乳首が乳房の内側に埋れてしまい凹んだ状態となってしまう陥没乳頭でお困りの方が多く、陥没乳頭は見た目だけの問題ではなく、さまざまな病気のリスクや授乳できないといった問題を抱えます。
また、見た目の症状から消極的になったり、女性特有のコンプレックスを抱える方も少なくありません。
40歳未満であれば、保険適応も可能なので、早めの治療をおすすめしております。
今回は、陥没乳頭・陥没乳首とはどのような症状なのか、原因やリスク、保険適用可能な治療法をご紹介します。
陥没乳頭・陥没乳首とは?
写真のように乳頭=乳首が乳房の内側に埋れてしまい、凹んだ状態のことを指します。
[左から正面、側面]
乳頭が乳輪より奥へ入り込んで出てこない状態であり、以下の2つの状態・種類に分類されます。
【仮性(軽度)】・・・指で引っ張り出したり、刺激すると突出してくる場合
【真性(重度)】・・・そうでない場合で、指で引っ張っても出てこない状態
上記の状態を陥没乳頭(かんぼつにゅうとう)、または、陥没乳首(かんぼつちくび)と呼ばれます。
Grade(重症度分類)Ⅰ~Ⅲに分類
陥没乳頭は、陥没の状態によって、以下のⅠ~Ⅲの重症度で分類されます。
Grade Ⅰ:
引っ込んでいるが刺激や指などで乳頭部分を引き出すことが容易にできる状態。
Grade Ⅱ:
Grade Ⅰのように引きだすことが可能だが、すぐに元の陥没した状態に戻ってしまう。
Grade Ⅲ:
乳頭部分は完全に落ち込んで陥凹(凹んだ)を形成していて、刺激や指などで引き出すことは極めて困難な状態。
上記の陥没乳頭重症度分類:Grade Ⅱ、Ⅲが手術による治療が必要となります。
陥没乳頭の原因
主に比較的胸の大きい方に認められ、乳腺と乳管の発育バランスの障害で起こります。
通常、乳房が大きくなると、乳管は乳頭に向かって突出して発育しますが、乳管の形成不全によって、うまく乳頭側に突出しないという状態になります。
乳管の束が集まって、硬い瘢痕組織というものを形成し、乳頭を引き込んでしまっており、瘢痕(はんこん)を解除しない限り、乳頭は突出しません。
上記のように、発育途中で起こる先天的な場合のほかに、乳房の手術後に現れる後天的な場合もあります。
陥没乳頭は珍しい疾患ではないのですが、悩まれている女性が多く、以下のようなリスクもかかえています。
授乳ができない・病気のリスク
陥没乳頭の疾患を放置しておくと、以下のような問題・リスクがあります。
- 美容のため、見た目に不自然な状態が続く
- 乳腺炎を起こす可能性がある
- 出産後であれば、赤ちゃんが乳首を咥えることができず、授乳ができない
- 真性の症状で、陥没した部位に汚れがたまり、菌が増殖・感染する可能性がある
乳腺炎は、乳腺が炎症を起こす病気で、うつ伏せに寝られないほど激しい痛みをともなったり、発熱して日常生活に支障をきたしたり、膿がたまった場合は、切開する手術が必要になる場合があります。
このような症状に気付いて、出産後の授乳前に治療を受けても間に合わない可能性があり、保険適用の期間も考慮すると、専門の医師による診断と早期の治療が肝心です。
後悔しないために、こんな症状の方は診断が必要
- 乳首が凹んだ状態に見える
- 乳首が平坦でくぼんでいる
- 乳腺炎を繰り返している
保険適用ができる切らない手術・治療法
陥没乳頭が原因で授乳に障害があると思われる場合は、保険適応が可能です。
保険が適用される主な要件(条件)は、以下のとおりです。
- 40歳未満である
- 出産後、授乳の予定がある
- 医師により、授乳が困難であると診断された
従来の治療法
軽症の場合は特殊な吸引器具で改善したり、上記のような従来行われている乳頭を上方に引っ張り出して吊り上げ固定する方法が行われてきましたが、日常生活にも制限がかかるため、新しい治療法である【切らない陥没乳頭形成】を推奨しております。
切らない陥没乳頭形成の特徴
- 美容の面でも見た目を良くし、乳頭を突出させた状態にする
- 後戻り(再度、陥没)しないようにし、授乳機能を温存できる
- 2ミリほどの小切開のため、目立たない小さな傷で、術後に突出した乳首の根本に隠れるので、ほぼ分かりません
- 母乳が通る管を傷つける可能性が低い
- ダウンタイムが少なく、術後の仕上がりも良く、再発率が少ない
- アフターケアも万全
施術のリスク
出血、感染、知覚障害、授乳障害、再発など
※乳管を傷つけたり、陥没乳頭の再発を防ぐためにも、専門医による診察と治療が必要で、切らない陥没乳頭形成手術はエムズ(M‘s Clinic)の治療法です。
切らない陥没乳頭形成手術の流れ
- 【1.】医師による診断
- 【2.】乳頭2ミリ程度の小切開手術
- 【3.】吸収糸による再発防止の縫合
- 【4.】1週間後に抜糸
【術後1ヶ月の状態】
※術後1ヶ月たっても手術の傷は、ほぼわからない状態です。
エムズクリニックによる陥没乳頭の過去の症例・施術事例は、上記からご覧ください。
3割負担の保険適応後の自己負担金
両方 陥没乳頭手術 45,000円(税抜)
まとめ
- 見た目の美容のため、病気のリスク回避のためにも、陥没乳頭の症状が見られる場合は、専門医による診断をおすすめします。
- 特に授乳予定のある40歳未満の方は、保険適用が可能なため、早期の治療であれば、授乳期間にも間に合い、諦めていた方も母乳で育児が可能となります。
よくあるご質問
病院では何科に受診するのがいいですか?
