
鏡を見るたびに目立つ「ほうれい線」。30代後半から少しずつ気になり始め、40代・50代になると深さやくっきりした線に悩む女性は少なくありません。メイクで隠しきれず、写真に映った自分の顔にショックを受けることもあるのではないでしょうか。
こうした悩みは、美容の問題にとどまりません。「疲れて見える」「老けた印象を与える」「自信がなくなる」など、精神面にも影響を与えることがあります。
今回の記事では、30〜60代女性が抱えやすい「深いほうれい線」「線が強くて目立つほうれい線」について、原因と予防法、さらに美容医療の視点から効果的な改善策を詳しく解説していきます。
ほうれい線とは?

ほうれい線とは?
医学的には「鼻唇溝(びしんこう)」と呼ばれ、鼻の脇から口角にかけて斜めに走る溝のことです。もともと誰にでもある顔の構造ですが、加齢や生活習慣によりこの溝が深く、濃くなると「しわ」として認識され、老けた印象を与えます。
- 若い頃は「ただの顔のライン」だったが、年齢とともに「影」や「段差」のように見える
このように、見た目の印象が大きく変わってしまうのが、ほうれい線の厄介な点です。特に深く刻まれたほうれい線は、顔全体の若々しさを損なう要因となるため、多くの女性にとって重大な悩みのひとつとなります。
ほうれい線の主な種類:深いほうれい線・線の強いほうれい線

ほうれい線には、大きく2つのタイプがあります。
1. 深いほうれい線
加齢や筋肉の衰え、脂肪の下垂によって、頬の皮膚が重力に負けて垂れ下がり、くっきりとした溝ができるタイプです。
・常に目立つ(無表情でも確認できる)
・メイクや照明で隠しにくい
・老けた印象を強く与える
2. 線の強いほうれい線
まだ深さはないものの、表情をつくったときにくっきりと線として現れるタイプです。皮膚が硬めで乾燥しやすい人や、笑顔が多い人にも見られます。
・表情を動かすと現れる
・笑顔や会話中に目立つ
・若い人にも見られる
この段階でケアを始めると、深いほうれい線への進行を食い止めやすくなります。
ほうれい線ができる原因/深く・線が強くなる原因

ほうれい線が目立つようになる背景には、以下の複合的な要因が影響しています。
- 1. 加齢による肌と筋肉の変化
コラーゲンやエラスチンの減少・・・肌の土台がゆるみ、皮膚がたるみやすくなります。
表情筋の衰え・・・とくに大頬骨筋・小頬骨筋など、頬を持ち上げる筋肉が弱ると、ほうれい線が固定化されやすくなります。
- 2. 骨格・脂肪の影響
頬骨が高い人・顎が小さい人は、顔の脂肪の流れがほうれい線に集中しやすくなります。
頬の脂肪減少によって皮膚が落ち込み、線が強くなります。
- 3. 表情のクセ
長年の笑いグセ・しゃべり方・頬杖などにより、同じ箇所にしわが定着してしまいます。
- 4. 乾燥・紫外線などの外的要因
乾燥により、肌の柔軟性が失われ、浅いしわが深くなりやすい。
紫外線によるコラーゲン破壊は、たるみ・しわを早めます。
- 5. 生活習慣の乱れ
睡眠不足・ストレス・栄養不足により、肌のターンオーバーが乱れ、老化が進行します。
喫煙や過度なダイエットも悪影響です。
ほうれい線が深くならないための予防法

