この施術に関して
この方は過去に他院(眼科)で眼瞼下垂治療を受けたことがある方です。術後2年で再発をしたようです。右の方が左に比べて重度の眼瞼下垂です。ダウンタイムがとれないとのことで今回『切らない眼瞼下垂-切開式』を選択され施行しました。結果はこのようにしっかりと目があけられるようになりました。切らない眼瞼下垂はほとんど腫れないのが最大なるメリットですが、二重幅の調節はできません。そのため、左と右の二重幅は軽度違いがありますが、これは前回の手術による影響のためです。
切らない眼瞼下垂症手術の切開法です。切開とは皮膚を切りません。結膜側といってまぶたの裏側を切開します。ミューラー筋を出して瞼板に固定をします。糸は露出せず中に埋没法という形で埋め込んでしまいます。
術後の経過
治療前
術中所見
手術直後(目を開いたとき)
手術直後(目を閉じたとき)
施術カテゴリー
施術の説明:
まぶたの裏側からアプローチをして緩んだ挙筋腱膜を縫合固定を行います。
施術のリスク:
だるさ・熱感・頭痛・蕁麻疹・痒み・むくみ・発熱、目がゴロゴロする、左右差があると感じる、違和感を感じる、目の上、目の下のくぼみなど
施術費用:片目(切開法) ¥200,000(税別)
よくあるご質問
二重の幅を変えることは 可能ですか?
眼瞼下垂では二重の幅が広くなっています。『切らない眼瞼下垂』では皮フ側での操作は行わないため厳密には二重の幅を調整することはできませんが、眼瞼下垂症を改善することで自然な目の状態(本来の二重の幅)に戻ります。
埋没式と切開式では どう違うのですか?
両方ともまぶたの裏側のみで行うため術後の腫れ・出血などのダウンタイムがほとんど起こりません。埋没式は、切らないで糸のみの操作で筋肉のゆるみを改善します。経結膜切開法では、小切開を行いしっかりと固定を行います。
埋没式では糸のみで操作しているため、経結膜切開法に比べてはずれる可能性があります。
リスクが高い(症状が強い)場合には術前に切開法をお勧めしています。そのような場合には術前のカウンセリングにてお話しています。
まず、眼瞼下垂(がんけんかすい)症とは・・・?
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは、『上まぶたが落ちて正常に開かない状態』です。
したがって、眼瞼下垂による症状は大きく分けて二つ、
1. 視力・視覚の症状
2. 見た目の症状
そして、眼瞼下垂の原因はさまざまです。
生まれつき、加齢性、コンタクトレンズとくにハードコンタクトレンズ着用者、外傷性、医原性(過去に埋没法などの治療を受けたことがある)などです。
眼瞼下垂症の原因は、上記のものが関与しているのですが、直接的な原因はまぶたを挙げる筋肉である眼瞼挙筋・ミューラー筋の障害です。
ですから、治療は眼瞼挙筋機能の回復となります。
眼瞼挙筋機能を回復させるための眼瞼下垂の治療法には大きく分けて2つがあります。
そして、
当院M’sでは、切らない眼瞼下垂症手術は2種類あります。
① 埋没式・・・通糸法といって、針と糸のみで行う方法です。
② 切開式・・・結膜側を切開し直接筋肉を見て行います。
今回ご紹介する眼瞼下垂治療は、皮膚を切らない眼瞼下垂治療(経結膜的眼瞼下垂症手術)の②切開式についてです。
では、
通常の眼瞼下垂症手術(切開法)と比較して、切らない眼瞼下垂症手術のメリット・デメリットに関して触れたいと思います。
切らない眼瞼下垂症手術のメリット&デメリット
メリットは?
1.ダウンタイムが短い
標準的な手術法である経皮的(切開法)眼瞼下垂症手術では、皮膚側よりアプローチをします。手術どれにおいても皮膚を切開すると傷が大なり小なり出血をします。出血をするので内出血が起こったり、手術後に傷が腫れたりします。一方、切らない眼瞼下垂症手術では、皮膚を切らないでまぶたの裏側よりアプローチをします。まぶたの裏側である結膜側を切開もしくは、埋没法の場合は針と糸のみを使用するので、切開法よりも確実に腫れにくいという、切らない眼瞼下垂の最大のメリットととなります。通常の眼瞼下垂症手術(切開法)ではダウンタイムは、少なくとも抜糸を行うまでの1週間あります。一方、切らない眼瞼下垂手術ではほとんど腫れません。腫れたとしても2〜3日程度です。腫れが引けばメイクをすることも可能です。お仕事などであまり時間が取れない方にとっては適した治療法と言えます。
2.きずあとが分からない・顔貌が大きく変わらない
まぶたの裏側からおこない、すべて裏側の操作で完結するので上まぶたの表面に全く傷が残りません。皮膚を切らずに行うので腫れや内出血などのダウンタイムが少ないのが大きな特徴です。まぶたの裏側からまぶたを挙げる筋肉や腱膜を糸で縫い縮めて引きが上げることでまぶたの開きが改善します。そして、二重幅などは元の状態(=眼瞼下垂症を発症する前の状態)に戻るだけなので、目元が大きくなったり、目つきが変化して顔が変わることがありません。ただし、眼瞼下垂顔貌からパッチリとした目になるのでその分顔貌の変化というものは認めます。
3.手術時間が短い
通常の眼瞼下垂症手術(皮膚を切る)では、皮膚を切って、筋肉を分けて・・・など、通常トータルで1時間30分から2時間くらいかけて行います。一方、切らない眼瞼下垂の場合、片目20〜30分、両目で40〜60分で終了します。手術時間は通常の切開法に比べて短時間で済むので患者さんにとっては負担が軽減する手術法です。
デメリットは?
1.機能回復における限界
機能を回復させるという点では、まぶたの裏側より行う切らない眼瞼下垂症手術では改善に限界がある場合があります。高度の癒着が予想される場合や重度の眼瞼下垂症、そして、まぶたの皮膚が余っている方では通常の表側より行う切開法の方が適している場合があります。
2.二重幅の調整が不可能
切らない眼瞼下垂症手術はまぶたの裏側のみより操作を行います。表側の皮膚には一切操作を行いません。したがって、腫れは少なく・内出血なども起こることはほとんどありません。これが切らない眼瞼下垂症手術における最大なるメリットです。しかし、皮膚を切らないということは皮膚の調節ができないということを意味します。二重幅は腱膜固定の位置にもよりますが、上からかぶってくる皮膚の量にも決定されます。切らない眼瞼下垂症手術では皮膚切除をしないので、思い通りの二重幅になるのは難しい場合があります。
3.保険適応外
通常の眼瞼下垂症手術(皮膚を切る)では、診断基準を満たす場合には保険が適用されます。一方、切らない眼瞼下垂症手術では保険適応外の手術となります。治療費が全て実費となります。治療費は以下のようになります。
以上をまとめますと、
切らない眼瞼下垂症手術が適している方