
多くの人にとって、目の下のクマたるみは年齢とともに見た目に大きく影響し、疲れた印象や老けた印象を与えてしまいます。目の下のクマの原因は複数あり、それに合わせたケアが重要です。
今回は、一般的なクマ取りの治療法として、余分な脂肪を取り除く『経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)』のダウンタイムと注意点をお伝えします。
Dr.三沢
経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)はリスクもあるので、オススメのクマ取り治療について、以下の記事も参考にしてください。
経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)とは?

経結膜脱脂法/下眼瞼脱脂術とは?
目の下の余分な脂肪をまぶたの裏側(結膜側)から取り除く手術法です。経結膜脱脂法(けいけつまくだっしほう)、下眼瞼脱脂術(かがんけんだっしじゅつ)、または単に脱脂と呼ばれます。表皮に切開を加えずに施術が行われるため、傷が残らないというメリットがあります。
ダウンタイムは短めで、術後のケアも比較的簡単なため、忙しい方や手術をしたことを周囲に知られたくない方に適しています。施術後は、目元がすっきりとし、若々しい印象に変わるため、見た目を大幅に改善できます。
脱脂の注意点として、脂肪を取りすぎてしまうと逆に目元が凹んで見えるリスクがあるため、施術を行う医師の経験や技術が求められます。特に目の下はデリケートな部位であるため、事前のカウンセリングで医師と希望や不安をしっかりと話し合うことが大切です。
経結膜脱脂法のダウンタイムの長さと目安

経結膜脱脂法は傷が残りにくく、ダウンタイムが比較的短いのが特徴です。ダウンタイムの目安は個人差がありますが、約1〜2週間とされています。以下は、術後の一般的な経過です。
- 術後1~3日:腫れや内出血がピークに達する時期で、目の下が膨らんだり青紫色に見えたりすることがあります。
- 術後4~7日:腫れや内出血が少しずつ軽減し、通常の生活が徐々に再開できるようになります。
- 術後8~14日:腫れや内出血がほとんど収まり、化粧もできるようになり、自然な仕上がりになります。
ダウンタイム中の症状と術後のセルフケアの重要性
腫れ・内出血

術後1〜3日は腫れや内出血が最も目立つ時期です。特に施術当日は顔全体が腫れて見える場合もあります。この時期は、冷却ケアを行うことで腫れを軽減することができます。
冷却ケアの際には、保冷剤をタオルで包んで患部に当てるとよいでしょう。ただし、冷やし過ぎには注意が必要で、1回につき10〜15分程度を目安に冷やすのが適切です。
また、腫れや内出血を早く引かせるために、就寝時には枕を少し高めにして頭を高くして眠ることが効果的です。この方法により、顔の血流が良くなり、腫れが早く引く効果が期待できます。
- 内出血が長引く場合は、医師に相談のうえで栄養補給として、ビタミンCやビタミンKを含む食品(ほうれん草、ブロッコリー、パプリカ、キウイなど)を積極的に摂ると回復が早まることもあります。
痛み

経結膜脱脂法では、施術自体の痛みは軽度で、術後の痛みも少ないとされています。通常、術後1〜2日で痛みが和らぎますが、違和感や鈍い痛みを感じる場合は、医師の指示に従って鎮痛剤を服用しましょう。
- 市販の鎮痛剤を使用する場合でも、医師に相談し、適切なものを選ぶようにしましょう。
目の乾燥感と違和感

術後は目の乾燥や違和感を感じる場合もあります。これは手術によって目の下の構造が変わり、目元の感覚が一時的に変わるためです。
- 目薬などで目の乾燥を防ぎ、目元の皮膚は低刺激の保湿クリームを使用しましょう。症状が続く場合には医師に相談して、対応を検討することが大切です。
通院の頻度と術後ケア

術後のケアのために、1週間以内に1回目の再診が行われ、腫れや内出血の具合や異常がないかを確認します。また、1ヶ月後の最終チェックで経過を確認し、医師からアフターケアのアドバイスをします。
Dr.三沢
手術後の定期的な通院により、安心してダウンタイムを過ごすことができます。
経過と回復:手術直後から2週間までの詳細
手術直後~翌日

術後直後は麻酔の影響で、腫れやむくみが特に目立ちます。翌日までが腫れのピークといわれ、冷却ケアを適切に行うことで腫れが早く引く効果が期待できます。
就寝時には枕を高くして眠ることで、腫れが和らぐ効果が得られます。この間は目を擦ったり、直接触れたりしないように注意しましょう。
術後7日目

1週間が経過すると、腫れや内出血が大幅に軽減し、通常の生活に戻りやすくなります。まだ目元に多少の違和感が残る場合もありますが、女性の場合、軽いメイクであれば施術から1週間で行えるようになります。
- ただし、メイクの際に目元を強く擦らないように注意しましょう。また、洗顔時にも刺激を避け、クレンジングはなるべくやさしく行うようにしましょう。
術後14日目

術後2週間が経過すると、ほとんどの症状が収まり、日常生活にも支障が出なくなります。この時期からは通常のスキンケアやメイクが可能になりますが、まだ、軽い運動のみ推奨し、激しい運動は控えましょう。
回復が進むにつれて目元の肌が乾燥しやすくなるため、ていねいに保湿をすることも大切です。
ダウンタイム中の生活:シャワー・入浴・洗顔・運動

ダウンタイム中は日常の生活にも配慮が必要です。
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注意事項 |
シャワー |
術後翌日から軽くシャワーが可能です。目元は避けて水が当たらないようにしましょう。 |
入浴 |
1週間程度は湯船での入浴を控え、シャワーにとどめるのが理想的です。 |
洗顔 |
術後数日は目元を避けた軽い洗顔にとどめましょう。特に目の周りにメイクをした際は、丁寧に優しくクレンジングすることが大切です。 |
運動 |
術後2週間は軽いストレッチ程度にし、激しい運動や汗をかく活動は控えましょう。 |
施術事例 目袋のある50代 男性

