
年齢を重ねるにつれて、「目の下がくぼんできた気がする」「疲れて見られるようになった」と感じている方も多いのではないでしょうか。特に30代後半から60代の女性にとって、目元の印象は顔全体の若々しさや印象を左右する重要なポイントです。
目の下のくぼみは、ただの加齢現象ではなく、美容医療の観点から見ると「治療可能な悩み」です。実際、現在ではヒアルロン酸注入や脂肪注入、裏ハムラ法など、くぼみを根本的に改善する治療法が確立されています。
今回の記事では、目の下にくぼみができる原因と主な種類を解説し、自宅でできるセルフケアと、即効性のある美容医療による治し方をご紹介します。
目の下にくぼみができる原因

まずは、なぜ目の下にくぼみができるのか、その代表的な原因を見ていきましょう。
1. 加齢による脂肪と骨の減少
加齢とともに皮膚の下にある脂肪が萎縮したり、眼窩(がんか)と呼ばれる目の周囲の骨が痩せてくると、支えを失った皮膚がくぼんで見えるようになります。
- 皮膚のハリが低下する
- 眼窩脂肪が突出または萎縮する
- 骨の吸収で下まぶたを支える力が低下する
特に40代以降は、これらが複合的に現れやすくなります。
2. 眼輪筋のゆるみ
目の周囲にある眼輪筋が加齢により弱まると、皮膚と筋肉の間の支えが崩れ、たるみやくぼみが目立つようになります。
3. 過度なダイエット・体重減少
短期間で急激に痩せた場合、皮下脂肪が減少し、顔のボリュームが失われて目元がくぼみやすくなります。30代・40代の女性に多く見られる傾向です。
4. 生活習慣・ストレス・睡眠不足
ストレスや睡眠不足が続くと血行不良やリンパの滞りが起き、目元に影ができてくぼみが目立つ原因となります。また、目を酷使するパソコン作業なども要注意です。
目の下のくぼみの主な種類

一言に「目の下のくぼみ」と言っても、その原因や見え方によっていくつかのタイプに分けられます。自分のくぼみタイプを把握することが、適切な治療法を選ぶ第一歩です。
- 1. 骨格性くぼみ
生まれつき目の下の骨格が窪んでいるタイプで、若い年代でもくぼんで見えることがあります。頬のボリューム不足とセットで目立ちやすいのが特徴です。
- 2. 老化性くぼみ(加齢性)
加齢により脂肪や筋肉が下垂・萎縮して生じるくぼみです。頬のたるみと連動して、影が深く見えることもあります。
- 3. ハの字くぼみ(ゴルゴライン)
目頭から頬にかけて斜めにくぼむタイプで、いわゆる「ゴルゴライン」とも呼ばれます。顔が疲れて見える原因となるため、美容医療での改善ニーズが高い部位です。
- 4. 影くぼみ(クマとの複合型)
目の下のくぼみによって影ができ、クマが強調されて見えるタイプ。単なる色素ではなく、構造的な問題が絡んでいます。
特に目の下のゴルゴ線(ゴルゴライン)が気になる方の改善治療については、以下の記事もご覧ください。
生まれつき目の下のゴルゴ線(ゴルゴライン)がある原因と直し方・改善治療
くぼみ目の悪化を予防するセルフケア

目の下のくぼみを根本的に治すには治療が効果的ですが、日常生活でできる予防・軽減ケアも併用することが望ましいです。
- 保湿とUVケアの徹底
乾燥は目元の小ジワやハリ低下の一因です。目元専用のアイクリームを使って丁寧に保湿を行いましょう。紫外線もコラーゲン破壊の原因なので、日焼け止めも忘れずに。
- 目の周囲のマッサージ・血行改善
目元を温めたり、リンパを優しく流すようなマッサージで血行を促すと、くぼみの原因となる老廃物の滞留を防げます。入浴中や朝晩のケアがおすすめです。
- 良質な睡眠とストレスコントロール
寝不足やストレスはホルモンバランスの乱れや筋肉の緊張につながり、くぼみやクマが悪化します。毎日の生活習慣を整えることは美容医療と同じくらい大切です。
目の下のくぼみの治し方・改善治療
目の下のくぼみは構造的な問題であることが多いため、美容医療によるアプローチが非常に有効です。ここでは、代表的な3つの治療方法をご紹介します。
ヒアルロン酸注入

ヒアルロン酸注入とは?
皮膚のくぼみやシワに直接ヒアルロン酸を注射することで、ボリュームを補い、若々しい見た目に整える治療法です。目の下のくぼみに対しては、比較的手軽でダウンタイムが少ない方法として人気があります。効果は個人差がありますが、一般的に半年から1年ほど持続します。
項目 |
内容 |
特徴 |
くぼみのある部分にヒアルロン酸を注入し、凹みを内側から持ち上げる治療法です。
痛みが少なく、施術時間は10〜20分程度。
即日で効果を感じられるのが大きなメリットです。 |
メリット |
・即効性がある
・ダウンタイムがほとんどない
・施術後すぐにメイク可能 |
デメリット |
・効果は半年〜1年程度と一時的
・繰り返しの施術が必要になる
・医師の技術差による仕上がりの差が出やすい |
向いている方 |
・初めて美容医療を受ける方
・軽度〜中程度のくぼみで悩んでいる方
・ダウンタイムが取れない方 |
脂肪注入

