
「胸にしこりを感じたら、もしかして乳がんでは?」と不安になる女性は少なくありません。特に、30〜60代の女性はホルモンバランスの変化や乳腺の発達、加齢による乳房組織の変化が重なり、さまざまなしこりを感じやすい時期です。しこりには良性のものもあれば、注意が必要な病変もあります。
そこで今回の記事では、胸や乳首にできる「しこり」の種類やできる場所、考えられる原因や病気について、医療的な視点からわかりやすく解説します。また、しこりを見つけたときの正しい対処法や検査方法についても触れ、早期発見・早期治療で解決できるように、気になる症状がある方は、ぜひ参考にしてください。

胸のしこりと一口にいっても、その「硬さ」「大きさ」「形」「動くかどうか」「痛みの有無」など、症状には個人差があります。以下のような違いが見られます。
しこりの位置と性質は、原因となる疾患の推定に役立ちます。たとえば、乳腺の奥にある硬いしこりは乳腺線維腺腫や乳がんの可能性があり、乳首の下にある柔らかいしこりは乳腺嚢胞や乳管拡張のこともあります。

胸にしこりができる原因には、主に以下のようなものがあります。
しこり=乳がんと即断するのではなく、他の可能性も含めて冷静に見極めることが大切です。

乳腺に細菌が感染して炎症を起こす疾患です。特に授乳中の女性に多く見られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状 | 熱をもったように赤く腫れる 痛みが強く、発熱を伴うことも しこりのように硬くなる |
| 原因 | 母乳のうっ滞(詰まり) 乳頭の傷からの細菌侵入 |
| 対処法 | 授乳の仕方の見直し 抗生物質や鎮痛薬の処方 膿が溜まっている場合は切開して排膿することもあります |
若年〜30代女性に多く見られる良性の腫瘍で、乳腺の発達に関連するとされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状 | 弾力のあるしこり 触るとコロコロ動く 通常は痛みを伴わない |
| 特徴 | 数センチ程度まで成長することがある ホルモンの影響で大きくなることもある 多発することもあり |
| 対処法 | 経過観察で済むことが多い サイズが大きい場合や心配な場合は手術で摘出することもあります |
乳腺内に液体が溜まって袋状になる良性の病変です。生理周期によって大きさや痛みが変わることがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状 | 柔らかく、ゼリーのようなしこり 圧迫感や痛みが出ることがある 生理前に腫れて、後にひくことも |
| 対処法 | 基本的には良性で経過観察 痛みや不快感が強い場合は、針で中の液を抜く処置を行うこともあります |
乳腺にできる悪性腫瘍で、女性のがんの中でも罹患率が高い疾患です。30代から増え始め、40〜50代でピークを迎えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状 | 硬くて動かないしこり 乳頭からの分泌物(血液混じりなど) 皮膚のひきつれや凹み(えくぼ症状) 腋の下のリンパ節の腫れ |
| 特徴 | 初期は無症状のことも多い 早期発見なら治療成績が良好 家族歴やホルモン要因、生活習慣がリスク要因に |
| 対処法 | マンモグラフィ・エコー・MRIなどで診断 手術、放射線、薬物療法などを組み合わせて治療 |
脂肪組織にできる良性の腫瘍で、皮膚のすぐ下にできることが多く、乳房周辺にも現れることがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状 | やわらかく、ぷにぷにしたしこり ゆっくりと大きくなる傾向 基本的に痛みはないが、神経を圧迫すると痛むことも |
| 特徴 | 良性のため、急激な悪化や転移の心配は少ない 乳腺から発生するものではない |
| 対処法 | 小さければ経過観察 大きくなったり、見た目・触感が気になる場合は外科的に切除する |

乳房や乳首にしこりを感じる原因は、上述の代表的なもの以外にも多岐にわたります。以下に、知っておくと役立つ疾患や症状を紹介します。
乳房表面の皮膚直下にある静脈が炎症を起こし、しこりや痛みを伴う疾患です。乳房の表面に筋のような硬い線状のものが浮かび上がるのが特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原因 | 不明なことが多いが、打撲や激しい運動がきっかけになることも |
| 症状 | 触ると硬く、ヒリヒリした痛みがある |
| 対処法 | 自然に治癒することが多く、鎮痛剤や湿布で対応 |
乳管の中にできる良性腫瘍で、乳頭分泌物(血性など)の原因になることがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状 | しこりというよりも、乳頭からの異常な分泌で気づくことが多い |
| 対処法 | 検査により腫瘍の位置や大きさを確認し、必要に応じて摘出 |
生理周期に伴って乳腺が腫れ、痛みやしこりを感じることがあります。ホルモンの影響が強いとされ、閉経前の女性に多くみられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | 左右対称に症状が出ることが多い |
| 対処法 | 経過観察でよいが、しこりが気になる場合は検査を行い安心を得ることが大切 |

