
「小さい頃からずっと目の下が暗い」「親にも同じクマがある」「よく寝ても治らない」―こうしたお悩みは“生まれつきタイプ”の目の下のクマである可能性が高いです。生活習慣で悪化する“後天的なクマ(睡眠不足・疲れ・血行不良など)”と異なり、骨格・皮膚の薄さ・脂肪のつき方・血管や色素の出やすさなど、身体的・遺伝的な要素が強く関わります。そのため、「寝れば治る」と期待しても改善が乏しく、思春期以降のメイク・写真・対人場面で強いコンプレックスになることがあります。
生まれつきタイプのクマでも“組み合わせ原因を正しく見極める”ことで、メイク・セルフケアでの一時的なカバーから医療的治療による根本改善まで段階的な対策が可能です。まずはクマの種類と自分の骨格・皮膚タイプを知り、年齢と希望に応じてできることから始めていきましょう。
生まれつき子供の頃から目の下のクマがひどい原因・目立ちやすい人の特徴

子供の頃からクマが濃く見える人は「骨格的な凹み」「皮膚が薄く血管透見」「色素沈着が起こりやすいアトピー肌・こすり癖」「眼窩脂肪の突出や涙袋の陰影」など、複数要因が重なっていることが多いです。
主な先天的・体質的因子
- 骨格差(眼窩下縁の後退・頬骨の高さ不足)
目と頬の高低差が大きいと“境目の溝(ティアトラフ)”に影が落ち、黒クマ(影クマ)として目立ちます。
- 皮膚が非常に薄い/皮下脂肪が少ない
皮膚を透けて青〜紫色の静脈が見えやすく、青クマとして認識されます。色白・乾燥肌タイプに多い傾向です。
- アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎持ち
目周りをこする習慣で色素沈着(茶クマ)・慢性炎症・たるみが早期に出やすくなります。
- 遺伝性の色素沈着傾向(家族歴)
下まぶたから頬にかけて褐色〜灰褐色の色むらが出やすく、小児期から目立つことがあります。
- 眼窩脂肪のボリュームや位置異常
成長過程で脂肪の張り出しが強いタイプ、逆にボリューム不足で段差が強調されるタイプなど個体差があります。
- 涙袋(下眼瞼前筋部のふくらみ)とのコントラスト
涙袋が強調されるとその下の影が濃く写り、クマが深く見えます(ライトや写真で顕著)。
生まれつきの目の下のクマは10代・20代になっても消えない?

骨格・皮膚・脂肪配置由来のクマは、思春期を過ぎても自然消失することはまれで、むしろ加齢や生活習慣で濃さが変動します。 ただし体重変化・ホルモン・スキンケア習慣により「見え方」が軽くなることはあります。
なぜ自然には消えにくい?
- 骨格は基本的に構造固定:眼窩下縁の後退や頬骨位置は成長で多少変わりますが、「段差が解消されて影が消える」ほどは動きません。
- 皮膚薄さ・血管透見は体質:血行改善で一時的に薄く見えることはありますが、もとが透けやすい肌質なら完全消失は困難です。
- アトピー・こすり癖による色素沈着は蓄積型:放置すると濃くなりやすく、早期の刺激コントロールが重要です。
年代での見え方変化
- 10代前半:皮膚張力は高いが透け感・色差が目立つ。
- 思春期〜高校生頃:睡眠不足・学業ストレスで青味が増幅。
- 大学〜20代:メイクでカバーできるが、飲酒・生活リズム乱れでむくみ影が加算。
- 20代後半以降:早期たるみ、眼窩脂肪の軽度下垂が始まる人もおり、生まれつきの凹みがさらに強調。
10代・20代のできるだけ若いうちから原因別ケアを行うほど、将来のクマの悪化を抑えやすくなります。
10代・20代の目の下のクマを一時的に目立たなくするセルフケア

