基礎知識コラム
「最近、目を開けづらい」「視界が狭く感じる」「目元に疲れを感じる」といった症状を感じたことはありませんか?また、他人から「眠そう」「疲れている」と言われることが増えていませんか?
こうした症状は、眼瞼下垂(がんけんかすい)が原因かもしれません。
まぶたを支える筋肉や腱の機能低下によって起こる疾患です。この病気は、加齢や外傷、ハードコンタクトレンズの使用などさまざまな要因で進行し、見た目だけでなく視界や健康に悪影響を及ぼします。放置すると、視野の狭まりだけでなく、慢性的な肩こり、頭痛、姿勢の悪化につながることもあります。
今回の記事では、眼瞼下垂の自宅でできるセルフチェック方法、間違えやすい疾患との違い、進行要因、そして美容外科での治療法について詳しく解説します。
この記事を読むことで、自分の症状を適切に理解し、治療を受けるための一歩を踏み出すきっかけにしてください。
眼瞼下垂は、似た症状を持つ他の疾患や状態と混同されやすいため、正しい知識を持つことが重要です。以下、特に誤解されやすい疾患とその特徴を挙げます。
眼瞼下垂の症状は、日常生活の中で徐々に気づかれることが多いです。以下のような症状がある場合、眼瞼下垂を疑う必要があります。
20〜30代の若い方であっても一重の方は『隠れ眼瞼下垂』が多く、40代・50代・60代と歳を重ねるごとに『まぶたが下がっている』という場合も、目元専門の医療機関で受診することをオススメします。
眼瞼下垂が進行する原因は、個人の生活習慣や健康状態によって異なります。以下に主な要因を挙げます。
状況 | 内容 |
---|---|
腱膜性眼瞼下垂の進行 | 加齢により、まぶたを持ち上げる筋肉(挙筋)を支える腱膜が緩んだり、脱離したりします。これにより、まぶたが持ち上がらなくなります。特に、長年のまばたきの繰り返しや重力の影響で腱膜が劣化しやすくなります。 |
皮膚や筋肉の弛緩 | 加齢とともに皮膚や筋肉がたるみ、重くなったまぶたが下がることで、眼瞼下垂が進行します。このタイプは「加齢性眼瞼下垂」と呼ばれ、高齢者に多く見られます。 |
眼瞼周囲の脂肪量の変化 | 眼窩脂肪が減少または変位することで、まぶたの構造が崩れ、眼瞼下垂のリスクが高まります。 |
状況 | 内容 |
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挙筋腱膜への負荷 | ハードコンタクトレンズを頻繁に装着・取り外しする際、無意識にまぶたを引っ張る動作を繰り返します。この力が挙筋腱膜に負担をかけ、腱膜が緩む原因になります。 |
慢性的な刺激 | ハードコンタクトレンズは装着中、まぶたに軽度の摩擦や圧力を与えるため、これが長期的に挙筋腱膜に影響を及ぼします。 |
炎症の誘発 | レンズの使用に伴い、まぶたや眼球周辺で慢性的な炎症が発生することがあります。この炎症が組織を傷つけたり、腱膜を劣化させたりして眼瞼下垂を引き起こすことがあります。 |
状況 | 内容 |
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眼科手術後の影響 | 白内障手術や網膜剥離手術などの眼科手術で、手術器具がまぶたや挙筋腱膜に影響を与えることがあります。特に手術中にまぶたが過度に牽引されると、腱膜が緩んで眼瞼下垂を引き起こす可能性があります。 |
美容整形手術後の影響 | 二重術やまぶたのたるみ取りなどの美容整形手術で、まぶたの構造が変化したり、挙筋腱膜に負担がかかったりすることで眼瞼下垂が生じることがあります。 |
術後の瘢痕形成 | 手術後にまぶた周囲で瘢痕(傷跡)が形成されると、挙筋の動きが制限され、眼瞼下垂を進行させる場合があります。 |
状況 | 内容 |
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外傷による影響 | まぶたや眼窩への直接的な外傷により、挙筋腱膜が損傷を受ける場合があります。これにより、筋肉や腱膜の機能が低下し、眼瞼下垂が発生・進行することがあります。 |
神経疾患 | 挙筋を制御する動眼神経が麻痺または損傷を受けると、まぶたを持ち上げる能力が低下します。このような神経麻痺は、糖尿病や高血圧などの全身疾患が原因となる場合があります。 |
筋疾患 | 筋ジストロフィーや重症筋無力症など、筋肉の働きが弱くなる病気も眼瞼下垂の原因です。これらの疾患では、挙筋自体が正常に機能しなくなります。 |
腫瘍や炎症 | 眼窩内の腫瘍や炎症がまぶたや挙筋に影響を与えることで、眼瞼下垂が進行する場合があります。 |
以下は、自宅で簡単にできるセルフチェックの方法です。これらのチェックを通じて、眼瞼下垂の兆候を早期に把握しましょう。
