美容皮膚科で処方されるハイドロキノンやトレチノインなどの医薬品は、効果が高い反面、肌に強い刺激があるため、使用方法について医師の指導を受けてから使用しましょう。
シミを消す治療で保険適用になるにはどうしたらいいですか?
基本的に、美容目的のシミ治療は保険適用外の自由診療(全額自己負担)です。しかし、シミが皮膚がんと誤診されるリスクがある場合や、脂漏性角化症などの皮膚疾患と診断された場合には、医師の判断で保険が適用されることがあります。脂漏性角化症は、加齢とともに増える良性の皮膚腫瘍で、見た目がホクロやイボに似ているため、皮膚科での診断が推奨されます。
保険適用を希望する場合は、まずは皮膚科で診察を受け、シミの性質や治療の必要性について医師と相談しましょう。医師の診断結果によっては、保険適用での治療が可能な場合もあるため、相談してみるとよいでしょう。
まとめ【美容皮膚科のシミ取り治療】
- シミ治療は、外見の改善だけでなく、シミによるストレスやコンプレックスの解消にもつながるケアです。自分のシミの種類や肌の状態に合わせて治療法を選ぶことで、より効果的にシミを改善し、美しい肌を取り戻すことができます。信頼できる美容皮膚科でカウンセリングを受け、医師と相談しながら、自分に最適なシミ治療を見つけましょう。
- 化粧品だけでは消せないシミは、皮膚科による医師の診断+適切な治療+塗り薬の塗布や内服薬の服用+生活習慣の改善+アフターケアが大切なため、継続的な治療が必要です。