担当医からのコメント
今回ご紹介したケースは、過去に『下まぶたのたるみ取り』を受けたことがある方の裏ハムラによる他院修正症例です。
通常、『下まぶたのたるみ取り』は、皮膚の表側を切って行い、次の工程として
①ハムラ法による眼窩脂肪移動、
②眼輪筋の吊り上げ固定、
③ミッドフェイスリフト、
④余った皮膚切除の順などで行っていきます。
詳細は、→https://msclinic-beauty.net/face-lower-eyelid/blepharoplasty/eyelids02/
このケースでは、下まつ毛の直下に明らかに手術した傷は認めていました。手術をしたのは間違いと思われました。目の下の状態として依然眼窩脂肪による膨らみが残っているため、過去の手術でハムラ法(眼窩脂肪移動)を行ったのか否かは疑問でした。
*患者さん自身はハムラ法を行ったと前医からは聞かされていたようです。
このケースでは年齢的にもA.皮膚のたるみ、B.眼輪筋の緩み、C.眼窩脂肪の膨らみ、などの全てを改善するにはもう一度皮膚の表側から行うハムラ法(表ハムラ)が適応でした。しかしながら、皮膚側を一度切っているため、皮膚の表側を切って行う修正は注意が必要です!なぜなら、術後に外反症(あっかんべー)リスクが非常に高い!!からです。
以上のことを説明し、上記のA〜C全てを改善はできないが、Cのみの眼窩脂肪による膨らみのみを改善は期待ができるかもしれない、本人からは『膨らみさえなんとかなればよい。シワが増えても仕方がないと思う。』ということで裏ハムラを行うことになりました。
目の下の膨らみを改善することができる裏ハムラ法。代表的な目の下のクマ治療でありますが、裏ハムラ法で全ての目の下のクマが改善がするわけではないこと、改善が期待できない場合があることを説明したいと思います。
その前に『目の下の膨らみ』の原因である眼窩脂肪に関して説明します。↓
眼窩脂肪は3区画:内側、中央、外側の三つで構成されています。
そして、裏ハムラ法で改善ができるのが内側と中央の二つの区画のみとなります。
↑は表ハムラでのケースです。
眼窩脂肪三区画がはっきりと分かる症例です。写真のように外側区画の脂肪体は独立して存在しており、他の二区画よりも頭側に存在するのがわかるかと思います。ハムラ法では移動できる脂肪は尾側(下側)に移動します。対象となる脂肪は内側及び中央になります。したがって、内側や中央にある二つの区画よりも頭側の高い位置に存在するため、外側区画の脂肪を移動することは不可能となります。外側区画の脂肪に関しては、原則脱脂を行います。通常の裏ハムラ法では脱脂は行いませんので、外側区画の脂肪による膨らみは改善しません。
裏ハムラ法の限界というのは、
加齢性の変化で目の下の皮膚や筋肉のたるみがある
①目の下のたるみ(皮膚、筋肉)
そして、
②外側区画の脂肪突出
に関しては適応外ということになります。
今回のケースは、一度、表ハムラをしたことがある方でした。他施設で行われた表ハムラをもう一度、皮膚側を切開して修正するのは勇気が入ります。なぜなら、外反症のリスクが高くなるからです。一度、外反症になると改善することは非常に難しいため、そこは慎重に判断しなければなりません。
今回は過去の手術歴や状態を踏まえて患者さんと『どこをゴールとするか』が重要でした。『完璧とはいかないけど、目の下の膨らみだけは改善したい』というある種の妥協点を模索した結果が裏ハムラ法でした。裏ハムラ法では皮膚や目の下の筋肉の緩みななど、そして外側区域の脂肪突出は改善が難しいですが、術前よりもスッキリとした、膨らみが改善した目元になったと満足していただけたケースをご紹介しました。
性別 | 女性 |
---|---|
年齢 | 60代 |
撮影時期 | 術後1ヶ月 |
施術ドクター | 三沢 尚弘 |
性別 | 女性 | 年齢 | 60代 |
---|---|---|---|
撮影時期 | 術後1ヶ月 | 施術ドクター | 三沢 尚弘 |
施術概要 | 裏ハムラ(経結膜的眼窩脂肪移動術) |
---|---|
施術費用 | ¥
550,000円 (税込)
|
合併症リスク | 出血、感染、術後瘢痕問題(ケロイド、肥厚性瘢痕などの発生)、麻酔・薬剤によるアレルギー・アナフィラキシーショック、ドライアイ、一過性の視力低下、顔貌の変化、まぶたの皮膚知覚障害、糸が露出する、目の中のゴロゴロ感、皮膚色素沈着、皮膚の表面の凸凹、頭痛、吐き気、その他再発など、下眼瞼外反症、仕上がりの左右差 |
この施術に関する情報
形成・美容外科
エムズクリニック 院長
形成外科専門医・救急科専門医
医学部を卒業後、日本屈指の研修施設病院である亀田総合病院で卒後研修を開始。医療の原点となる救命救急センターに8年間従事。
その後、米国臨床留学の登竜門である米国海軍病院に1年間勤務。医師として、そして外科医としてのトレーニングを研鑽し医療の礎を築き、平成28年6月に横浜市鶴見に『形成・美容外科 エムズクリニック』を開院
今回ご紹介するのは、下まぶたのタルミを過去に取ったことがある方の他院修正です。そして、裏ハムラ法の限界ケースです。裏ハムラは皮膚側から行わないので、①目の下のたるみ(皮膚、筋肉)、②外側の脂肪突出に関しては改善することができません。
担当医からのコメント
今回ご紹介したケースは、過去に『下まぶたのたるみ取り』を受けたことがある方の裏ハムラによる他院修正症例です。
