
特に印象に残りやすい目元は、若々しさや美しさを大きく左右する重要なパーツです。多くの人が美しく整った、ハリのある目元に憧れます。
最近では目の下のクマやたるみに悩む方が増えており、その中でも「下眼瞼脱脂術」と呼ばれる目の下の脂肪を取り除く治療法は、クマやたるみを改善するために多くのクリニックで行われています。
ですが、この「下眼瞼脱脂術」には注意が必要で、適切な処置が行われないと、眼窩脂肪の取り残しや取り過ぎ(過剰な脱脂)が起こることがあったり、せっかく手術をしても変わらないといった、結果として満足のいかない失敗するケースもあります。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?今回は、目の下の脱脂で起こりやすい失敗例や、取り残し・取り過ぎがあった場合の対処法について詳しくご紹介します。
Dr.三沢
失敗・後悔しない目の下のクマたるみ治療として、以下の記事についても参考にしてください。
眼窩脂肪の取り残しや過剰脱脂のリスク


下眼瞼脱脂術とは?
読み方は「かがんけんだっしじゅつ」、脱脂・脱脂術などと呼ばれ、眼窩脂肪を取り除き、下まぶたのクマやたるみを改善する治療法です。
眼窩脂肪(がんかしぼう)とは?
目の周囲の脂肪で、特に目の下にある部分は、加齢とともに突出して「目の下のたるみ」や「クマ」の原因となっているものです。
目の下のクマ取り手術では、眼窩脂肪を取り除く「脱脂」手術がよく行われ、余分な脂肪を除去することで、目元をすっきりとさせ、疲れた印象を改善することを目的としています。

目の下の脱脂手術には、取り残しや取り過ぎ(過剰脱脂)というリスクがあります。
取り残しの場合、脂肪が完全に除去されないため、クマやたるみが再発したり、効果が不十分に見えることがあります。
逆に、過剰に脂肪を取ってしまうと、目元が凹み、不自然な印象になる可能性があります。過剰脱脂による凹みは、逆に老けた印象を与えるため、バランスが重要です。
脱脂の取り残しが起こる理由

脱脂の取り残しは、技術的な要因や個々の患者の解剖学的特徴により発生することがあります。これを防ぐためには、手術前の正確な診断と医師の技術的な経験が重要です。
この取り残しが起こる主な理由として、以下の3つが挙げられます。
- 解剖学的な違い:目の下の脂肪は、眼窩の内側・中央・外側に分かれて存在するため、脂肪の位置や量が個々の患者で異なります。医師がこれを正確に把握できない場合、脂肪の一部が残り、手術後に不十分な結果となることがあります。
- 手術技術の限界:眼窩脂肪は非常に細かく複雑な領域に存在するため、手術が難しい部分です。特に、内側や外側の脂肪は取り残しやすく、手術中に出血や腫れが生じると視野が悪くなり、完全に脂肪を除去できないことがあります。
- 過度な安全配慮:一部の医師は、脂肪を取りすぎることを避けるために慎重になりすぎ、結果的に取り残しが発生することがあります。これは、過剰な脱脂によって目の下が凹むリスクを避けようとするためですが、そのバランスを取ることが非常に困難です。
眼窩脂肪は内側・中央・外側の3区画で構成


上記の症例写真でわかるように、外側区画の脂肪体は独立して存在しており、他の2区画よりも頭側に存在します。内側や中央にある2つの区画よりも頭側の高い位置に外側の脂肪が存在するため、「外側区域」の脂肪を脱脂するのは比較的、難しい手術になります。
脂肪の一部が残っている場合、手術後も目の下のたるみやクマが「改善されていない」「変わっていない」と感じることがあり、この場合、取り残しが原因である可能性が高いです。
取り残しを防ぐためには、医師が患者それぞれの脂肪の位置や量を十分に理解し、適切な技術を用いて手術を行うことが重要です。
失敗の具体例

症状 |
注意点 |
過剰脱脂による凹み |
眼窩脂肪を取り過ぎた場合、目の下が凹み、逆に老けた印象になりがちです。この状態は、手術後すぐに現れることが多く、非常に目立つため、修正が必要になることがあります。 |
取り残しによる再発 |
眼窩脂肪の一部が残ってしまうと、クマやたるみが再び目立ち始め、術後の満足度が低くなることがあります。 |
皮膚のたるみやシワの増加 |
眼窩脂肪を取ることで、皮膚にたるみが生じ、シワが増える場合があります。特に皮膚が薄い人や、年齢が高い人では注意が必要です。 |
眼窩脂肪除去の失敗を避けるためにできること

眼窩脂肪除去の失敗を避けるためには、医師の技術と経験、そして手術前のカウンセリングが重要です。そのため、以下の点に注意することで、失敗を事前に回避できます。
- 経験豊富な医師を選ぶ:眼窩脂肪の除去は、非常に繊細な手術であり、医師の技術が結果に大きく影響します。特に過剰な脱脂や取り残しを避けるためには、経験豊富で目元の手術に精通した医師を選ぶことが重要です。
- 手術前のカウンセリング:手術前には、医師との十分なカウンセリングを行い、自分の希望や不安を明確に伝えることが大切です。特に、どの程度脂肪を取り除くか、リスクについてしっかりと説明を受けることが成功の鍵となります。
- 術後のケアを徹底する:手術後のケアも結果に大きく影響します。適切な術後ケアを行うことで、腫れや炎症を最小限に抑え、最良の結果を得ることができます。例えば、冷却シートを使用して腫れを軽減し、感染を防ぐために処方された抗生物質を適切に使用することが大切です。
高度な技術・経験豊富な医師による手術を受けた場合は、術後のダウンタイムが短く、満足度が高い結果を得ている一方、経験の少ない医師による手術では、取り残しや取り過ぎ(過剰脱脂)による不満が多く報告されているようです。
Dr.三沢
眼窩脂肪除去の失敗を避けるためには、信頼できる医師を選び、十分なカウンセリングを受けた上で手術を受けることが重要です。
目の下のクマ取り失敗後の再手術の注意点

