
鏡を見るたびに、目の下の影やふくらみ、疲れて見えてしまうクマに頭を悩ませていませんか。30代から60代にかけて、皮膚の弾力低下や骨格・脂肪の変化によって生じる目の下のたるみは、セルフケアやメイクだけではなかなか隠しきれない代表的なお悩みです。
このお悩みを根本から解決する治療法として、形成外科・美容外科の領域で非常に高く評価されているのが「裏ハムラ法(経結膜的眼窩脂肪移動術)」です。皮膚の表面を切らずにまぶたの裏側(結膜)からアプローチし、ふくらみの原因である脂肪をくぼみの位置へ移動させるため、皮膚に傷跡を残さず、健康的で若々しい目元を取り戻すことができます。
しかし、裏ハムラ法について詳しく調べていくと、「内固定」や「外固定」、「術後のテープ固定」といった専門用語を目にして、戸惑われる方が少なくありません。
- 「内固定と外固定では、手術後の腫れやダウンタイムが違うの?」
- 「固定方法の違いによって、数か月後や数年後の仕上がりに差が出るの?」
- 「皮膚を切らない手術なのに、なぜ外側に糸を出したりテープを貼ったりするの?」
このような疑問や不安を抱えたまま手術に臨むのは、とても勇気がいることです。裏ハムラ法は高い技術を要する繊細な手術であり、移動させた脂肪をどこに、どのように固定するかによって、術後の経過や仕上がりの完成度が左右されます。
目の下のクマ・たるみ治療で後悔しないためには、術式の特徴だけでなく、「固定方法の違いやその理由」を術前にしっかりと理解しておくことが極めて重要です。納得のいく治療を受け、理想的な目元を手に入れるための第一歩として、わかりやすく丁寧に解説していきます。
目の下のクマ治療は、単に「脂肪を取る(脱脂)」だけでは将来的な凹みやシワの悪化を招くリスクがあります。ご自身のクマが「脂肪の突出」と「その下の骨や組織のくぼみ(ティアトラフ)」による複合的な影である場合、組織を有効活用できる裏ハムラ法は非常に理にかなった選択肢となります。まずは仕組みを正しく知ることから始めましょう。
目の下のクマ治療 裏ハムラ法の固定方法とは?

裏ハムラ法の固定方法とは?
裏ハムラ法における「固定」とは、突出している眼窩脂肪を下方のくぼんでいる骨膜上へ移動させ、その位置で組織がしっかりと定着するように縫合・保持する処置のことです。この固定操作こそが、裏ハムラ法の成否を分ける最も重要な工程といっても過言ではありません。
なぜなら、脂肪はただ移動させただけでは、まばたきや眼球の動き、重力、筋肉の緊張によって元の位置に押し戻されたり、意図しない場所へずれてしまったりするからです。組織が周囲と癒着して安定するまでの間、狙った位置に脂肪を留め置くために確実な固定が必要不可欠となります。
裏ハムラ法が適しているクマのタイプ
裏ハムラ法は、単にふくらみがあるだけでなく、「ふくらみとくぼみが隣り合っているタイプ」のクマに対して最大の効果を発揮します。
- 目袋の突出(目窩脂肪の前方突出): 眼球を支える靭帯や隔膜が緩み、脂肪が前へ押し出されている状態。
- 八の字の溝・くぼみ(Tear Trough / 鼻頬溝): 目袋のすぐ下にある靭帯(ORL:眼輪筋保持靭帯)の付着部が強く引き込まれ、深い影を作っている状態。
- 皮膚の過度なたるみがない方: 結膜側からのアプローチとなるため、皮膚切除を伴わなくても皮膚の収縮力で引き締まりが期待できる30代〜50代、または皮膚のたるみがあっても表面に傷を作りたくない60代の方。
脂肪を移動させて固定するメカニズム
裏ハムラ法では、以下のようなステップで脂肪の移動と固定が行われます。
- 結膜切開: 下まぶたの裏側を数ミリ切開し、皮膚表面には一切傷をつけずにアプローチします。
- 靭帯の剥離: くぼみの原因となっている眼輪筋保持靭帯(ORL)を骨膜から丁寧に剥離し、皮膚の引き込みを解除します。
- スペースの確保: 移動させた脂肪を収めるため、眼窩下縁の骨膜上に適切なポケット(スペース)を作ります。
- 脂肪弁(フラップ)の作製: 突出している眼窩脂肪を血流が保たれた状態で剥離し、移動しやすいシート状の組織として整えます。
- 骨膜への固定: 引き下げた脂肪を、剥離して作った骨膜上のスペースへ確実に固定します。