ほうれい線は日々のケアと習慣で進行を防ぐことが可能です。特に「まだ線が強いだけ」の段階であれば予防が非常に有効です。
- 1. 表情筋トレーニング
・顔ヨガやマッサージで筋肉を刺激し、頬の位置をキープします。
・「あいうえお」運動、口を大きく動かす発声は手軽で効果的。
- 2. スキンケアの見直し
・保湿力の高い美容液(ヒアルロン酸・セラミド)を使用。
・レチノール配合クリームなどでハリをサポート。
・皮膚が薄い口元専用のクリームを活用するのも効果的。
- 3. 紫外線対策
・日焼け止めは年中使用。SPF30以上+PA+++がおすすめ。
・帽子やサングラス、日傘の活用でUVAもブロック。
- 4. 姿勢の改善・生活習慣の見直し
・猫背やうつむき姿勢は顔のたるみを進行させます。
・睡眠・食事・ストレス管理も美肌には不可欠です。
深いほうれい線への効果的な改善治療
年齢とともに定着してしまった深いほうれい線に対しては、根本的な構造改善が必要です。以下では、医学的・審美的観点から効果が高いとされる代表的な治療法を一つずつ、具体的に解説します。
1. ヒアルロン酸注入

ヒアルロン酸注入とは?
ヒアルロン酸はもともと体内に存在する保水成分で、肌にふっくらとしたハリを与える働きがあります。ほうれい線の溝部分に直接注入することで、くぼみを持ち上げ、しわを目立たなくします。
項目 |
内容 |
適応 |
・比較的浅い〜中程度のほうれい線
・イベント前など、短期間で効果を得たい人 |
効果 |
・注入直後からふっくらとした仕上がりに
・通常6か月〜1年程度持続(製剤によって異なる) |
メリット |
・ダウンタイムがほぼない(直後にメイク可)
・少量の注入でも自然な若返りが可能
・繰り返し施術で安定した仕上がりに |
注意点 |
・持続は一時的(定期的なメンテナンスが必要)
・技術差が出やすく、不自然な仕上がりになる場合も
・稀に腫れ・内出血・しこり感が出ることがある |
向いている人 |
「まずは試してみたい」
「すぐに変化を実感したい」
「手術には抵抗がある」 |
2. 脂肪注入(コンデンスリッチ脂肪注入など)

脂肪注入とは?
自分の太ももや腹部から脂肪を採取し、不要物を除去した“純度の高い脂肪”を顔のくぼみに注入する方法です。定着した脂肪は半永久的に体内に残ります。
項目 |
内容 |
適応 |
・中〜重度のほうれい線
・加齢により頬がこけて、影が強く出ている人 |
効果 |
・自然なボリューム感と柔らかい質感
・定着した脂肪は長期間持続(2〜3年以上) |
メリット |
・自身の組織を使うためアレルギーの心配がない
・複数部位(目の下や法令線、マリオネットライン)同時治療が可能
・ヒアルロン酸よりナチュラルな変化が得られる |
注意点 |
・採取部の腫れや内出血が出ることがある
・一部の脂肪は吸収されるため、複数回の施術が必要な場合も
・術後3〜6か月でボリュームの変化が落ち着く(即時完成ではない) |
向いている人 |
「ヒアルロン酸よりも長く効果を持たせたい」
「ナチュラルに若返りたい」
「中顔面全体の老化が気になる」 |
3. 糸リフト(スレッドリフト)

スレッドリフトとは?
特殊なトゲ付き吸収糸(PDOやPCLなど)を皮下に挿入し、頬やフェイスラインを物理的に引き上げるリフトアップ治療。たるみの根本改善を目指す施術です。
項目 |
内容 |
適応 |
・頬のたるみによる深いほうれい線
・マリオネットラインやフェイスラインも気になる人 |
効果 |
・糸で皮膚を引き上げることで、ほうれい線が浅くなる
・挿入から数週間後にコラーゲン生成も促進される
・約6〜18か月効果が持続(糸の種類による) |
メリット |
・メスを使わずにリフトアップができる
・自然な表情のまま若返りが可能
・顔全体の印象が若返る(リフト+ハリ感) |
注意点 |
・数日間の腫れ・違和感・引きつり感が出ることがある
・効果や持続性は糸の種類・本数・医師の技術で左右される
・引き上げすぎや左右差が出る可能性も(信頼できる医師が必須) |
向いている人 |
「頬全体のたるみを改善したい」
「切らずにナチュラルに若返りたい」
「肌のハリも欲しい」 |
4. HIFU(高密度焦点式超音波)

