
「最近、まぶたが重くて目が小さくなった気がする」「鏡を見ると眠たそうな顔をしている」といった悩みを抱えていませんか?
これらは一般的に「眼瞼下垂(がんけんかすい)」と呼ばれる症状ですが、実は眼瞼下垂には大きく分けて、まぶたを上げる筋肉そのものに問題がある「真性(しんせい)」と、それ以外の原因でまぶたが下がって見える「偽性(ぎせい)」の2種類が存在します。
今回の記事では、医療の視点から、特に見分けがつきにくい「偽性(仮性)眼瞼下垂症」に焦点を当て、その原因、症状、そして気になる手術の保険適用について詳しく解説します。
偽性(仮性)眼瞼下垂症とは?

偽性眼瞼下垂症とは?
「まぶたを動かす筋肉の機能は正常であるにもかかわらず、見た目上でまぶたが下がっている状態」を指します。
なぜ「偽性」と呼ばれるのか
通常の眼瞼下垂(真性)は、まぶたを持ち上げる「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」という筋肉や、その神経の異常によって起こります。しかし、偽性眼瞼下垂の場合は、この筋肉自体はしっかり働いています。
それなのに、まぶたが下がって見える理由は、主に「皮膚の余り」や「眉毛の位置」にあります。いわば、カーテンレール(筋肉)は壊れていないけれど、カーテンの布地(皮膚)が長すぎて引きずっているような状態です。
偽性眼瞼下垂の主な特徴
- まぶたの筋肉(挙筋機能)は維持されている。
- まぶたの縁(ふち)自体は黒目の中心に掛かっていないことが多い。
- 余った皮膚が覆いかぶさることで、視野が狭くなる。
このように、根本的なメカニズムが真性のものとは全く異なるため、治療アプローチも変わってきます。まずは「自分のまぶたの重みがどこから来ているのか」を正しく理解することが、改善への第一歩となります。
偽性眼瞼下垂の原因と症状

偽性眼瞼下垂の主な原因は、加齢や外部刺激による「まぶたの皮膚のたるみ」です。これによって視界の悪化や外見の変化といった症状が引き起こされます。
主な原因
偽性眼瞼下垂を引き起こす要因は、主に以下の3つに集約されます。
- 1. 眼瞼皮膚弛緩症(がんけんひふしかんしょう)
加齢とともにまぶたの皮膚が弾力を失い、伸びて垂れ下がってくる状態です。最も多い原因です。
- 2. 眉毛下垂(びゅうもうかすい)
眉毛を支える組織がゆるみ、眉毛ごとまぶたが押し下げられる現象です。
- 3. 眼瞼痙攣(がんけんけいれん)
まぶたの筋肉が自分の意思に反して収縮し、目が開けにくくなる疾患です。筋肉は正常ですが、開きにくいため偽性に分類されることがあります。
起こりうる症状
見た目の問題だけでなく、身体にさまざまな不調をきたすのがこの病気の特徴です。
- 視界の制限: 垂れ下がった皮膚が視界の上部や外側を遮り、物が見えにくくなります。
- 眼精疲労と頭痛: 視界を確保しようとして、無意識に眉毛を引き上げたり、顎を突き出したりするため、おでこの筋肉や首・肩の筋肉に過度な負担がかかります。
- 逆さまつげ: 垂れ下がった皮膚がまつげを内側に押し込み、眼球を傷つけることがあります。
- おでこのシワ: 常に眉を引き上げているため、若い世代でもおでこに深い横シワが刻まれやすくなります。
「単なる老化現象だから」と放置されがちですが、これらは日常生活の質(QOL)を著しく低下させる要因となります。
偽性(仮性)と真性の眼瞼下垂症の違い

偽性と真性の決定的な違いは、「まぶたを上げる力(筋肉の機能)があるかどうか」にあります。
ご自身でチェックする際や、医師の診断を受ける際に重要となる比較ポイントを以下の表にまとめました。
比較表:偽性 と 真性
簡易セルフチェック法
鏡の前で、「眉毛を指でしっかりと固定した状態で、目を開けてみてください」。
- 楽にパッチリ開く場合: 偽性(皮膚のたるみが原因)の可能性が高いです。
- 眉を固定すると目がほとんど開かない場合: 真性(筋肉の機能不全)の可能性が高いです。
ただし、高齢者の場合は「筋肉も弱まり、皮膚もたるんでいる」という両方の合併症状(混合型)であることも少なくありません。正確な判断には専門医による「MRD(瞳孔反射間距離)」などの計測が必要です。
偽性眼瞼下垂の手術と保険適用

偽性眼瞼下垂の手術は、視機能障害があると診断されれば「保険適用」となります。しかし、美容目的と判断される場合は自費診療になります。
手術を検討する上で最も気になる「お金」と「方法」について詳しく解説します。
保険適用になる基準
日本の公的医療保険が適用されるかどうかは、以下の点がポイントになります。
- 機能的な問題があるか: 「皮膚が被さって視界が著しく狭い」「頭痛や肩こりがひどい」「逆さまつげで角膜が傷ついている」など、生活に支障がある場合。
- 医師の診断: 診察によって「眼瞼皮膚弛緩症」などの病名がつき、治療が必要と判断された場合。
一方、「二重の幅を広げたい」「目を大きく見せて若返りたい」「たるみを解消したい」といった審美目的(見た目の改善)が主眼となる場合は、自由診療(全額自己負担)となります。偽性眼瞼下垂(皮膚のたるみ)の場合は、保険適用されません。
主な手術方法
偽性眼瞼下垂(皮膚のたるみ)に対する代表的な手術は以下の2つです。
- 眉下切除術(眉下リフト):
眉毛のすぐ下のラインに沿って余った皮膚を切り取る方法です。まぶた本来の厚みや形を活かしつつ、自然にリフトアップできるため、偽性眼瞼下垂には非常に有効です。
- 上眼瞼皮膚切除術:
二重のライン上で皮膚を切り取る方法です。二重をはっきりさせたい場合に適していますが、まぶたが厚い人の場合は、仕上がりが不自然(腫れぼったい印象)になるリスクもあります。
費用とダウンタイムの目安(保険適用の場合)
- 費用: 3割負担で両目約5万円程度(施設や術式により異なります)。
- ダウンタイム: 強い腫れは1〜2週間程度。抜糸は術後約1週間後に行うのが一般的です。
手術を受ける際は、機能回復を優先する「眼科・形成外科」なのか、美しさを重視する「美容外科」なのか、自分の希望に合ったクリニック選びが重要です。
まとめ

偽性眼瞼下垂症は、まぶたの筋肉ではなく「皮膚のたるみ」が原因で起こる疾患です。まずは自分がどちらのタイプかを知り、保険適用の可否を確認した上で、最適な治療を選択しましょう。
- 偽性とは: 筋肉は正常だが、皮膚が被さって目が小さく見える状態。
- 原因と症状: 加齢や摩擦が原因。視界不良、頭痛、肩こり、おでこのシワを招く。
- 真性との違い: 筋肉の力の有無。眉を固定して目を開けられるなら偽性の疑い。
- 手術と保険: 生活に支障がある「機能障害」と認められれば保険適用が可能。
- 「たかがまぶた」と思われがちですが、視界が広がることで心まで明るくなったという患者様は多くいらっしゃいます。もし、今のまぶたの状態にストレスを感じているのであれば、一度専門医のカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。
- まずは、お近くの形成外科を受診して「保険適用での治療が可能かどうか」を相談することから始めてみませんか?
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