測定 | 内容 |
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MRD(瞳孔中心距離)の測定 | 瞳孔の中心から上まぶたの縁までの距離を測ります。この距離が2mm以下であれば眼瞼下垂が疑われます。 |
眉固定テスト | 手で眉毛を押さえた状態で目を開けてみます。眉毛を固定した状態で目を十分に開けられない場合、眼瞼下垂の可能性があります。 |
眼瞼下垂の症状が疑われる場合、目元の専門医による治療が必要です。以下に一般的な流れを説明します。
– 視力検査や視野検査を通じて視界への影響を確認。
– 筋肉や腱の機能を評価するための筋力検査。
症状の重症度や原因を特定し、治療方針を決定します。他の疾患が疑われる場合、追加の検査が行われます。
– 軽度の場合:リハビリや生活改善が推奨されることがあります。
– 中等度・重度の場合:手術が主な治療法で、筋肉や腱を調整し、まぶたの位置を改善します。
眼瞼下垂と診断された場合:保険適用 挙筋前転法 切開法
眼瞼下垂と診断されなかった場合:自費診療 切らない眼瞼下垂手術
手術後は1〜2週間で腫れが引きます。適切なケアを行うことで回復がスムーズになります。
切らない眼瞼下垂治療は、腫れや内出血などのダウンタイムを最小限におさえて眼瞼下垂を改善し、くぼみ目を治したり、自然な目の状態・希望の二重ラインを形成することも可能です。
若い20代、先天性の可能性もありますが、花粉症で目を擦るクセがあり、コンタクトレンズユーザーのため、後天性も原因と思われる眼瞼下垂症です。
機械的刺激も後天的に加わって、眼瞼下垂症状を引き起こしたことが予想されます。最大開瞼時(ビックリした目をしたとき)には瞳孔上縁は隠れています。
眼瞼下垂症の治療として、挙筋前転術を行いました。術中所見では、右目の隔膜部切開を行うと、線維性癒着が激しく、眼瞼挙筋には著名な萎縮が認められ、挙筋前転の固定位置が難渋しました。
結果として右目の腫れが著しく術後に左右差が認められましたが術後の経過は良好です。眼瞼下垂症の黒目の大きさを揃えるのは大変難しいですが、二重幅の左右差の修正はそれに比べると難しくありません。
黒目の大きさを揃えることが家づくりで言うところの基礎工事で、建物が二重形成です。眼瞼下垂症手術をしっかりと行い、黒目の大きさを揃えてから二重形成を行う、これは重瞼手術(二重形成)における基本のコンセプトです。
眼瞼下垂(がんけんかすい)は先天性・後天性のある病気です。まぶたを引き上げる筋肉や腱が弱ることで起こり、見た目の変化だけでなく、視界の悪化や慢性的な肩こり、頭痛、心理的負担を引き起こします。放置すると以下のような症状が進行し、生活の質に深刻な影響を与えるため、早めの治療が必要です。
1. 視界の悪化
まぶたが垂れ下がることで、上方の視野が遮られます。これにより、運転や作業時に支障をきたし、事故のリスクも高まります。
2. 慢性的な体の不調
視界を確保しようと無意識に額や首を使うことで、慢性的な肩こりや頭痛が生じます。
3. 外見への影響と心理的負担
まぶたが下がることで「眠そう」「疲れている」といった印象を与えるため、対人関係や自己イメージに影響を及ぼすことがあります。
4. 進行性の疾患
症状は自然に改善することはなく、加齢や日常の負担により進行してしまいます。
進行を防ぎ、症状を軽減するためには、以下の方法やトレーニングが挙げられます。
1. 目元の負担を軽減する
ハードコンタクトレンズの長期間使用を避け、必要に応じてメガネやソフトコンタクトレンズに切り替えましょう。長時間のパソコンやスマートフォンの使用も控え、適度に目を休めることが大切です。
2. 目元の筋力を鍛えるトレーニング
まぶたを軽く閉じたり開けたりする運動を毎日行うことで、筋力低下を防ぐ効果があります。
3. 健康的な生活習慣を心がける
栄養バランスの取れた食事をとり、特に筋肉や腱の健康を保つためにたんぱく質やビタミンを積極的に摂取しましょう。また、十分な睡眠を確保して目元の疲労回復を促します。
4. セルフチェックの習慣化
鏡でまぶたの位置や左右差、瞳孔の覆い具合を確認し、違和感を感じた場合は早めに医師に相談してください。
形成外科専門医・救急科専門医
医学部を卒業後、日本屈指の研修施設病院である亀田総合病院で卒後研修を開始。医療の原点となる救命救急センターに8年間従事。
その後、米国臨床留学の登竜門である米国海軍病院に1年間勤務。医師として、そして外科医としてのトレーニングを研鑽し医療の礎を築き、平成28年6月に横浜市鶴見に『形成・美容外科 エムズクリニック』を開院
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