
年齢を重ねるとともに、肌のハリや弾力の低下、小ジワや毛穴の目立ち、乾燥や赤みといったトラブルが気になってくる方は多いものです。基礎化粧品やエステでは満足できなくなり、より効果の高い美容医療に関心を持つ女性も増えています。
そのなかで注目を集めているのが「肌の再生医療」とも呼ばれる注入製剤です。特に ジュベルック(Juvelook) と リジュラン(Rejuran) は韓国を中心に広まり、日本でも美容皮膚科や美容外科で導入が進んでいます。
両者は「肌の自己治癒力を活かす」点で共通していますが、成分・作用機序・持続期間・ダウンタイムに違いがあり、患者さんの悩みによって適した選択が変わります。今回の記事では、両製剤の特徴や違いをわかりやすく解説し、治療を検討する女性が自分に合った選択をできるようサポートします。
ジュベルックとは?リジュランとは?

ジュベルック(Juvelook)とは?
ジュベルックは、PLLA(ポリ乳酸) と 非架橋ヒアルロン酸 を主成分とする製剤です。
- PLLA は医療用スレッドリフト糸や溶ける縫合糸にも使われる安全性の高い成分で、体内で分解される過程で「コラーゲン生成」を促します。
- 非架橋ヒアルロン酸は水分保持力に優れており、注入直後から肌の潤いを実感しやすいのが特徴です。
ジュベルックは「即時的なうるおい効果」と「長期的なコラーゲン生成」によるハリ改善を両立できる治療といえます。特に「小ジワ」「たるみ毛穴」「ハリ不足」を訴える30〜50代女性から支持されています。
リジュラン(Rejuran)とは?
リジュランの主成分は、サーモン由来の PN(ポリヌクレオチド) です。
- PNはDNA断片を加工した成分で、細胞修復や抗炎症作用を持ちます。
- 「皮膚再生注射」と呼ばれ、皮膚そのものを若返らせる点が特徴です。
韓国では「女優注射」と呼ばれるほど人気で、乾燥肌・赤み・敏感肌・ニキビ跡など幅広い悩みに対応可能。特に「肌の質感改善」に強みがあります。
ジュベルックとリジュランの違い

両者の違いを整理すると、以下のようになります。
ジュベルック=「肌の弾力・若返り」、リジュラン=「肌質改善・敏感肌ケア」がそれぞれの特徴となります。
ジュベルック・リジュランはこんな人におすすめ

ジュベルックがおすすめの人
- 頬や口元のハリがなくなり、たるみ毛穴が目立つ
- フェイスラインがぼやけてきた
- 40代以降で「全体的に若返りたい」
- 効果を長く持続させたい
リジュランがおすすめの人
- 乾燥肌・敏感肌でスキンケア効果を感じにくい
- 赤み・炎症・肌荒れを繰り返す
- ダウンタイムを短くしたい
- 30〜40代で「肌質そのものを改善したい」
実際の臨床では「ジュベルックで土台を補強し、リジュランで質感を整える」という併用も多く行われています。
ジュベルック・リジュランのダウンタイム

ジュベルックのダウンタイム
- 注入後は赤み・腫れ・チクチク感が数日続く
- 稀に内出血が出て1週間残ることも
- メイクは翌日から可能だが、人によっては数日は「ポツポツした膨らみ」が気になる
リジュランのダウンタイム
- 注射直後に「蚊に刺されたような膨らみ」が出る
- 2〜3日で自然に吸収される
- 赤みや内出血は少なく、比較的日常生活に支障が少ない
人前に出る予定がある場合や仕事柄ダウンタイムを取れない方はリジュランが安心。逆に、長期的な若返り効果を重視するならジュベルックが向いています。
水光注射・ポテンツァ・キュアジェットによる機械注入

注入する方法は2つあり、狙った部分に直接注入してシワやたるみをピンポイントで改善する手打ち注射、広い範囲に均一に注入して顔全体の肌質を整える機械注入に分かれます。代表的な機械注入は以下の3つがあります。
機器 |
特徴 |
水光注射 |
極細針で皮膚浅層に均一に薬剤を注入する方法。
・顔全体のトーンアップ
・美容成分と併用しやすい |
ポテンツァ |
マイクロニードルRFと同時に薬剤を導入できる機器。
・コラーゲン生成を強化
・ニキビ跡・毛穴治療にも有効 |
キュアジェット |
針を使わず、ジェット噴流で皮膚に薬剤を浸透させる。
・痛みが少ない
・ダウンタイムがほぼない
・初めての方でも挑戦しやすい |
「痛みに弱い方」や「人に気づかれたくない方」はキュアジェット導入が安心です。
裏ハムラ法でクマたるみ取り後のエイジングケア