HIFUとは?
超音波の熱エネルギーをSMAS筋膜層まで届けて、肌の内側から引き締める非侵襲型のリフトアップ治療。特に「たるみ予防」として注目される施術です。
項目 |
内容 |
適応 |
・軽〜中程度のたるみとほうれい線
・フェイスラインのもたつきが気になる人 |
効果 |
・熱の刺激でコラーゲンが再生され、肌の弾力が回復
・タイトニング(引き締め)効果が数ヶ月持続
・ほうれい線が浅くなり、輪郭もシャープに |
メリット |
・ダウンタイムなし(施術後すぐに外出可能)
・年に1〜2回のペースでメンテナンスが可能
・肌質改善効果も期待できる(毛穴・小じわの改善) |
注意点 |
・効果の実感までに数週間〜1か月ほどかかる
・頬の脂肪が少ない人にはやや不向き(骨張るリスク)
・効果は一時的(持続には継続が必要) |
向いている人 |
「切らずに、定期的にメンテナンスしたい」
「ほうれい線以外にも肌の引き締めが気になる」
「忙しくてダウンタイムが取れない」 |
5. 裏ハムラ法(脂肪再配置術)

裏ハムラ法とは?
本来は「目の下のクマたるみ改善」に使われる手術ですが、頬の中央部(ミッドチーク)の凹みを滑らかに整えることで、ほうれい線を間接的に目立たなくする効果があります。下垂した眼窩脂肪を目の下〜頬のくぼみに再配置します。
項目 |
内容 |
適応 |
・中顔面のくぼみ+目の下のクマたるみ+深いほうれい線
・目の下とほうれい線が連動して影をつくっている場合 |
効果 |
・目の下〜頬中央の凹凸がなめらかになり、影が減少
・結果的にほうれい線が目立たなくなる
・脂肪のボリュームを移動させるため、持続性が高い |
メリット |
・中顔面全体の若返り効果がある
・目元のたるみ・くま・ほうれい線を一度に改善できる
・自然な仕上がりで「手術感」が出にくい |
注意点 |
・麻酔・回復期間が必要(ダウンタイム1〜2週間程度)
・熟練した医師による技術が必要(繊細な操作)
・他の治療に比べて費用・負担は大きいが効果も大きい |
向いている人 |
「中顔面全体の老け感を一気に変えたい」
「もう注入では限界と感じている」
「効果を長く持続させたい」 |
施術事例【40代/女性 顔のほうれい線・顎周りのたるみ改善】