通常、『下まぶたのたるみ取り』は、皮膚の表側を切って行い、次の工程として
①ハムラ法による眼窩脂肪移動、
②眼輪筋の吊り上げ固定、
③ミッドフェイスリフト、
④余った皮膚切除の順などで行っていきます。
詳細は、→https://msclinic-beauty.net/face-lower-eyelid/blepharoplasty/eyelids02/
このケースでは、下まつ毛の直下に明らかに手術した傷は認めていました。手術をしたのは間違いと思われました。目の下の状態として依然眼窩脂肪による膨らみが残っているため、過去の手術でハムラ法(眼窩脂肪移動)を行ったのか否かは疑問でした。
*患者さん自身はハムラ法を行ったと前医からは聞かされていたようです。
このケースでは年齢的にもA.皮膚のたるみ、B.眼輪筋の緩み、C.眼窩脂肪の膨らみ、などの全てを改善するにはもう一度皮膚の表側から行うハムラ法(表ハムラ)が適応でした。しかしながら、皮膚側を一度切っているため、皮膚の表側を切って行う修正は注意が必要です!なぜなら、術後に外反症(あっかんべー)リスクが非常に高い!!からです。
以上のことを説明し、上記のA〜C全てを改善はできないが、Cのみの眼窩脂肪による膨らみのみを改善は期待ができるかもしれない、本人からは『膨らみさえなんとかなればよい。シワが増えても仕方がないと思う。』ということで裏ハムラを行うことになりました。
目の下の膨らみを改善することができる裏ハムラ法。代表的な目の下のクマ治療でありますが、裏ハムラ法で全ての目の下のクマが改善がするわけではないこと、改善が期待できない場合があることを説明したいと思います。
その前に『目の下の膨らみ』の原因である眼窩脂肪に関して説明します。↓
眼窩脂肪は3区画:内側、中央、外側の三つで構成されています。
そして、裏ハムラ法で改善ができるのが内側と中央の二つの区画のみとなります。
↑は表ハムラでのケースです。
眼窩脂肪三区画がはっきりと分かる症例です。写真のように外側区画の脂肪体は独立して存在しており、他の二区画よりも頭側に存在するのがわかるかと思います。ハムラ法では移動できる脂肪は尾側(下側)に移動します。対象となる脂肪は内側及び中央になります。したがって、内側や中央にある二つの区画よりも頭側の高い位置に存在するため、外側区画の脂肪を移動することは不可能となります。外側区画の脂肪に関しては、原則脱脂を行います。通常の裏ハムラ法では脱脂は行いませんので、外側区画の脂肪による膨らみは改善しません。
裏ハムラ法の限界というのは、
加齢性の変化で目の下の皮膚や筋肉のたるみがある
①目の下のたるみ(皮膚、筋肉)
そして、
②外側区画の脂肪突出
に関しては適応外ということになります。
今回のケースは、一度、表ハムラをしたことがある方でした。他施設で行われた表ハムラをもう一度、皮膚側を切開して修正するのは勇気が入ります。なぜなら、外反症のリスクが高くなるからです。一度、外反症になると改善することは非常に難しいため、そこは慎重に判断しなければなりません。
今回は過去の手術歴や状態を踏まえて患者さんと『どこをゴールとするか』が重要でした。『完璧とはいかないけど、目の下の膨らみだけは改善したい』というある種の妥協点を模索した結果が裏ハムラ法でした。裏ハムラ法では皮膚や目の下の筋肉の緩みななど、そして外側区域の脂肪突出は改善が難しいですが、術前よりもスッキリとした、膨らみが改善した目元になったと満足していただけたケースをご紹介しました。
性別 | 女性 |
---|---|
年齢 | 60代 |
撮影時期 | 術後1ヶ月 |
施術ドクター | 三沢 尚弘 |
性別 | 女性 | 年齢 | 60代 |
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撮影時期 | 術後1ヶ月 | 施術ドクター | 三沢 尚弘 |
施術概要 | 裏ハムラ(経結膜的眼窩脂肪移動術) |
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施術費用 | ¥
550,000円 (税込)
|
副作用リスク | 出血、感染、術後瘢痕問題(ケロイド、肥厚性瘢痕などの発生)、麻酔・薬剤によるアレルギー・アナフィラキシーショック、ドライアイ、一過性の視力低下、顔貌の変化、まぶたの皮膚知覚障害、糸が露出する、目の中のゴロゴロ感、皮膚色素沈着、皮膚の表面の凸凹、頭痛、吐き気、その他再発など、下眼瞼外反症、仕上がりの左右差 |
この施術に関する情報
形成・美容外科
エムズクリニック 院長
形成外科専門医・救急科専門医
医学部を卒業後、日本屈指の研修施設病院である亀田総合病院で卒後研修を開始。医療の原点となる救命救急センターに8年間従事。
その後、米国臨床留学の登竜門である米国海軍病院に1年間勤務。医師として、そして外科医としてのトレーニングを研鑽し医療の礎を築き、平成28年6月に横浜市鶴見に『形成・美容外科 エムズクリニック』を開院
今回ご紹介するのは、下まぶたのタルミを過去に取ったことがある方の他院修正です。そして、裏ハムラ法の限界ケースです。裏ハムラは皮膚側から行わないので、①目の下のたるみ(皮膚、筋肉)、②外側の脂肪突出に関しては改善することができません。