今回ご紹介する方は、
80代 女性 両側眼瞼下垂症
です。
M’sにはいつもタクシーでいらっしゃいます。両膝が悪いので歩行するのもおぼつかない様子です。
あることをきっかけにM’sの存在を知って=眼瞼下垂症の手術が可能だということを知られて来ていただいた方です。
歩行が困難プラス、眼瞼下垂症のために視界が悪い状態・・・、
いつ転倒してもおかしくない。。。
↓ 初診時の状態です。
写真上段は、初診時の状況です。左側の眉と上まぶたにご注意ください!
眉にはテープ、上まぶたには『アイプチ』(←二重を作るようのノリです。)をつけてまぶたをあげていました。
フラッシュ撮影で瞳孔中心が白く光っていません。光はほとんど入っていない状況なのでほぼ見れていない状況でした。
この方は、膝の人工関節手術を控えており、その入院期間が長くなるので、それまでになんとか視野を広げたいという要望がありました。
したがって、すぐに手術を行いました。
先天性ではないので、通常の挙筋前転法を予定して手術を行いました
が・・・・、
↓
↑上の写真向かって右側がこの方の術中状況です。
左側は同じ術野における40代の方の術野です。
比較すると一目瞭然ですが、眼瞼挙筋がこの方の場合脂肪に置き換わっているのがお分かりかと思います。
それに比べて40代の方の眼瞼挙筋は赤々として筋繊維がはっきりとしています。
ですから、脂肪変性が著しく眼瞼挙筋機能自体が全く機能していない(長期にわたる眼瞼下垂症状の状態に加齢性の変化が加わり、筋肉の退行性変化に拍車がかかったものと思われます。)状態でした。
したがって、こういうケースでは、
挙筋前転やミューラータッキング(←これに関しては後日詳しくご説明します。)などの通常の眼瞼下垂症手術に行う方法では不可能なので、前頭筋吊り上げ術を行いました
結果です。
目の開き=機能としては術前に比べて非常に良い状態です。
フラッシュ撮影で瞳孔中心が白く光っているのがわかるかと思います。
右は挙上状態が非常に良好ですが、左側がやや右に比べて挙上効果が少ないです。
見た目としては、バランスが良い状態とは言えません。
*今回、前頭筋吊り上げに対して特殊な糸を使用しており、前回『先天性眼瞼下垂症手術』で紹介した側頭筋膜などの自家移植は行なっておりません。
術前より症状は左>右の状況で左が非常に重症でした。糸での吊り上げ効果は右に比べてあまり期待できず、側頭筋膜の移植を術中に考えたのですが、手術時間が長くなるということと左側頭部に傷ができることなどを説明したところ・・・・、
『ご本人としては機能が回復したことに非常に喜んでくれて視界がものすごく広がった!!』
『よく物が見れて、嬉しい!』
とのことで現在はこの状態で経過を見ております。
左に関しては今後の状況を見ながら、また膝の関節手術が終わった頃に再来してくれるので、これからのことをご相談していく予定です。