
「しっかり寝ているのに、なぜか目の下にクマが」「最近、人に疲れて見えると言われた」――このような経験はありませんか?目の下にできるクマは、顔全体の印象を大きく左右するため、気になっている方も多いでしょう。
特に30〜60代の女性は、加齢による目元のたるみや皮膚の薄さなども加わり、クマが濃く、目立ちやすくなる傾向にあります。「クマ=寝不足」と思われがちですが、実は睡眠時間だけが原因とは限りません。よく眠れていてもクマができるケースは少なくなく、背景には生活習慣や体質、病気の可能性、美容的な構造的要因が隠れていることもあります。
今回の記事では、睡眠不足によるクマとそれ以外の原因を見分ける方法や、自宅でできる対処法、必要に応じた専門的な治療までをわかりやすく解説します。原因を見極めて、根本からクマを改善していきましょう。
睡眠不足になると目の下にクマができる?よく寝ているのにクマができるのはなぜ?

クマ=寝不足?
一般的に「クマがある=寝ていない」というイメージがあります。確かに、睡眠不足は目の下にクマを作る要因の一つです。睡眠中は血流やリンパの流れが整い、皮膚や筋肉の修復が進みます。これが十分に行われないと、血行不良や老廃物の滞留が起き、目の下に「青黒い」クマができやすくなります。
しかし、「よく寝ているのにクマが治らない」という方も少なくありません。その場合、以下のような別の原因が考えられます。
- 色素沈着による茶クマ(摩擦や紫外線の影響)
- たるみによる影クマ(加齢・脂肪の下垂)
- 皮膚の薄さによる血管透け(構造的要因)
- 疾患による血流変化やむくみ
睡眠時間だけでなく、皮膚構造や血流、加齢、体質、生活習慣、疾患など、複合的な要因によってクマは形成されているのです。
目の下のクマ 寝不足が原因か見分ける

クマの原因を見極めることは、正しい対処法を選ぶ第一歩です。以下のチェックポイントを使って、寝不足によるクマかどうかを判断してみましょう。
寝不足が原因の「青クマ」の特徴
- 色味は青〜紫っぽい
- 朝よりも夕方の方が目立つ
- 指で皮膚を引っ張るとクマが薄くなる
- 睡眠をしっかり取ると多少は改善される
- 疲れていると濃く見える
それ以外の原因の可能性がある場合
- 色味が茶色っぽい(色素沈着による「茶クマ」)
- 色味はほとんどなく、凹みや影で暗く見える(構造的な「影クマ」)
- 睡眠をとってもクマの濃さが変わらない
- アイメイクなどの色素沈着がある
寝不足が原因であれば、まずは生活習慣の改善が有効です。しかし、そうでない場合はスキンケアや美容医療、あるいは内科的な診断も検討する必要があります。
目の下のクマの種類と見分け方については、以下の記事もご覧ください。
目の下のクマの種類がわからない場合の見分け方と画像でタイプ診断
寝不足の目の下のクマを消す方法・自宅でできるマッサージ

寝不足による青クマには、血行不良を改善することが効果的です。自宅で手軽にできるケアをいくつか紹介します。
- 温冷タオルで血流促進
・温かいタオルと冷たいタオルを交互に当てて、目の周りの血行を促進
・1セット約5分、1日1〜2回が目安
- 目元マッサージ
・目頭からこめかみに向かって、やさしく撫でるようにマッサージ
・クリームやオイルを使って摩擦を避ける
・指先の腹で「押す・流す」をゆっくり繰り返す
- 睡眠の質を高める習慣
・就寝の1時間前にスマホ・パソコンを控える
・就寝前のカフェイン・アルコールを控える
・寝室の照明や温度を快適に保つ
- アイクリームやビタミン補給
・ビタミンKやE、レチノール入りのアイケア製品がおすすめ
・ビタミンCを含む食品(キウイ・赤ピーマンなど)で内側からサポート
青クマは血流の滞りによってできやすいため、上記のようなケアで改善することが多くあります。
寝不足ではないのにクマが消えないのは病気?