『陥没乳頭は何科にかかればいいでしょうか?』というご質問がありますが、形成外科が専門になります。外科の専門医・美容外科の名医を探される方が多いようです。
どういった場合が治療(手術)の対象となりますか?
前述の陥没乳頭重症度分類:Grade Ⅱ、Ⅲが手術による治療が必要となります。
刺激や指で引きだせない状態は重度となり、真性陥没乳頭(Grade Ⅲ)と呼ばれる状態です。
この場合は治療が必要となります。真性陥没乳頭では凹んだ部分に汚れなどが溜まって、不衛生な状態となり、痒みや痛みなど、場合によって炎症や感染症が起こることがあります。
また、刺激や指で乳頭部分を引き出せてもすぐにもとの状態に戻ってしまう場合を仮性陥没乳頭(Grade Ⅱ)と言いますが、この場合、真性陥没乳頭のように炎症や感染などを起こすことは稀ですが、出産を迎え、授乳をする際に出てもすぐに陥没してしまう乳頭のままだと、赤ちゃんが乳頭部分を咥えることができないため、授乳障害を起こしたり、乳汁排出ができないので、乳腺炎などを繰り返し起こすことがあります。
真性及び仮性の方においても手術による治療をおすすめします。
陥没乳頭は保険適用がされますか?また、その対象を教えてください。
陥没乳頭の重症度分類のGrade Ⅱ、Ⅲが保険適用となります。また、陥没乳頭は授乳に関係があるため、以下の3つのいずれかを満たす方が対象となります。
【1】40歳未満の方、【2】今後授乳の予定がある方、【3】授乳が困難であると診断された方
市販の乳頭吸引器や補正器でも改善されますか?
刺激などで出てくる軽度の仮性陥没乳頭であれば、多少の効果があるかもしれません。
Grade ⅠやⅡの軽度~中等度の陥没乳頭では、一度は試す価値はあるかと思います。
しかし、器具を使っても一時的でしばらくすると、元の状態へと戻ってしまう場合や、すぐに引っ込んでしまうために何度も繰り返し行うことは、注意が必要です。
器具を使っても容易にできない場合には、無理に何度も繰り返すのは危険です。
吸引によって内出血が生じたり、吸引圧が強すぎると腫れて炎症や状況によっては皮膚の障害(壊死など)を起こすことがあります。
無理に何度を繰り返し行ったりはせず、一度、診察を受けていただくことをおすすめします。
手術を受ける場合、手術時間はどれ位かかりますか?
手術室に入ったあと、お着替えをしていただき、術後の感染症を予防するための抗生剤の点滴を行います。
その後、局所麻酔を行い、手術を開始するのですが、実際の手術時間は片側で15~20分程度、両側で約30分~40分程度になります。
手術後の入院は不要です。手術後はすぐに帰宅いただき、普段どおりの生活が可能です。
手術中の痛み、手術後に痛みが出ることはありますか?
手術前におこなう麻酔によって、手術中は無痛ですので、ご安心ください。
当院でおこなう陥没乳頭形成術では、2ミリ程度の小切開で行います。そのため、術後の痛みも最小限に抑えることができます。
手術後は、痛み止めを処方しておりますので、日常生活に支障が出るようなことは、ほぼありません。
※痛みの感じ方は個人差がありますが、これまでの術中・術後に大きな痛みを感じられた方はほとんどおられません。
手術後は、すぐに日常の生活ができるようになりますか?
手術を終了したら、患部を医療用絆創膏などで患部を覆い、その上から防水シートを貼付します。そのため、術後当日より、シャワー浴をすることが可能です。
ご注意いただく点としては、術後1週間(抜糸を行うまでの間)は、飲酒や激しい運動は控えていただきます。
患部には抜糸までの1週間、処方した軟膏薬を塗ってもらい、直接患部をこするなどの刺激を与えないように、ご注意ください。
手術したあとに、また凹んでしまうことはありませんでしょうか?
陥没乳頭形成術の手術方法は、数多く存在します。
ある研究では、それら全ての手術法をまとめたところ、術後に起こる再発率は30%という報告がなされています。
一方で、当院で行っている【乳管を傷つけないで行う小切開法】では6%と報告されています。
実際に術後の再発を起こすケースもありますが、当院ではその6%よりも少ないのが現状です。
再発は陥没乳頭の重症度などによっても異なります。また、乳頭は衣服や下着などによって圧迫を受けています。
そういった外力やその方のライフスタイル(うつ伏せやヨガや運動など)によっても影響を受けます。再発を防止するためには、術後の環境にも注意することが重要です。
治療したあと授乳は可能でしょうか?
陥没乳頭は、乳管の発育障害といわれています。
発育しない乳管の周りに癒着や繊維組織などが生じて、乳管を萎縮(縮こまった)させた状態となります。
治療によってその萎縮した乳管を伸ばして、正常な状態にするのですが、障害の程度によっては乳管が完全に萎縮してしまっている場合があります。
治療によっても正常な状態に戻しても乳管という管(くだ)の内腔が完全に機能してない可能性があります。
ですが、これは治療を行ってからでないと分かりません。授乳期になって初めてわかるものです。
だからといって、そのままの状態で放置しておけば、陥没した乳頭内が不衛生で清潔を保てず、炎症など引き起こします。また、いざ授乳をしようと思っても、陥没したままだと赤ちゃんが乳首を咥えられないという結果につながります。
当院で行っている【乳管を傷つけないで行う小切開法】は乳管を傷つけないように行うことが可能です。
参照:陥没乳頭治療 施術事例 〜術後の乳汁分泌〜
乳管を傷つけないように、乳管の周りの癒着を解除して、突出させる方法です。