目の下にある膨らみとして、袋状のように脂肪が溜まっている部位を通称『目袋』と言います。
目袋の正体は眼窩脂肪です。
眼窩脂肪とは?
眼球を保護する役割を担い、内側・中側・外側と袋状に存在しており、眼球が収められている眼窩部分の周囲に存在する脂肪のことです。
もともと眼窩脂肪の量が多く、目袋が大きい方もいます。
治療前は目袋があり強面でしたが、治療後は優しい顔に、若々しく見えるようになりました。
施術直後 ダウンタイムほぼなし

左のように、目の下の眼窩脂肪は、内側・中側・外側の3つの区画に分けられており、それぞれ眼窩脂肪を除去しました。
術後のダウンタイムはほとんどなく、内出血をする恐れがあるため、術後3日間(72時間)は安静に保っていただきます。
こちらの事例について、詳しくは以下のページもご覧ください。
男の老け顔を改善する経結膜的脱脂術 ダウンタイムがほとんどない手術事例
外側脂肪区画(外側脂肪体)の処理が技術的に最も難しい

外側脂肪体とは?
目の下の眼窩脂肪は、下眼瞼の眼窩隔膜の後方に位置する脂肪組織で、内側・中央・外側の3区画に分かれています。外側脂肪体は眼窩の外側部分、眼球の外側下方(こめかみに近い部分)に位置します。外側脂肪体の脱脂は、難易度が高いとされています。
外側脂肪体の脱脂が難しい理由

- 視野の確保が難しい(深く狭い位置)
外側脂肪体は眼窩の奥深く、外側に位置しており、経結膜的アプローチ(まぶたの裏側からの手術)では器具が届きにくい点が挙げられます。
中央・内側脂肪に比べて術中の視野が非常に限定されるため、正確な位置の把握と操作が困難です。
- 重要な解剖構造が近くに存在する
外側脂肪体の周囲には、眼窩外側壁や下眼静脈、外側直筋などの重要な構造が接しているため、操作を誤ると出血や眼球運動障害のリスクが高まります。
特に外側直筋を傷つけると、眼球運動に影響が出る可能性があり、術者には解剖学的知識と繊細な操作が求められます。
- 器具の操作性が制限される
通常の手術器具では到達しにくいため、専用の鉤(かぎ:リトラクター)や湾曲した鑷子(せっし:ピンセット)を使用して脂肪を慎重に牽引・摘出する必要があります。
眼球や周囲組織を押しすぎると、患者に不快感や術後の腫れ・内出血が強く出るため、強引な操作はできません。
- 脂肪の性状が硬く、癒着している場合がある
外側脂肪体は他の脂肪に比べてやや線維性が強く、組織との癒着が強い場合もあります。そのため、鈍的剥離では十分に取り出せないことがあり、丁寧な切離操作が必要です。
外側脂肪体の脱脂が不十分な場合のリスク
- 外側脂肪が取り残されると、術後に中央~外側にかけてのクマやふくらみが残る可能性があります。
- 逆に取りすぎると、くぼみ(凹み)や下眼瞼の陥凹変形を引き起こすリスクもあります。
- 脱脂による左右差が目立ちやすい部位でもあるため、左右対称性を保つための調整技術も求められます。
外側脂肪体の脱脂は、難易度が高いため、目の下のクマ取り手術では、医師の技術力と経験が仕上がりに直結します。特に外側脂肪体の処理が適切に行われるかが、術後の満足度を大きく左右するポイントとなります。
目の下のクマたるみ取りは、裏ハムラ法による治療がオススメ

裏ハムラ法とは?
裏ハムラ法は、眼窩脂肪を取り除くのではなく、取り除いた脂肪を目元の凹みや影に移動・再配置させる施術です。
脱脂によって、脂肪を取り過ぎると脂肪が永久的になくなってしまい凹んでしまうため、脂肪注入をやらなければ、改善に限界があります。
また、取り残しで左右の摘出量が違うことで起こる左右差や凸凹したケースも多く見られます。目の下が左右非対称に凹凸があり、内側のみが膨らんでしまうこともあります。
Dr.三沢
上記のリスクを考慮すると、最初から脂肪を取らずに移動・再配置させる、裏ハムラ法をオススメしております。
よくあるご質問
目の下の脱脂を行う際は、静脈麻酔でも可能ですか?
経結膜脱脂は静脈麻酔での施術が可能で、安心して手術を受けられます。静脈麻酔は、リラックスした状態で手術を受けることができ、痛みや不安を感じることがないため、多くの患者が選択しています。
局所麻酔と併用することもあり、術中の痛みを抑えつつ、ほとんど意識のない状態で施術が行われるため、医師も正確な処置がしやすくなります。
静脈麻酔は回復が早いため、術後数時間の安静を経て帰宅が可能ですが、一時的にふらつくことがあるため、付き添いの方と一緒に帰宅するのが望ましいでしょう。また、過去に麻酔で体調不良を感じたことがある方は、事前に医師に相談しておくとより安心です。
まとめ【経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)のダウンタイム】
- 経結膜脱脂法は、ダウンタイムが比較的短く、回復もスムーズですが、術後のセルフケアと医師の指示を守ることが、美しい仕上がりのためには欠かせません。
- 目の下のクマ取り施術として、経結膜脱脂法は広く一般的な手法ですが、脂肪の取り過ぎ・取り残しなどのリスクを考慮すると、脂肪を移動・再配置させる裏ハムラ法を推奨しており、ダウンタイムのない事例もあります。