生活習慣+局所ケア+メイク補正の3段階で「今日・明日どうにかしたい」需要に応えつつ、将来の悪化因子も減らすことができます。
- 1. 生活リズム・全身ケア
・睡眠:毎日同じ就寝・起床リズムを意識し、慢性睡眠不足を避けることで青クマの悪化を抑えます。
・鼻炎・アレルギー管理:鼻づまり→目こすり→色素沈着ループを断つため、適切な治療・点鼻薬を活用します。
・栄養:鉄分・ビタミンC・タンパク質不足は肌のくすみ要因。偏食がちな学生時代は特に注意します。
・水分・塩分バランス:むくみと影のコントラスト悪化を防ぐ。
- 2. 局所ケア(自宅でできる即効テク)
・温→冷パック交互(清潔なタオルや市販ジェルパック):血行促進とむくみ軽減に。強く押さない。
・優しいリンパドレナージ風タッピング:薬指で目頭からこめかみへ軽く流す(摩擦厳禁)。
・アイクリームの密封保湿:乾燥小じわによる影強調を抑えます。レチノール低濃度品は刺激に注意しながら夜のみ少量。
・紫外線対策:日焼け止め+サングラスで茶クマ進行予防。
- 3. メイク・カバーテク(年代別コツ)
10代前半~中盤:肌負担を減らしつつ色補正
・青クマ:オレンジ~コーラル系コレクターを少量、上から肌色コンシーラーを薄く。
・茶クマ:イエロー系で色ムラ中和。
・プチプラでも良いのでリキッド薄乗せ→指でトントンとなじませる。
10代後半~20代:影を飛ばす立体補正追加
・涙袋下へ明るめコンシーラー、段差部に柔らかい質感スティック。
・ハイライトはパール粗めだと影を拾うので微粒子。
・色補正+光コントロール(リフレクティブパウダー)で写真写り改善。
やってはいけない注意
・強い擦りマッサージ・ローラーの過剰使用 → 色素沈着や小じわ悪化。
・カバー厚塗り → ヨレて逆に影が強調。
・冷却材直当て凍傷に注意(布で包む)。
セルフケアで「ゼロ」にはできなくても、行事・撮影・面接など『ここぞ』という場面で印象を大きく改善できます。
20代で生まれつきの目の下のクマ取りをするのは早い?

症状の程度と心理的負担次第で「20代で治療する」判断は十分あり得ますが、治療法の選択と将来変化(加齢)を見越した計画が重要です。
早期治療を検討してよいケース
- 学業・就職活動・接客業で「疲れて見える」と指摘され、対人ストレスが大きい。
- メイクでカバー不可な深い凹み(ティアトラフ)や脂肪突出が明瞭。
- アトピー・色素沈着が進み、セルフケアでは限界。
- 写真・SNS発信が多く、イメージ重視の職種を志望。
早すぎる場合に注意すべき点
- 加齢変化の予測:脂肪を取りすぎる(単純脱脂)と、30代以降にくぼみ強調・老け見えのリスク。
- 骨格・ボリューム推移:体重増減が激しい時期は結果が安定しにくい。
- メンテナンス周期:フィラーやレーザーは継続前提。長期コストも判断材料。
判断基準の目安
20代でのクマ取りは「早いかどうか」より、症状に応じて「適切な治療レベルを選ぶ」ことが大切と考えてください。
生まれつきの目の下のクマを改善する治療法 裏ハムラ法

生まれつき骨格差+脂肪突出で影が強いタイプには、脂肪を単に取る脱脂より「移動して凹みを埋める」裏ハムラ法(脂肪再配置)が理にかなう場合が多いです。下まぶたの皮膚表面を切らないアプローチで、段差を滑らかにし、自然な若々しさを取り戻します。
裏ハムラ法とは?
下まぶたの裏側(結膜側)から切開し、突出している眼窩脂肪を温存したまま前方・下方に移動させ、涙袋~ゴルゴライン(眼窩下縁の凹み)に「詰め替え」て段差を埋める手術です。皮膚側に切開線が出ないため、外見上の傷跡がほぼ残りません。骨格的な影(黒クマ)と脂肪突出(赤~影混在)に同時アプローチできるのが最大の利点です。
手術の基本ステップ
- 点眼・局所麻酔(静脈麻酔併用のこともあり)。
- 下眼瞼結膜に切開。
- 眼窩隔膜を開き、突出脂肪を展開。
- 脂肪束を前方へ引き出し、骨膜上(眼窩下縁~頬側)に固定して凹みを埋める。
- 必要に応じて隔膜補強、余剰脂肪の微調整。
- 結膜縫合(吸収糸であることが多い)。
裏ハムラ法と脱脂の比較
Dr.三沢
生まれつきタイプでは「膨らみが気になるから取るだけ」が術後の後悔につながることがあり、段差構造を全体で見て調整する裏ハムラ法が長期的に自然になりやすいと考えられます。
裏ハムラ法のメリット・デメリット・リスク/脱脂(眼窩脂肪除去)との違い、手術事例を紹介
期待できる改善
- 黒クマ(影)の軽減:段差が浅くなり。光が均一に当たる。
- 赤クマ・青クマの一部軽減:脂肪配置が均等になり、透け方が変わる。
- 若見え効果:下まぶた~頬上部の移行が滑らか。
組み合わせ治療(症状別)
裏ハムラ法のダウンタイム・経過(目安)
- 腫れ・内出血:1~2週間程度で日常生活には戻りやすい(個人差あり)。
- メイク再開:腫れ・赤み次第で数日~1週間程度(クリニックの指示に従う)。
- 完成度:むくみ抜け・組織なじみで1~3か月かけて自然に。
リスク・合併症
- 出血・血腫、左右差、脂肪固定ゆるみ、感染。
- ごくまれに下眼瞼外反/引きつれ(皮膚切開を伴わない分、低リスクだがゼロではない)。
- 期待より改善が軽度(骨格差が大きい場合)。
向いている人
- 幼少期から影+ぷっくり膨らみが混在している。
- メイクで限界、写真写りが大きな悩み。
- 将来の老化ステージを見据え、脂肪を残しつつ整えたい。
施術事例【20代/女性 目の下のクマ治療に脱脂+脂肪注入(ピュアグラフト)を併用】

