
まぶたが下がって目が開けにくくなる「眼瞼下垂(がんけんかすい)」は、見た目だけでなく生活の質に直結する症状です。目の開きが悪くなると、視界が狭まり日常生活に支障をきたすこともあります。さらに、頭痛や肩こり、眼精疲労など、全身に影響するケースも少なくありません。
しかし治療を検討した際、患者さまが最初に迷いやすいのが「保険適用になるのか、それとも自費診療になるのか」という点です。同じ「眼瞼下垂手術」でも、保険が使える場合と全額自己負担になる場合があるため、その違いを理解しておくことはとても大切です。
結論から申し上げると、生活に支障が出ている機能的な眼瞼下垂は保険適用の対象になり、美容目的の治療は自費診療となるのが原則です。そして形成外科・美容外科では、保険診療であってもデザインを重視し、自然で左右差のない仕上がりを目指す治療が行われています。
今回の記事では、眼瞼下垂における保険適用の条件と自費診療との違いをわかりやすく解説し、さらに治療法や仕上がりのデザイン性についても詳しくご紹介します。
眼瞼下垂症 保険適用・自費診療の違い

眼瞼下垂の治療は、大きく分けて「保険適用の治療」と「自費診療(美容目的の治療)」の2種類があります。
項目 |
内容 |
保険適用の治療 |
目的:視野の確保・機能改善
特徴:黒目が瞼で隠れて視界が狭い、頭痛や肩こりがあるなど日常生活に支障がある場合に対象となります。
費用:3割負担で数万円程度(両目手術でも10万円未満が一般的)。 |
自費診療の治療 |
目的:美容改善(見た目を整える)
特徴:「目を大きく見せたい」「二重のラインをきれいにしたい」など、美容的な要望をもとに行う治療です。
費用:全額自己負担となり、クリニックによっては20〜50万円以上かかることもあります。 |
同じ「眼瞼下垂の手術」でも、機能改善を目的とするのか、美容的な改善を重視するのかによって、負担額や治療の位置づけが大きく異なります。
眼瞼下垂が保険適用となる主な条件

保険適用となる見分け方・判断基準
医師が診察の際に確認するポイントは以下の通りです。
- 黒目(瞳孔)の1/3以上がまぶたに隠れている
- 視界が狭くなり、日常生活に明らかな支障がある
- 額の筋肉を使って眉を上げ、無理に目を開けている
- 長期間の眼精疲労・頭痛・肩こりがある
これらが当てはまる場合は、機能障害として保険診療が認められるケースが多いです。
軽度の場合・重度の場合

- 軽度の眼瞼下垂
黒目がやや隠れる程度で、生活に大きな支障がない場合は、保険適用外と判断されることがあります。この場合は、美容目的とみなされ自費診療になるケースがほとんどです。
- 重度の眼瞼下垂
黒目の半分以上が隠れ、視野が欠けている場合は高確率で保険適用になります。特に日常生活に支障が出ている例(運転が危険、仕事に支障があるなど)は、医師が積極的に保険適用を検討します。
判断の難しさ
保険適用かどうかは医師の診断に委ねられるため、「自分では視界が狭いと感じるが、医師にとっては軽度と判断される」というケースもあります。
眼瞼下垂が保険適用となる場合のデザインについて

保険診療では「機能改善」が最優先ですが、形成外科や美容外科ではデザイン性にも配慮します。
形成外科・美容外科の配慮
- 左右差の少ない自然な目元をつくる
- 二重ラインを考慮して仕上げる
- 過度に目が開きすぎないようバランスをとる
このように、保険適用でも「仕上がり」を重視してくれるのが形成外科・美容外科の特徴です。特に美容外科では、「ただ見えるようにする」だけでなく、若々しさや自然な印象を大切にした治療が行われています。
デザインを考慮するメリット
- 見た目の印象が改善し、心理的な満足度が高い
- 社会生活での第一印象が良くなる
- 機能回復と同時に美容的な効果も得られる
単なる「視界の改善」にとどまらず、バランスの取れた目元を取り戻せる点は大きなメリットです。
眼瞼下垂の治療法 形成外科・美容外科で診察

主な治療法 |
内容 |
腱膜前転法(けんまくぜんてんほう) |
まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の腱膜を修復し、まぶたの開きを改善する。保険診療で最も多い方法。 |
挙筋短縮法 |
筋肉自体を短縮して引き上げ力を強める方法。重度の場合に適応されることが多い。 |
切らない眼瞼下垂手術(自費診療) |
糸を用いてまぶたを吊り上げる方法。ダウンタイムが短く、美容目的向けの自費診療となります。 |
形成外科での特徴
- 機能改善を目的に保険適用手術を中心に行う
- 医師が解剖学的知識に基づき、自然な目の動きを重視する
- デザインの配慮もしながら、生活の質改善を優先
美容外科での特徴
- デザイン性を重視し、二重の幅や形までオーダーメイドで調整可能
- 保険適用外になることがあるが、美容と機能の両立を追求できる
- 若々しい印象や理想の目元を求める方に適している
Dr.三沢
横浜のエムズクリニックは形成外科・美容外科のため、保険診療でも左右差がないバランスが整った見た目(デザイン)に配慮した自然な目を形成します。
まとめ
- 眼瞼下垂の治療には、保険適用と自費診療があります。
・視界の狭さや頭痛・肩こりなど生活に支障があれば保険適用
・美容的な改善のみが目的であれば自費診療
・形成外科や美容外科では、保険診療でも「左右差の少ない自然なデザイン」に配慮した手術が行われる
- 眼瞼下垂は放置すると見た目だけでなく、生活の不便さや健康への影響も大きくなります。まずは「自分の症状が保険適用の基準に当てはまるのか」を知り、適切な医師に相談することが大切です。
- そして、形成外科や美容外科であれば、機能改善とデザイン性を両立した治療が可能です。眼瞼下垂に悩んでいる方は、ぜひ保険適用の条件を理解した上で診察を受け、自然で快適な目元を取り戻す一歩を踏み出しましょう。