このように、脂肪を捨てずに「高いところから低いところへ平らにならす」ように再配置し、その位置を保つために固定を行います。この固定を体内だけで完結させるか、一時的に皮膚の外側を介して行うかによって、「内固定」と「外固定」に分類されます。
目の下の組織は非常に薄く、血流が豊富です。固定を行う際は、移動させた脂肪の血流を途絶えさせない絶妙な張力(テンション)のコントロールが求められます。きつすぎず、緩すぎず、自然なフラット感を再現できるかどうかが医師の技量差となるポイントです。
裏ハムラ法 内固定と外固定の違い

裏ハムラ法の固定方法は、大きく分けて「内固定(ないこてい)」と「外固定(がいこてい)」の2種類が存在します。どちらの方法にも一長一短があり、手術を行う医師の技術的バックグラウンドや方針、患者様のご希望やライフスタイルによって選択されます。
内固定と外固定の根本的な違いは、「固定糸をまぶたの内側だけで完結させるか、皮膚の表面へ貫通させて外側で留めるか」という点にあります。それぞれの具体的な手技と特徴を詳しく見ていきましょう。
内固定の特徴とメリット・デメリット

内固定は、まぶたの裏側の切開創から器具を挿入し、移動させた眼窩脂肪を骨膜に対して体内(組織の深部)で直接縫合・固定する方法です。吸収糸(自然に溶ける糸)または非吸収糸を用い、外の皮膚には糸を一切出しません。
内固定のメリット
- 外見上の変化が少ない: 皮膚の表面に糸が出ないため、術直後から外見に糸が見えず、術後の生活において心理的負担が軽くなります。
- 抜糸が不要: 体内で縫合を完結させるため、後日の抜糸通院が必要ありません。遠方から来院される方や、頻繁に通院できない方に適しています。
- 皮膚表面の傷リスクがない: 皮膚を針で貫通させないため、糸の刺入部による一時的な色素沈着や微小な瘢痕の心配がありません。
内固定のデメリット
- 高度な技術と術野の制限: まぶたの裏側の非常に狭い視野の中で、硬い骨膜に針をかけて糸を結ばなければならないため、極めて高い手術手技が要求されます。
- 固定強度の微調整の難しさ: 狭い空間での操作となるため、脂肪を広範囲に広げて固定する際に、テンションの微細な調整が外固定に比べて難易度が高くなります。
外固定の特徴とメリット・デメリット
外固定は、移動させた脂肪にかけた糸を、皮膚の表面(頬側)へ貫通させて外に出し、皮膚の上でガーゼやボタン、特殊なビーズなどを挟んで留めておく方法です。組織が周囲と癒着する術後数日間(通常3日〜7日間)固定を維持し、その後クリニックで抜糸を行います。
外固定のメリット
- 強固で確実な固定力: 外側から適度な牽引力をかけながら固定できるため、脂肪が浮き上がったり戻ったりするのを確実に防ぐことができます。
- 広範囲への脂肪展開: くぼみが深く広い場合でも、狙った位置へ正確に、かつ平らにならすように脂肪を配置しやすいのが特徴です。
- 手術時間の短縮: 骨膜深部での複雑な縫合結紮を減らせるため、術者にとって確実性が高く、手術時間を比較的短く抑えやすい傾向があります。
外固定のデメリット
- ダウンタイム中の見た目: 抜糸までの数日間、頬の皮膚表面に糸や固定具(ガーゼや糸玉)がついた状態になるため、マスクなどで隠す必要があります。
- 抜糸のための通院が必要: 術後数日〜1週間程度でクリニックへ抜糸に来院する必要があります。
- 皮膚の針跡: 針を通した皮膚表面に、一時的な赤みや小さなかさぶたが生じることがあります(通常は時間の経過とともに目立たなくなります)。
内固定と外固定の比較一覧
「内固定は先進的で外固定は古い」という誤解をされることがありますが、形成外科学的には決してそのようなことはありません。外固定は骨膜が薄い方や脂肪の移動距離が長い方に対して極めて理にかなった安全確実な方法であり、内固定は外見のダウンタイムを最小限に抑える洗練された手技です。手法の優劣ではなく、個々の解剖学的特徴や生活環境に合わせて選ぶことが肝要です。
裏ハムラ法 内固定と外固定 術後の仕上がりの差

十分な経験と高い技術を持つ専門医が執刀する場合、組織が完全に安定した最終的な仕上がり(術後3〜6か月以降の目元の美しさ)において、内固定と外固定で決定的な優劣や大きな差が生じるわけではありません。