脂肪注入とは?
自身の太ももやお腹などから採取した脂肪を、目の下や顔のくぼみに注入する再生医療的な治療法です。自己組織を用いるためアレルギーの心配が少なく、定着すれば半永久的な効果が期待できます。ただし、注入後に腫れや内出血が出ることがあり、仕上がりが安定するまでに時間がかかる場合もあります。
項目 |
内容 |
特徴 |
太ももやお腹から採取した自分の脂肪を、精製して目の下に注入する治療法です。
ボリュームを戻すと同時に、皮膚のハリや質感も改善されます。 |
メリット |
・持続期間が長く、定着すれば半永久的な効果
・ヒアルロン酸よりも自然な質感
・アレルギー反応のリスクが低い(自己組織のため) |
デメリット |
・ダウンタイムが1〜2週間ある
・吸引部の処置が必要
・定着率に個人差がある |
向いている方 |
・中程度以上のくぼみが気になる方
・半永久的な改善を望む方
・注入物に異物を使いたくない方 |
裏ハムラ法

裏ハムラ法とは?
目の下のふくらみ(眼窩脂肪)を取り除くのではなく、下まぶたの内側から脂肪をくぼみ部分へ移動させて滑らかに整える外科的手術です。皮膚を切らずに行うため傷跡が目立たず、たるみとくぼみを同時に改善できるのが特徴です。効果は長期的で、根本的な改善を目指す方に適しています。
項目 |
内容 |
特徴 |
下まぶたの内側からアプローチし、目の下の脂肪をくぼんだ部分に移動させる手術です。
裏ハムラ法は、脂肪を「取る」のではなく「移動」させることで、くぼみとふくらみを同時に解消します。 |
メリット |
・根本的な構造改善が可能
・半永久的な効果が期待できる
・傷が外から見えない(経結膜アプローチ) |
デメリット |
・手術のためダウンタイムが長め(1〜2週間)
・稀に再発するケースもある
・高度な技術を要するため、クリニック選びが重要 |
向いている方 |
・くぼみと膨らみが混在している方
・再発の少ない根本治療を望む方
・手術に対して前向きな方 |
施術事例【40代/女性 くぼみ目/目の下の膨らみを裏ハムラ法で改善】

目の下のクマ・たるみの原因は眼窩脂肪の突出です。この眼窩脂肪を操作するには、1.取る(脱脂術)、2.移動する(眼窩脂肪移動術=裏ハムラ法)の2つの方法があります。
脱脂術は「出ているのであれば取れば良い」という考えで、短時間で治療が済み、すぐに結果が得られるため、多くの施設で施術されています。ですが、眼窩脂肪も理由があって存在し、眼球という大事な器官を周りの衝撃から守るためのクッションのような役割を持っています。
眼窩脂肪は眼窩という箱の中に納まっている脂肪であり、その脂肪を取れば確実に容量は少なくなるので脱脂術で取れば、中長期でみると凹みます。そして、一度取られた脂肪は戻ることはありません。


目の上のくぼみは加齢により、眼窩脂肪が下に移動・スライディングして落ちることで起こります。この方は、目の上の凹み=くぼみ目があり、年齢とともに上にあった脂肪が目の下の方に落ちていき、結果的に目の下のクマ・たるみの原因である膨らみとして現れました。
くぼみ目のある方の目の下の膨らみを脱脂術で取ると、さらに凹むことが想定されたため、裏ハムラ法(経結膜眼窩脂肪移動術・再配置)を行いました。
Dr.三沢
目の上がくぼみ目の方に、裏ハムラを行うと目の上の凹みが若干ながら改善します。原理的には目の下の弛んだ隔膜をピッと張って眼窩脂肪が突出しないようにすることで、せき止められた目の下の眼窩脂肪が逆流現象で目の上に移動したと考えられます。
目の上の凹み=くぼみ目/目の下のクマ・たるみの原因である膨らみを裏ハムラ法で改善
よくあるご質問
目の下のくぼみをメイクでカバーすることはできますか?
はい、メイクである程度カバーすることは可能です。特に光を集めるハイライト効果のあるコンシーラーや、パール感のある明るめのカラーを用いることで、くぼみの影を目立たなくすることができます。ただし、完全にフラットな印象にするのは難しく、照明や角度によってはくぼみが強調されることもあります。あくまで一時的な対処法として捉えましょう。
目の下のくぼみに効くマッサージ・トレーニングはありますか?
血行を促進するマッサージや、眼輪筋を刺激するトレーニングは、目の下のくぼみの予防や軽減に役立つことがあります。目元を優しく温めてから、こめかみに向かってリンパを流すようにマッサージしたり、「目をギュッと閉じてパッと開く」運動を繰り返すと、筋肉が活性化されやすくなります。ただし、加齢や脂肪の減少によるくぼみには根本的な効果は乏しいため、改善には限界があります。
目のくぼみは太ると治るというのは本当ですか?
一部では「太ることで顔に脂肪がつき、くぼみが目立たなくなる」と言われますが、必ずしも目の下に脂肪が戻るわけではありません。体重が増えても目の下の脂肪が増えるとは限らず、逆に他の部位に脂肪がついてしまうこともあります。目元のくぼみは加齢や眼窩脂肪の下垂、皮膚のたるみが原因となることが多いため、体重の増減だけでの改善は難しいのが実情です。
まとめ
- 目の下のくぼみは、年齢や生活習慣、骨格の変化などによって生じる複合的な悩みです。自力で完全に治すことは難しいですが、美容医療の進歩により、即効性のある改善方法がいくつも存在します。特に以下のような方には、積極的に治療を検討する価値があります。
・目の下の影で老けて見えるのが気になる方
・化粧で隠しきれないくぼみがある方
・表情が疲れて見えると言われることが多い方
- 「目の下のくぼみはもう治せない」と諦める必要はありません。根本的な改善を図る裏ハムラ法など、症状と希望に合った治療を選べば、明るく若々しい目元を取り戻すことができます。まずは専門医のカウンセリングを受けて、自分のくぼみの原因と最適な治療法を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。