胸にしこりを感じたときは、「がんかもしれない」と焦る気持ちになることもありますが、自己判断は禁物です。冷静に行動し、正しいステップを踏むことが重要です。
上記のいずれかに当てはまり、不安を感じた場合は、早めの受診をおすすめします。
乳腺外科・婦人科は専門性が高く相談のきっかけとして有効で、形成外科・外科はしこりの性質によって適応されることもあります。
| 検査名 | 特徴・役割 |
|---|---|
| 視触診 | 医師が目と手で確認し、しこりの硬さや動き、皮膚の変化をチェック |
| 超音波検査(エコー) | 音波で内部を可視化し、しこりの性質(液体か固体か)を判定 |
| MRI検査 | より詳細な情報を得るための検査で、必要に応じて行う |
| マンモグラフィ | 乳房を板で挟んでX線撮影、石灰化や腫瘤の有無を確認 |
Dr.三沢検査は痛みや負担の少ないものから順に行われ、状況によっては複数の検査を組み合わせて診断します。

左胸の膨らみが大きくなるのに気づき、来院されました。

手術前にMRI検査を行い、患者さんの左胸に円形の腫瘤形成が認められました。
体内や皮膚の表面にできる「かたまり」や「しこり」のことを指します。原因はさまざまで、良性のものから悪性の腫瘍まで含まれます。腫瘤は、炎症や感染、脂肪のかたまり(脂肪腫)、液体がたまった袋(嚢胞)、がんなどによって生じることがあります。
大胸筋とは離れているので皮下にできた脂肪腫として、術後の傷跡が目立たないように乳輪下部をジグザグに切開して治療しました。

腫瘍を押し出し、術後出血予防のためにドレーンを留置して終了です。
術後3か月もすると、ほぼ変形もなく、傷跡も目立ちません。
Dr.三沢以下、胸にできた大きな脂肪腫のビフォア動画、症例動画もご覧ください。
良性のしこりは、境界がはっきりしていて動かせることが多く、急激な変化はあまり見られません。悪性(乳がん)のしこりは、硬くて動きにくく、形がいびつで、皮膚のひきつれや分泌物を伴うことがあります。ただし、見た目や触った感触だけで判断するのは難しいため、必ず医療機関での検査をおすすめします。
急に痛みを伴って大きくなったしこりは、乳腺炎や乳腺膿瘍、外傷による血腫などが考えられます。感染が原因となっている場合も多く、発熱や赤みを伴うことがあります。自己判断せず、できるだけ早く乳腺外来や形成外科を受診してください。
はい、乳がんのしこりは痛みを伴わないことが一般的です。痛みがないからといって安心せず、しこりに気づいた場合は年齢にかかわらず医療機関で検査を受けることが大切です。特に40代以降の方は注意が必要です。
20代の方は乳腺が発達していて全体的に張りやすく、触ると「硬い」と感じることがあります。また、ホルモンバランスの変化による乳腺症や線維腺腫といった良性のしこりもよく見られます。不安がある場合は、乳腺外来で診てもらうと安心です。
男性でも乳腺にしこりができることがあり、乳腺外来や形成外科の受診が適しています。特に乳がんや女性ホルモンの影響による女性化乳房などが疑われる場合は、専門的な検査を受けることが重要です。

形成外科専門医・救急科専門医
医学部を卒業後、日本屈指の研修施設病院である亀田総合病院で卒後研修を開始。医療の原点となる救命救急センターに8年間従事。
その後、米国臨床留学の登竜門である米国海軍病院に1年間勤務。医師として、そして外科医としてのトレーニングを研鑽し医療の礎を築き、平成28年6月に横浜市鶴見に『形成・美容外科 エムズクリニック』を開院

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