脂肪腫は、よく『何科?に行けばいいの・・・』と聞かれることが多いデキモノです。
脂肪腫を扱う科は多数あります。一般外科~整形外科~皮膚科、そして形成外科。
脂肪腫は、皮膚の下=皮下(ひか)にできるデキモノなので皮膚を切開します。デキモノである腫瘍を完全に摘出しつつ、手術に利用した皮膚切開線にも配慮する診療科という観点でいえば間違いなく形成外科です。
脂肪腫は、粉瘤と間違われてくることが多いデキモノです。脂肪腫と粉瘤は似て非なるものです。
粉瘤に関する詳しくは、↓こちらを、
粉瘤|【傷が小さい日帰り手術】
脂肪腫は、痛みをともなくことはほとんどありません。また、自然になくなる(自然治癒)こともないデキモノ=腫瘍(しゅよう)です。まれに悪性であることもあるので手術をして摘出することが必要です。
小さいうちに摘出することで悪性化などの合併症を少なくして、結果的にも小さな傷で行うことができます。
脂肪腫における手術時間は、部位や大きさにもよって異なりますが通常30分前後です。
手術によるリスク・副作用・合併症は、
皮膚・皮下腫瘍摘出術の手術合併症
出血、感染、術後瘢痕問題(ケロイド、肥厚性瘢痕などの発生)、麻酔によるアレルギー、再発など
手術費用は、部位や大きさによって異なりますが、
脂肪腫の料金
脂肪腫手術にかかる自己負担金
露出部 ¥5,000〜¥14,000円
非露出部 ¥4,000〜¥13,000円
*露出部とは、半袖半ズボンの衣服を着用して衣服で肌が覆われない部位、例えば顔や首、前腕や膝下などの部位を言います。一方で、非露出部はその反対で衣服で覆われている部位を示します。
*費用の幅は、部位や大きさによって変わります。
*症例写真は下記を参照ください。
脂肪腫とは
皮下に発生する軟部組織の腫瘍の中では最も多くみられる良性の腫瘍( できもの)です。脂肪腫には、皮下組織に見られる浅在性脂肪腫と、筋膜下、筋肉内、筋肉間に見られる深在性脂肪腫があります。
身体の各部に発生しますが、背部、肩、頸部などに多く、次いで上腕、臀部、大腿などのからだに近い方の四肢に多くみられます。顔面、頭皮、下腿、足などは比較的まれです。
(→多くの方が、『脂肪の塊が顔にできた!』と来院されることが多いのですが、このように顔に脂肪腫が発生することは稀で多くは『粉瘤』であることが多いです。)
大きさは数mm径の小さなものから、直径が10センチ以上に及ぶものまでいろいろです。通常、痛みなどの症状は無く、皮膚がドーム状に盛り上がり、柔らかいしこりとして触れます。
診断は、臨床症状と、画像検査で行います。画像検査にはエコー検査、CT検査、MRI検査があります。区別を要する疾患として、皮膚由来の嚢腫や軟部組織の肉腫(悪性腫瘍)などがあります。画像上、悪性の分化型脂肪肉腫と鑑別が困難なこともあり、摘出し、病理組織学的検査を行った方が良いこともあります。
治療法
脂肪腫に対する治療法は手術による摘出です。
局所麻酔で行います。日帰り手術が可能です。脂肪腫の場合クリッと出てくることが多いのでまずは小切開法で行います。
*頚部、肩、そして深い部位にある脂肪腫=筋肉内脂肪腫の場合などは癒着や出血リスクが高いので小切開法で行えない場合があります。
小切開法で行えば傷跡(きずあと)は目立ちにくいです。
症例1:30代 女性
腕にできた脂肪腫です。以前から認められていたようです。
↓ 2.5cm大の脂肪腫です
小切開法で行い摘出しました。
キズは1cmです。
症例2:30代 女性
右肩にできた皮下のデキモノ。徐々に増大傾向。ご覧のように僧帽筋の左右差が出るくらいに大きくなりました。
頚部の脂肪腫は高度に癒着していることが多いので切開線が大きくなることがあります。無理に小切開法に固執すると出血や漿液腫などの発生リスクが増えます。
症例3:50代 女性
左脇腹にできた脂肪腫。肋間筋といって肋骨と肋骨の間にある筋肉ですがその中にはまり込むような状態でした。筋肉内脂肪腫でした。