しかしながら、骨格の形状、脂肪のボリューム、たるみの深さによっては、どちらの固定法を選択したかによって「術後早期の回復過程」や「細かな凹凸の出やすさ」に一定の傾向と差が現れることがあります。ここでは、それぞれの固定法が術後の経過や仕上がりにどのように影響するのかを具体的に掘り下げます。
最終的な仕上がり(完成度)における比較
組織の生着という観点では、どちらの方法であっても移動させた脂肪が骨膜と癒着し、自己の血流を確立して安定すれば、同じように滑らかでフラットな涙袋下のラインが完成します。
- くぼみの改善効果: 内固定・外固定のいずれも、適切に靭帯が剥離され、十分な量の脂肪がくぼみへ移動されていれば、八の字の黒クマ(影クマ)は綺麗に消失します。
- 涙袋の自然な強調: 眼窩脂肪を正しい位置へ引き下げることで、埋もれていた涙袋(眼輪筋のふくらみ)が自然に際立つ効果は、両者で同等に得られます。
- 持続性: 脂肪を取り去るのではなく生きた組織として定着させるため、固定法に関わらず長期間(5〜10年以上、あるいは半永久的)にわたって効果が持続します。
経過・ダウンタイム・リスクの差
最終的な到達点が同じであっても、そこに至るまでの「過程」や「注意すべき点」には明確な違いが存在します。
術後初期の腫れと内出血の傾向
- 内固定: 皮膚表面に傷がないため、皮下組織への干渉が少なく、皮膚側の内出血斑が出にくい傾向があります。ただし、結膜内の限られた視野で操作を行うため、組織への愛護的操作が不足すると深部での出血が増え、結膜浮腫(白目がゼリー状に腫れる現象)がやや生じやすくなることがあります。
- 外固定: 皮膚を全層貫通するため、針穴周囲にわずかな点状出血や赤みが出ることがあります。一方で、外側から適度な圧迫がかかるため、深部での血腫形成(血が溜まること)を予防しやすい側面もあります。
凹凸(不整)や後戻りのリスク
- 内固定: 術者の固定技術が不十分な場合、一部の糸が緩んで脂肪が浮き上がり、目元の表面に軽度の凹凸を感じたり、移動させた脂肪が一部引き戻されて軽度のふくらみが残存(後戻り)したりするリスクがゼロではありません。
- 外固定: 外側からしっかりと牽引して面で圧迫できるため、脂肪の浮き上がりによる凹凸や後戻りのリスクは極めて低く抑えられます。ただし、外側の締め付けが強すぎると、抜糸後もしばらく皮膚に軽度の引き込み(えくぼのような凹み)が残ることがあり、これが平らになじむまでに数週間を要する場合があります。
骨格による向き・不向き
- 頬骨が平坦な方(ネガティブベクター): 眼球に対して頬が後退している骨格の場合、脂肪をかなり下方までしっかり引き下げて固定する必要があります。このようなケースでは、外固定の方が安定した牽引力を発揮しやすく、美しいフラットラインを作りやすい傾向があります。
- 標準的な骨格の方: 骨膜の厚みがあり、脂肪の移動距離が無理のない範囲であれば、内固定で十分に美しく滑らかな仕上がりが期待できます。
仕上がりの美しさを決定づける最大の要因は、実は固定方法の名称そのものではなく、「靭帯の剥離が十分になされているか」「移動させる脂肪の血流が温存されているか」という基本手技の精度です。固定方法は、その精密な手技を確実に支えるためのアプローチの違いであるとご理解ください。
裏ハムラ法の施術後 テープ固定をする意味

裏ハムラ法の手術を受けた後、多くのクリニックで目の下から頬にかけて医療用テープによる固定(テーピング)が行われます。「切らない手術を受けたはずなのに、なぜ外側からテープでしっかりと固定しなければならないのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
術後のテープ固定には、単なる保護にとどまらず、手術の仕上がりと安全性を担保するための医学的に極めて重要な複数の役割が存在します。
1. 血腫(皮下出血)の予防と止血効果
裏ハムラ法では、結膜を切開し、眼窩脂肪を骨膜から剥離して広範なスペースを作成します。手術直後は、剥離した組織の間から微細な出血が起こりやすい状態です。