もし、目の下のクマ取り手術に失敗した場合、再手術を行う際には特に慎重な判断が求められます。
再手術は初回の手術よりも難易度が高く、さらに細かい調整が必要となるため、失敗を繰り返さないためにも慎重なアプローチが必要となります。再手術を行う際の注意点として、以下の点が挙げられます。
- 十分な回復期間を確保する:初回の手術後、炎症や腫れが完全に治まるまでには時間がかかるため、再手術を行う前に十分な回復期間を確保することが大切です。
- 再手術に特化した医師を選ぶ:再手術は初回の手術よりも複雑であるため、再手術の経験が豊富な医師を選ぶことが重要です。特に、過剰脱脂や取り残しの修正には高度な技術が求められるため、慎重に医師を選びましょう。
- 術前のカウンセリングを徹底する:再手術では、初回手術の失敗原因を明確にし、適切な修正計画を立てるため、医師との十分なカウンセリングが不可欠です。
後述する施術事例にて紹介しますが、他院にて初回手術で過剰に脂肪を取られて、当院の再手術で脂肪注入を受け、自然な目元を取り戻した事例があります。このように、適切な修正手術により、満足のいく結果が得られることも多いです。
再手術は非常に慎重な判断が求められるため、回復期間を考慮し、信頼できる医師とともに計画を立てることが成功への近道です。
目の下のクマ取り再手術の治療法

目の下のクマ取り手術の失敗や不満足な結果を受けた場合、再手術を検討することになります。
主な再手術の治療法としては、取り残された脂肪を追加で除去する方法や、過剰に取られた脂肪を補うために脂肪移植を行うことが一般的です。
- 追加脱脂:取り残された脂肪が原因でクマが再発した場合、再度脱脂を行い、余分な脂肪を取り除きます。この手術は比較的簡単ですが、取りすぎないように慎重に行う必要があります。
- 脂肪注入による修正:過剰脱脂によって目の下が凹んでしまった場合、ご自身の脂肪を注入して修正することが可能です。脂肪移植は、自然なボリュームを再現する方法として広く行われていますが、脂肪の定着率に個人差があるため、繰り返しの注入が必要な場合もあります。
初回の手術から十分な時間が経過し、炎症や腫れが完全に治まってから再手術を行うのが理想です。通常、6か月から1年程度待つことが推奨されます。
施術事例 目の下のクマ取り他院修正

下眼瞼脱脂 眼窩脂肪の取り過ぎ
左のビフォアーが他院で脱脂術による治療を行って眼窩脂肪を除去されましたが、眼窩脂肪の取り過ぎにより、目の下が凹んでしまい、当院にカウンセリングに来られた時の状況です。
右のアフターが当院でカウンセリング後に脂肪注入を行い、くぼみ目と目の下のへこみが改善しました。
最初の選択として他院で脱脂術を行って脂肪がなくなってしまったので、当院が最初に選択する脂肪を移動させる裏ハムラ法による施術ができず、修正治療・再手術として、目の上と目の下に脂肪注入を行いました。

過度な脱脂術により、目の下と目の上が同時にくぼんでしまっています。一度、眼窩脂肪を取り過ぎてしまうと脂肪が永久的になくなってしまいます。
目の下の凹んだ部位に脂肪注入をすることである程度は回復はしますが、完全に戻すことはできません(なぜなら、脂肪があった場所である眼窩には脂肪注入をすることはできないからです)。
そのため、最初から眼窩脂肪を取らずに移動・配置させる裏ハムラ法をおすすめしております。
脱脂取り過ぎ事例のビフォアアフター・手術所見・経過について、以下から詳細もご覧ください。
他院 脱脂術後による目の上+目の下の凹みを脂肪注入で改善
下眼瞼脱脂 眼窩脂肪の取り残し


他院における下眼瞼脱脂術後の症例です。目の下が左右非対称に凹凸があり、とくに内側のみが膨らんでいます。
脱脂術において最も多いのが取り過ぎによる凹みなのですが、このように取り残しで左右の摘出量が違うことで起こる左右差や凸凹したケースも多く見られます。

術中所見の状態です。取り残された脂肪が認められます。
よくあるご質問【下眼瞼脱脂(目の下の脂肪取り)】
脱脂による脂肪取りをしても変わらない/意味がないことってありますか?
脱脂手術を行っても、期待通りの効果が現れない場合があります。目の下のたるみやクマは、それは単に脂肪の蓄積だけが原因ではなく、皮膚のたるみ、骨格構造、血行不良など複数の要因が関与していることもあるからです。
眼窩脂肪を除去した後でも、目の下のクマが消えないという場合は、上記のような他の原因を探る必要があること、また、技術不足による眼窩脂肪の取り過ぎ・取り残しという可能性もあるので、ご自身での判断が難しい場合は、専門の医師によるカウンセリングが必要です。
Dr.三沢
エムズクリニックは、目の下のクマ・たるみ取り裏ハムラ法専門として東京を中心に関東・関西からもご来院いただいております。
まとめ
- 眼窩脂肪の取り残しや過剰脱脂は、目の下のクマ取り手術において、脱脂を第一選択にしてしまう場合は、注意が必要です。取り残しによる左右差や凹凸、過剰な脱脂によるくぼみ・凹みは、不満足な結果となったり再発するため、再手術の可能性があります。
- 当初から裏ハムラ法による眼窩脂肪移動術を選択することで脂肪の取りすぎ、取り残しなどの術後の問題は回避することができます。