
眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)は、まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の働きが弱くなり、目が十分に開かなくなる状態です。加齢による筋肉や腱膜の緩み、ハードコンタクトレンズの長期使用、外傷、先天的な要因など、原因はさまざまです。見た目の問題だけでなく、視界が狭くなったり、頭痛や肩こりなど全身に影響を及ぼすこともあるため、医療的治療を検討される方が増えています。
眼瞼下垂の手術は、下がったまぶたを持ち上げ、開きを改善することで視界を広げ、若々しい印象を取り戻すことを目的としています。
しかし、手術を受ける上で気になるのが「ダウンタイム(回復期間)」です。特に仕事をしている方は、「どのくらい休みを取ればいいのか」「人前に出られるのはいつからか」と不安を感じる方が多いでしょう。
今回の記事では、眼瞼下垂の手術後に起こるダウンタイムの症状や期間、仕事復帰までの目安、回復を早めるための過ごし方などを詳しく解説します。ダウンタイムを正しく理解し、焦らず回復を待つことで、自然で満足度の高い仕上がりを得ることができます。
眼瞼下垂の手術後のダウンタイムとは?

ダウンタイムとは?
手術を受けたあとに腫れや内出血などの症状が落ち着き、通常の生活に戻るまでの期間を指します。
眼瞼下垂の手術後は、見た目の変化が生じやすい目元の手術であるため、ダウンタイムに対して特に慎重なケアが必要です。
ダウンタイムが起こる理由
まぶたは非常に薄い皮膚で構成されており、血流が豊富です。そのため、手術によって血管や組織が刺激されると、腫れや内出血が生じやすくなります。また、手術中に切開や縫合を行うため、創部の修復に時間がかかるのも自然な反応です。
手術方法による違い
- 切開法(挙筋前転法など):皮膚を切開して挙筋を短縮・固定する方法。腫れやダウンタイムは長めで、回復までに2〜3週間を要することが多いです。
- 埋没法・ミュラー筋タッキング法:皮膚を切開せず、糸で筋肉を短縮する方法。腫れが軽く、1週間程度で落ち着くケースもあります。
どの方法でも、1〜2週間は見た目に変化が残ることが多く、完全に自然な状態に戻るまでには1〜3か月を見ておくと安心です。
ダウンタイム中の主な症状
症状 |
内容 |
腫れ |
手術直後から始まり、1〜3日目にピークを迎えます。まぶた全体がむくんだように重く感じられ、個人差はありますが、1〜2週間で目立たなくなります。 |
内出血 |
皮下に血液がにじむことで、まぶたが紫〜黄色っぽく変色します。1〜2週間で自然に吸収されます。 |
つっぱり感・異物感 |
縫合部や内部の組織が回復するまで違和感がありますが、1〜2週間で軽減します。 |
左右差 |
腫れの度合いや組織の回復スピードにより、左右差が出る場合がありますが、最終的には整うことが多いです。 |
当院の眼瞼下垂 施術事例は以下からご覧ください。
右目の片側 先天性眼瞼下垂症を挙筋前転法のみで改善(左目は二重埋没法)
眼瞼下垂症手術(切開式)の事例一覧はこちら
一般的なダウンタイムの期間と症状の経過

手術後の経過は個人差がありますが、おおよその流れは次のようになります。
手術当日
麻酔が切れた後に軽い痛みや熱感を感じることがあります。まぶたは腫れ始め、少し突っ張るような感覚があります。
この日は安静が最優先。できるだけ横にならず、上半身を起こした姿勢で過ごすと腫れを軽減できます。
1〜3日目(腫れのピーク)
まぶたの腫れが最も強く出る時期です。まぶたが重く開けづらい感覚があり、内出血が出る場合もあります。
氷や保冷剤をタオルに包んで「10分冷やして10分休む」を繰り返すと、腫れを最小限に抑えられます。
洗顔・メイクは避け、処方された抗生物質や点眼薬を忘れずに使用します。
4〜7日目
腫れや内出血が少しずつ引いてきます。切開法の場合、この期間に抜糸を行います。抜糸後は傷口のつっぱり感が軽減し、目の開きも自然になります。
この時期から軽い外出や短時間の仕事復帰が可能な方もいます。
1〜2週間後
腫れや赤みがかなり落ち着き、見た目も安定してきます。
メイクや洗顔も許可が出れば再開可能です。
ただし、むくみや左右差がわずかに残る場合もありますので、まだ完成ではありません。
1か月後
まぶたの腫れがほぼ落ち着き、二重ラインも自然になります。軽い運動や入浴も再開でき、日常生活の制限はほとんどなくなります。
まぶたの皮膚感覚も安定し、違和感が少なくなっていきます。
3か月後
最終的な完成時期です。まぶたの状態が安定し、ラインも自然で左右差も気にならなくなります。
傷跡はまぶたのシワに馴染み、ほとんど見えなくなります。
手術後の仕事への影響・仕事復帰できる目安