- 圧迫による止血: テープによって適度な圧迫を加えることで、毛細血管からの微小な出血を抑え、大きな血種(血液の塊)ができるのを防ぎます。
- 内出血の広がり防止: 血液が重力で下方に落ちて頬や首まで紫色に変色するのを最小限に食い止めます。
2. 術後の腫れ(浮腫)の抑制
組織を剥離した部位には、炎症反応に伴ってリンパ液や間質液が停滞し、強いむくみが生じようとします。
- 組織間隙の圧迫: テープで外側から押さえておくことで、無駄な水分が溜まる余白をなくし、翌日以降の腫れのピークを大幅に軽減させることができます。
- 早期の社会復帰: 術後初期の腫れを最小限に抑えることは、その後のダウンタイム期間全体の短縮に直結します。
3. 移動させた脂肪の安静と位置の保持(安定化)
手術で移動させた眼窩脂肪が、周囲の骨膜や組織としっかりと癒着(生着)するには、少なくとも数日間の「局所の絶対安静」が必要です。
- 表情の動きによるズレを防ぐ: 人間は無意識のうちにまばたきをし、笑ったり話したりして表情筋(眼輪筋など)を動かしています。テープ固定がないと、筋肉の動きによって移動させた脂肪が揺り動かされ、固定糸に余計な負荷がかかってズレの原因になります。
- 組織の密着を促進: 移動させた脂肪弁と、受け皿である骨膜とを外側からしっかりと密着させ、毛細血管の新生(血流の再開)を速やかに促します。
テーピングの期間と注意すべきポイント
テープ固定は通常、手術当日から術後3日〜5日間程度継続するのが一般的です。
- 無理に剥がさない: テープの端が少し浮いてきた場合でも、自己判断で一気に剥がしてしまうと、癒着しかけた組織に負担がかかったり内出血を誘発したりします。浮いた部分をハサミでカットする程度にとどめましょう。
- 水濡れに注意する: 洗顔やシャワーの際は、指示された期間中はテープ部分を濡らさないように工夫が必要です。濡れてしまうと粘着力が落ちたり、皮膚トラブルの原因になったりします。
- 違和感があれば相談する: テープによるかゆみ、かぶれ、痛みが強い場合は、無理をせず速やかに担当医に相談してください。
術後の数日間、顔にテープを貼って過ごすのは煩わしく感じられるかもしれません。しかし、この数日間の適切な圧迫と安静が、1か月後、半年後の「凹凸のない滑らかな目元」を作り出すための確実な土台となります。術後のテーピングも手術治療の一環として大切に捉えてお過ごしください。
まとめ
目の下のクマやたるみは、お顔全体の印象を大きく左右する繊細なお悩みです。皮膚の表面を切らずに脂肪を再配置する裏ハムラ法は、本来の組織を活かしながら若々しく自然な目元を取り戻すことができる、非常に優れた治療法です。
今回解説しましたように、裏ハムラ法における脂肪の「固定方法」には内固定と外固定の2つのアプローチが存在します。
- 内固定: 体内ですべての縫合を完結させるため、抜糸が不要で術後早期から外見に糸が見えないメリットがあります。その反面、極めて高度な医師の技量が求められます。
- 外固定: 皮膚の外側へ一時的に糸を出して固定するため、数日間の抜糸通院やテープ保護が必要ですが、脂肪を広範囲かつ強固に安定させることができ、後戻りや凹凸のリスクを抑えやすい利点があります。
- テープ固定: いずれの方法においても、術後の血腫予防、腫れの軽減、移動させた脂肪の確実な生着を助けるために欠かせない大切なアフターケアです。
最終的な完成度においてどちらかが絶対的に優れているということではなく、大切なのは「ご自身の骨格や脂肪の状態にどちらが適しているか」、そして「ご自身のライフスタイルやダウンタイムの許容度に合っているか」を正しく見極めることです。
裏ハムラ法を検討される際は、単に費用の安さや手軽さだけでクリニックを選ぶのではなく、「どのような固定方法を採用しているのか」「なぜその固定方法を選択するのか」を事前にしっかりと説明してくれる専門医のもとで治療を受けることが、後悔のない満足のいく結果を得るための最も確実な道筋です。
まずは専門医によるカウンセリングでご自身の目元の状態を正しく診断してもらい、納得のいくプランで理想的な目元への第一歩を踏み出してみてください。