睡眠を十分にとってもクマがまったく改善しない場合、体の内側に原因がある可能性があります。特に目の下の血流・リンパ・筋肉の機能に影響を与える以下の疾患に注意が必要です。
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)とは?
特に30代以降の女性に多く、頬の高い位置や目の下に左右対称に現れます。遺伝や紫外線の影響、ホルモンバランスの乱れなどが関与しており、コンシーラーでは隠しきれない、どこか「肌の奥に沈んでいるような」クマが特徴です。
このADMが原因の場合、いくら睡眠をとっても改善されません。ルビーレーザーやピコレーザーによる治療が有効ですが、根本的に「目の下のクマ」やたるみが混在していると、色素だけではなく構造的な治療も必要になります。
バゼドウ病とは?
・甲状腺ホルモンの異常によって全身の代謝が亢進する疾患
・特徴的な症状に「眼球突出」や「目の周囲のむくみ・血流異常」
・目の下が膨らみ、暗く見えることがある
これらの疾患以外にも、鉄欠乏性貧血や肝機能障害、腎機能低下などがクマの原因となることがあります。単なる「目元の悩み」と考えず、気になる場合は内科や眼科などでの検査を受けることをおすすめします。
美容外科による目の下のクマ治療

根本的なクマの改善を目指す場合、美容外科での専門的な治療も選択肢の一つです。特に構造的な「影クマ」や加齢によるたるみが原因の場合は、セルフケアでは改善が難しいこともあります。
主な治療法
Dr.三沢
治療法はクマの原因や重症度によって適切なものが異なるため、医師による診断と提案が重要です。
根本的な目の下のクマ治療 裏ハムラ法

裏ハムラ法とは?
目の下の凹凸の原因は、眼窩脂肪と呼ばれる目の周りを包んでいる脂肪が突出することで起こります。これを別名ヘルニアと言います。裏ハムラ法は、その目の下の凹凸を改善する治療です。
裏ハムラ法の適応
- 30〜60代と適応年齢は広い
- 主に目の下の膨らみである「目袋」が目立ち、目の下のしわ・たるみなど皮膚の緩みが少ない方
裏ハムラ法のメリット
裏ハムラ法の最大のメリットは、脂肪を「取る」のではなく「移動して再配置する」ことで、自然で若々しい目元を取り戻せる点にあります。主なメリットは以下の通りです。
- 目の下のたるみとくぼみを同時に改善できる
- 傷跡がまぶたの裏側に隠れるため、表面から見えない
- 脂肪を活かす手術なので仕上がりがナチュラル
- 将来的なたるみの進行を抑え、長期的な効果が期待できる
表面的なマッサージやクリームでは届かない「構造そのもの」を整える治療法として、30〜60代の女性を中心に選ばれています。
裏ハムラ法のデメリット
ただし、裏ハムラ法にもリスクやデメリットはあります。手術を検討する際は、以下の点も理解しておく必要があります。
- ダウンタイム(腫れ・内出血)が1〜2週間程度ある ※個人差があり、ダウンタイムがないケースもあり
- 医師の技術力に仕上がりが左右されやすい
- 自費診療となるため費用が30〜60万円前後と高額
- 眼窩脂肪の量や皮膚の状態により適応外のケースもある
「どんな治療でもクマが改善しなかった方」や「注入や脱脂で逆に凹んでしまった方」にとっては、再治療として選ばれるケースも多くありますが、当院では最初から裏ハムラ法を選ぶことをオススメしております。
裏ハムラ法 治療の流れ
裏ハムラ法は、まぶたの裏側(結膜)から脂肪を操作する手術です。以下のような流れで行われます。
- カウンセリング・診察:脂肪の突出具合・皮膚のたるみ・くぼみの深さを確認
- 局所麻酔または静脈麻酔で手術開始(片目30〜45分程度)
- 下まぶたの裏側から脂肪を露出し、へこんでいる部分へ再配置
- 皮膚には傷をつけずに縫合し、術後は軽い腫れと内出血が発生
- ダウンタイムはおおよそ1〜2週間、約1ヶ月で自然な仕上がりに
施術後は時間の経過とともにより自然になじみ、10年後・20年後も半永久的な効果が期待できます。
裏ハムラ法と脱脂との違い
目の下のクマ治療で「脱脂(脂肪除去)」と混同されることも多いですが、裏ハムラ法と脱脂には明確な違いがあります。
脱脂はふくらみが目立つ若年層には適している場合がありますが、30〜60代女性でたるみやくぼみが目立つケースでは、裏ハムラ法の方が自然な改善が期待できます。
施術事例【40代/女性 裏ハムラ法で目の下のクマ治療】