多くの女性が悩む、ほうれい線や顎の周りのたるみは、ヒアルロン酸・HIFU(ハイフ)・スレッドリフトなど手術しない切らない非侵襲的=美容皮膚科領域で行う治療が数多くあります。当院でも手術に抵抗がある方は、切らない施術をご用意しております。
美容皮膚科的な治療は、長期継続・定期的なメンテナンスを行うことで効果が発揮するので、即効性のある劇的改善が難しい傾向にあります。フェイスリフトには抵抗があるけど、HIFUやスレッドリフトよりも即効性がほしい方におすすめする効果抜群の小顔・たるみ改善を行いました。
当院の小顔・たるみ改善は、顔の脂肪吸引を行った後にもみあげリフトを行うダウンタイムが少ない治療です。
Dr.三沢
1週間後くらいから、ひきあがり効果が期待でき、吸引した部分の皮膚は薄くなり、もみあげリフトでその皮膚は上で固定されます。後戻りもしにくく、長期にわたり効果が期待できます。
よくあるご質問
ほうれい線に左右差があるのはなぜですか?
ほうれい線に左右差があるのは、顔の筋肉の使い方や日常生活での姿勢のクセが大きく影響しています。たとえば、食事のときに片側だけで噛む「片側咀嚼」、頬杖をつく癖、スマートフォンを見るときの首の傾き、寝るときの向き(横向きで同じ側を下にして寝るなど)が続くと、顔の筋肉や皮膚に左右差が生まれやすくなります。
また、生まれつきの骨格の非対称や、年齢とともに進行する顔の脂肪や皮膚のたるみの程度にも個人差があるため、加齢によって左右差が目立ってくる方も少なくありません。
気になる場合は、表情の使い方や生活習慣を見直すことで左右差を緩和できる可能性があります。さらに専門的な治療でバランスを整えることも可能です。
自宅での予防やケアでほうれい線は消えますか?
自宅でのケアでは、完全にほうれい線を「消す」ことは難しいですが、浅い段階であれば目立たなくしたり、進行を遅らせることは十分可能です。
たとえば、次のようなセルフケアは有効です。
・保湿ケア:肌が乾燥すると小じわが深くなりやすいため、ヒアルロン酸やセラミド配合の保湿剤でしっかりと潤いを与えましょう。
・紫外線対策:紫外線による光老化は肌の弾力低下を招きます。日焼け止めを毎日使用し、帽子やサングラスも活用すると効果的です。
・表情筋トレーニング:顔の筋肉を動かすことでリフトアップ効果が期待できます。ただし、無理な動きや誤ったやり方は逆効果になるため、信頼できる方法で行うことが重要です。
・生活習慣の見直し:栄養バランスの取れた食事、良質な睡眠、ストレス管理も、肌の状態に影響します。
これらのセルフケアを継続することで、ほうれい線の進行を予防し、将来的な改善につなげることができます。ただし、深く刻まれたほうれい線はセルフケアだけで消すことは難しく、美容医療との併用が効果的です。
ほうれい線対策にマッサージはしない方がいいですか?
マッサージ自体が悪いわけではありませんが、間違った方法で行うと逆効果になることがあります。強くこすったり、皮膚を引っ張りすぎたりすると、かえって肌の弾力を損ない、たるみやシワを悪化させてしまうこともあるため注意が必要です。
一方で、適切な方法で行えば、マッサージは以下のような効果が期待できます。
・顔の血行を促進して、肌に栄養を届けやすくなる
・老廃物の排出を助け、むくみの軽減につながる
・表情筋の緊張をほぐし、リフトアップ効果を引き出す
おすすめの方法としては、オイルやクリームを使用して摩擦を減らし、やさしく円を描くようにマッサージするのが基本です。また、エステティシャンや医師監修のマッサージ動画を参考にするのも良いでしょう。
ただし、敏感肌の方やすでに深いほうれい線がある方は、マッサージだけでの改善には限界があるため、慎重に取り入れることをおすすめします。
改善治療で深いほうれい線はどこまで消えますか?
美容医療による改善治療では、深く刻まれたほうれい線であっても、かなり目立たなくすることが可能です。ただし「完全に消える」というよりは、「浅くなる」「影が目立たなくなる」といった改善となることが多いです。
どこまで改善できるかは、ほうれい線の深さ・長さ・肌質・骨格などによって個人差があります。治療前にカウンセリングで仕上がりのイメージや希望をしっかり共有することが大切です。
まとめ
- 深いほうれい線や線の強いしわは、放っておくとどんどん進行していきます。「年齢だから仕方ない」とあきらめず、まずは今の状態を正しく把握し、原因を理解したうえで適切なケア・治療を選ぶことが重要です。
セルフケアで予防・維持をしつつ、美容医療での的確な治療を取り入れることで、ほうれい線は確実に改善できます。
- 自分の顔が好きになれる未来のために——
今からでも遅くありません。信頼できる美容皮膚科や美容外科に相談し、あなたに最適なプランを見つけてください。「深いほうれい線を改善したい」という思いを実現し、若々しく自然な笑顔を取り戻しましょう。