眼瞼下垂の手術を受ける際、多くの方が最も悩むのが「いつから仕事に復帰できるか」という点です。
仕事内容や体への負担度によって目安は変わります。
- 1. デスクワークの場合
比較的早く復帰が可能で、3〜7日程度が目安です。
腫れが残っていても、メガネをかけたり、マスクでカバーすれば目立ちにくくなります。
ただし、長時間のパソコン作業は目の乾燥や疲労を悪化させるため、1時間ごとに5〜10分の休憩を挟むとよいでしょう。
- 2. 接客・営業職の場合
人前に立つ仕事では、10日〜2週間程度の休養を取るのが理想です。
まぶたの赤みやむくみが残ると印象に影響するため、余裕を持って復帰時期を決めることをおすすめします。
- 3. 肉体労働や外仕事の場合
汗や埃が手術部位に入りやすいため、2〜3週間程度の休養が望ましいです。
早期に復帰すると感染や傷の開きにつながるおそれがあるため、医師の許可を得てから再開することが大切です。
- 4. 職場復帰をスムーズにするコツ
・手術翌日から冷却を徹底する
・枕を高くして寝ることで翌朝のむくみを軽減
・栄養バランスの取れた食事(ビタミンC・たんぱく質中心)で回復を促す
・睡眠不足を避け、免疫力を高める
早く社会復帰したい気持ちは理解できますが、無理に出勤すると仕上がりに影響が出ることもあります。
焦らず回復を優先することが、最終的に満足度の高い結果をもたらします。
眼瞼下垂 手術後の経過と過ごし方

術後の過ごし方は、腫れの引き具合や最終的な仕上がりに直結します。以下のポイントを意識しましょう。
術後48時間は「冷却」
冷却は腫れや炎症を抑えるための最も重要なケアです。
冷やすときは、清潔なタオルや保冷剤を使用し、直接皮膚に当てないようにしましょう。
寝るときは枕を2枚重ねるなどして上体を高く保つと、翌朝のむくみを軽減できます。
1週間以降は「安静と清潔」
入浴や運動、飲酒など血流を促す行為は控えます。
シャワーを浴びる際も顔に直接お湯を当てず、やさしく洗うようにします。
また、汗をかくスポーツやサウナは1か月程度控えるのが無難です。
メイク・コンタクトレンズは医師の許可後に
抜糸翌日からメイクが可能になるケースもありますが、アイラインやマスカラなど刺激が強い化粧品は1〜2週間後まで控えましょう。
コンタクトレンズも1週間〜10日後以降に再開するのが目安です。
生活習慣で回復を早める
- 塩分を控えた食事でむくみを防ぐ
- 水分をこまめに摂取し、老廃物を排出
- ビタミンCやコラーゲンを多く含む食品(フルーツ、鶏むね肉など)を積極的に摂る
- 十分な睡眠で細胞の修復を促す
精神的な焦りを持たない
鏡を見るたびに「まだ腫れている」「左右が違う」と不安に感じる方もいますが、目元の組織は非常にデリケートで、回復には時間が必要です。
焦らず、医師の指導に従って経過を観察することが何より大切です。
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まとめ
- 眼瞼下垂の手術後は、腫れや内出血が落ち着くまで約1〜2週間、自然な仕上がりになるまで1〜3か月が目安です。
仕事復帰の時期は職種によって異なり、デスクワークなら1週間前後、接客業なら2週間、肉体労働なら3週間ほどを想定しておくと安心です。
- ダウンタイム中は、冷却・安静・睡眠・食生活といった基本的なケアを丁寧に行いましょう。
術後の過ごし方を正しく守ることで、腫れを最小限に抑え、自然で美しい仕上がりが得られます。
- 焦らず回復を待ち、医師と連携しながら自分のペースで仕事復帰を進めることが、満足度の高い眼瞼下垂手術への近道です。
手術を前向きに捉え、回復期間をしっかりと計画に組み込むことで、自然で若々しい目元と快適な生活を取り戻しましょう。