裏ハムラ法は、脱脂のように取り残しや再発が少なく、上まぶたや下まぶたの眼窩脂肪の取り過ぎによって起こる凹み・くぼみも起こりづらく、目の下から頬にかけて、自然な仕上がりを形成できるのが大きな特徴です。
また、小さな視野で行い、眼窩脂肪+隔膜弁を頬骨前面に適切に移動・再配置させる必要があるため、繊細でかつ正確な手技を要求される難易度の高い手術法です。
Dr.三沢
脂肪注入は冷やすと注入した脂肪がダメになってしまいますが、裏ハムラ法は脱脂+脂肪注入と違って、術後に患部を冷やすことができます。患部を冷やすことで浮腫みは3日程度でなくなります。裏ハムラ法の施術直後から目の下の膨らみはなくなり、脱脂よりも上まぶたや下まぶたが凹んだりする合併症が少ないです。
よくあるご質問
クマの改善に十分な睡眠時間は?
目の下のクマを改善するには、1日7〜8時間の質の高い睡眠が理想とされています。ただし、単に長時間寝ることよりも、「いつ寝るか」が重要です。特に夜10時〜深夜2時の間は「肌のゴールデンタイム」と呼ばれ、肌の修復やターンオーバーが活発になる時間帯です。この時間に合わせて就寝すると、目の下の血行も改善しやすくなり、クマの軽減につながります。
また、睡眠の質も見逃せません。途中で何度も目が覚める浅い睡眠では、体も肌も十分に回復できず、結果としてクマが目立ちやすくなります。寝る前のスマホ使用を控え、暗く静かな環境で眠るように心がけましょう。生活リズムを整えることが、クマの予防と改善の第一歩です。
10代でもクマが消えないのは生まれつきですか?
10代の若い世代でも目の下のクマに悩む方は少なくありません。その場合、生まれつき皮膚が薄く、血管が透けやすい体質(青クマ)である可能性があります。特に色白な方やアレルギー体質の方に多く見られます。
ただし、それだけが原因とは限りません。最近では、スマートフォンやタブレットの長時間使用、部活動での疲労、受験勉強による睡眠不足、アイメイクの刺激など、後天的な要因が加わってクマが悪化しているケースもあります。
「生まれつきだから仕方がない」とあきらめず、まずは睡眠や生活習慣の見直し、アイケアの工夫をしてみましょう。症状が続く場合は、専門医に相談するのも一つの手段です。
男性に目の下のクマができやすい原因は?メンズコンシーラーで隠せますか?
男性が目の下にクマができやすいのは、スキンケアの不足、血行不良、生活習慣の乱れなどが大きく関係しています。特に、髭剃りによる刺激、デスクワークやスマホによる目の酷使、ストレスや睡眠不足がクマの原因となることがあります。
また、男性は皮膚が女性よりも厚いとされますが、目元は別で非常にデリケートな部位です。目の下の血行が悪くなると、青クマや茶クマが目立ちやすくなります。
こうしたクマを一時的に隠したい場合、メンズ用コンシーラーは非常に有効です。最近では自然な仕上がりのアイテムも多く、青クマにはオレンジ系、茶クマにはイエロー系の色味を選ぶと効果的にカバーできます。
ただし、メイクはあくまで一時的な対処です。根本的には、睡眠・栄養・保湿・目元の血行促進(マッサージなど)といったケアを継続していくことが、クマの改善につながります。
逆に寝過ぎてクマができることはありますか?
はい、過度な睡眠が原因でクマができることもあります。特に10時間以上の長時間睡眠や昼夜逆転の生活を続けると、体内の血流やリンパの流れが滞り、目の下にうっ血やむくみが起きやすくなります。その結果、青クマや黒クマが目立つことがあります。
また、長時間同じ姿勢で眠ることでリンパの流れが圧迫され、目の下に余分な水分が溜まりやすくなるのも原因の一つです。これは特に、うつ伏せ寝や横向き寝の方に多く見られる傾向です。
クマの改善には、「長さ」よりも「質の良さ」が大切です。適度な睡眠時間(7〜8時間)を確保しつつ、寝る前のスマホを控えたり、寝室の環境を整えたりして、深く休める睡眠を意識しましょう。また、起床後に軽く顔をマッサージして血行を促すと、むくみによるクマの予防にもなります。
まとめ
- 目の下のクマは、睡眠不足だけでなく、皮膚構造や血流・加齢・生活習慣・疾患など多くの要因が関わっています。「よく寝ているのにクマが治らない」という場合、その原因は睡眠以外にある可能性が高いのです。
- まずは、自分のクマの色・形・タイミングを観察し、寝不足による一時的な青クマなのか、それとも慢性的な影クマや色素沈着なのかを見極めましょう。血流を促すマッサージや睡眠の質の改善といったセルフケアを行い、それでも効果が見られない場合には、美容外科での治療も視野に入れることをおすすめします。「寝不足によるクマなのか、それ以外の原因か」をしっかり見極めて、適切な方法でクマのない明るい目元を取り戻しましょう。