目の下のクマにはいくつかの治療アプローチがありますが、特に女性では脱脂(眼窩脂肪除去)だけで仕上げるよりも、脂肪注入を組み合わせて自然なボリュームラインを整えることが多いです。


目の下のふくらみは、突出した眼窩脂肪が原因で生じます。このボコッとした段差をなだらかに整えることが治療のポイントです。脱脂は多くの施設で行われていますが、脂肪量の見極めやバランス調整が難しい高度な手技だと考えています。
なぜ難しいかというと、患者さまごとに「どのくらい脂肪を減らすか」「3つの脂肪コンパートメント(内側・中側・外側)のどこをどの程度処理するか」といった最適解が異なり、定型化されたやり方が存在しないからです。
経験値に左右される部分が大きい手術といえます。本症例でも、取り残しが生じないように、かつ取り過ぎにならないよう細心の注意で眼窩脂肪を調整しました。
Dr.三沢
女性の場合は、下まぶたから頬にかけて自然でふっくらしたカーブを描くラインが美しく見えます。そのため脂肪注入で不足部分を補います。なお、眼窩脂肪の処理だけで下まぶたのふくらみ=クマを改善したいケースでは、経結膜的眼窩脂肪移動術(裏ハムラ)が有効な選択肢となります。
脱脂術の取りすぎ・取り残しのリスクについては、以下の記事もご覧ください。
眼窩脂肪の取り残し・脱脂による脂肪取りは変わらない/意味ない?失敗画像と目の下のクマ取り再手術
よくあるご質問
生まれつきのクマは遺伝によるものですか?
はい、遺伝的な影響を受けることがあります。たとえば「目の周りの骨格(眼窩の凹み具合・涙袋の形)」「皮膚の薄さ」「色素沈着しやすい体質」「血管が透けやすい肌質」「アレルギー体質でこすりグセが出やすい」などは家族内で似ることが多く、結果として生まれつきクマが目立ちやすくなります。ただし、睡眠不足・紫外線・摩擦・血行不良など生活習慣によって濃く見えることもあるため、遺伝だけで決まるわけではありません。
生まれつきの目の下のクマをそのままにして消えることはありませんか?
成長とともに顔の脂肪分布が変わったり、生活習慣やスキンケアを見直すことで「少し目立ちにくくなる」ケースはありますが、骨格による影(黒クマ)、皮膚が薄く血管が透けるタイプ(青クマ)、慢性的な色素沈着(茶クマ)は自然に完全消失することは多くありません。紫外線対策・保湿・こすらないケア・アレルギー治療・血行改善を行いながら、必要に応じてメイクでカバーし、気になる場合は専門医に相談して治療(注入・レーザー・脂肪再配置など)を検討するとよいでしょう。
10代・20代で急にクマがひどくなるのは病気ですか?
多くは生活要因(睡眠不足、長時間のスマホ・勉強による眼精疲労、アレルギー性鼻炎で目をこする、食生活の乱れや貧血気味、日焼けによる色素沈着)で悪化して見えるものです。ただし、以下に当てはまる場合は病気や体調不良が隠れていることもあるため受診をおすすめします。
・疲労・めまい・動悸など貧血症状を伴う。
・体重変動や動悸・手の震えなど甲状腺疾患が疑われる。
・皮膚炎後に色素沈着が急増(アトピー・接触皮膚炎など)。
・片側だけ急に腫れる・痛む・視力変化がある(眼科的トラブル)。
気になる変化が続く場合は皮膚科・形成外科・内科・眼科などで相談してください。
まとめ
- 生まれつきの目の下のクマは、骨格・脂肪・皮膚の薄さ・血行・色素沈着が複雑に絡み合う“構造的”問題であることが多く、単純な睡眠不足やスキンケア不足だけでは説明できません。10代・20代でも「ずっとクマ顔」と感じる背景には、遺伝的な眼窩下縁の位置や脂肪突出、肌質による透け感が強く関わっています。生活リズムの改善、アレルギー管理、紫外線対策、優しい保湿ケア、色補正メイクで「今日の印象」を整えながら、成長後も残る構造的な段差については裏ハムラ法による脂肪再配置など医療的アプローチで根本改善を目指す選択肢があります。
- 「若いうちに手術は早い?」と迷う方こそ、まずは専門医で原因診断(骨格・脂肪・皮膚・色素の割合)を受け、段階的プラン(セルフケア → 非手術的補正 → 必要なら裏ハムラ法)を立てると安心です。生まれつきでも、適切な対策と治療の組み合わせで印象は大きく変えられます。原因を知り、自分に合う改善法を選んで前向きに治療を検討していきましょう。