脂肪の重要性というのはこのブログなどや今話題の再生医療などでおわかり方と思います。脂肪は皮膚の下にある組織です。柔らかいので衝撃を和らげるクッション的な役割もありますが、皮膚が若々しく保っていられるためにも脂肪は重要な組織です。脂肪が委縮してくると皮膚もシワしわになり、見るからに元気のない外見となります。
重要な組織なので人間の体には万遍なく脂肪がついています。ですが、どんな人でも脂肪が少ない箇所があります。それが、足の脛(すね)の部分です。
脛を机の角などにぶつけるとものすごく痛いです。ほぼ皮膚の下には板状の脛骨という骨があります。キックボクサーなどは別としてふつうの方は鍛えてないのでちょっとぶつけただけで痛みが走ります。また、男性の方では意識できるかと思いますが、脛には毛が生えてこなくなります。これは脂肪組織が少ないので血流が悪く毛根内の毛母に血流がいかないので起こる現象です。これに伴い脛をケガすると=深くケガすると、創傷治癒の概念からすると結構大変です。
そこで、今回ご紹介するのは、40代女性で転落して駅のプラットフォームから転落して電車とホームの間に下肢を挟まれて受傷された方です。その後、足の脛(すね)の部分が変形し、歩行困難もあって来院されました。
施術前の状態です。↓
変形しています。そして、脛骨と皮膚の間は癒着しており皮膚の弾性が認められません。
そこで今回行ったのは、真皮脂肪移植という治療です。
真皮脂肪移植というのは以前からある再建技術です。最近では脂肪移植などで行うことが多いのですが、今回脛といこともありボリュームが必要だと考えて行いました。
なぜ、真皮-脂肪なのか?
それは、脂肪組織だけをブロックで移植しても生着が難しいと言われています。脂肪組織の外側には血流があって生き残るのですが、中央部分には血流が再開しないので壊死に陥ってしまいます。そこで粒上の小さな組織として移植することで生着率がアップしたのが現在の脂肪移植法です。一方、真皮をつけると一つのコンポジットされた組織片なので真皮には血流が再開しやすく、また真皮とその下の脂肪組織間の血流は遮断されていないのでスムーズに血流が再開するのです。ですから、ブロックで脂肪組織を移植する場合は真皮をつけて移植したほうが生着率がよいというのが原理です。
施術前後の比較です。
陥凹はなりました。ドナー(脂肪を取った部位)もキズまだ残っていますが、半年~1年でお腹のシワと同化すると思われます。大変結果に満足されております。
夏足を出せると喜んでおられます。
手術費用:自己負担額 約45,000円
手術リスク(副作用・合併症):出血、感染、知覚障害、痺れ、だるさ、浮腫み、手術瘢痕など