裏ハムラ法とは?
裏ハムラ法は、下まぶたの裏側から余分な眼窩脂肪を移動させる手術で、目の下のクマやたるみを根本的に改善できます。しかし、皮膚のハリや質感の衰えまでは解決できません。
そこで、クマたるみ取りの術後メンテナンスとして ジュベルックでハリを補い、リジュランで肌質を整えることが効果的です。
- ジュベルック:脂肪を整えた下まぶたにハリを与える
- リジュラン:術後の乾燥や炎症を抑え、肌の質感を改善
このように「裏ハムラ法による手術+注入治療」を組み合わせると、自然で長期的な若返り効果を実感できます。
よくあるご質問
ジュベルックとリジュラン、どっちが痛いですか?
施術時の痛みは、使用する薬剤の性質や粘度、注入方法によって変わります。
リジュランの場合
リジュランはサーモン由来のポリヌクレオチド(PN)を含むため、やや粘度が高く、注入時に皮膚の内部で広がりにくい特徴があります。そのため「チクッとした痛み」と「広がるときの圧迫感」を感じやすいといわれています。特に目の下や口周りなど皮膚が薄い部位では痛みを自覚しやすい傾向があります。
ジュベルックの場合
ジュベルックはポリ乳酸(PCL)が主成分で、比較的なめらかに注入できるため、痛みはリジュランよりも少ないと感じる方が多いです。ただし、針を刺す痛みや薬剤が入るときの刺激はゼロではなく、敏感な部位では不快感を伴うこともあります。
痛みを和らげる工夫
クリニックでは表面麻酔クリーム、局所麻酔、極細針や鈍針(カニューレ)の使用などで痛みを軽減する対策が取られています。施術前に「痛みに弱い」と伝えておくと、より配慮した対応をしてもらえます。
まとめると、一般的に「リジュランのほうがやや痛みを感じやすい」とされますが、施術環境や麻酔の有無によって痛みは大きく変わります。
ジュベルックとリジュランを同時に施術することはできますか?
はい、同時施術は可能で、むしろ肌の悩みが複合的な場合に効果的なケースもあります。
ジュベルックの役割
ポリ乳酸の作用により、注入後数週間かけてコラーゲン生成を促進し、ハリや弾力を改善します。即効性というよりも「時間をかけて肌の土台を強化する治療」です。
リジュランの役割
サーモン由来のPN成分が細胞の修復を助け、炎症を抑えたり、肌の再生をサポートしたりします。小じわや乾燥、赤みなどに対して比較的早めに改善を実感しやすい特徴があります。
同時施術のメリット
・肌再生(リジュラン)+コラーゲン増生(ジュベルック)の相乗効果
・「浅い部分の細かい小じわ」と「肌のハリ不足」を同時に改善
・ダウンタイムを一度で済ませられる可能性がある
注意点
・注入部位や薬剤の量を適切に調整する必要がある
・一度に多くの薬剤を入れると内出血や腫れのリスクが上がるため、経験豊富な医師によるデザインが大切
つまり「1回の施術で複数の悩みにアプローチしたい方」に同時施術は有効といえます。
ジュベルックとリジュランは他の薬剤とはどう違いますか?
美容医療の注入治療にはさまざまな薬剤がありますが、ジュベルックとリジュランは「肌の再生・修復」に特化している点が最大の特徴です。
ヒアルロン酸製剤との違い
ヒアルロン酸は「ボリュームを補う」「溝を物理的に埋める」ことが得意で、ほうれい線やゴルゴ線などのしわ改善に即効性があります。一方で、コラーゲン増生や肌の自己修復作用は限定的です。
ボトックスとの違い
ボトックスは「筋肉の動きを抑えてしわを防ぐ」治療であり、肌そのものを修復するわけではありません。表情じわには有効ですが、ハリ不足や肌質改善には直接作用しません。
ジュベルックとリジュランの特徴
・ジュベルック → ポリ乳酸(PCL)によるコラーゲン生成促進 → 時間をかけて土台からハリを強化
・リジュラン → サーモン由来PNによる細胞修復・再生 → 肌の炎症を鎮め、弾力・透明感を回復
まとめると、ヒアルロン酸やボトックスが「即効性・形の変化」に強いのに対し、ジュベルックとリジュランは「肌質そのものを底上げする治療」であり、持続的な若返り効果を求める方に向いています。
まとめ
- ジュベルック:PLLAによるコラーゲン生成で「ハリ・弾力・若返り」
リジュラン:PNによる細胞修復で「保湿・敏感肌改善・赤み軽減」
ダウンタイム:ジュベルックは数日〜1週間、リジュランは2〜3日
裏ハムラ法によるクマたるみ取り後のエイジングケアとしても有効で、機械注入(水光注射・ポテンツァ・キュアジェット)でより幅広い悩みに対応可能です。
- ジュベルックとリジュランは「どちらが優れている」というより、「悩みに応じて使い分ける」治療です。違いを理解した上で自分に合った製剤を選び、必要に応じて併用することで、自然で持続的な美肌を目指せます。