この施術に関して
先天性眼瞼下垂症では、まぶたを挙げる筋肉や腱膜などが欠損していたり、機能低下が著しかったりと、通常の眼瞼下垂症手術における挙筋前転法を行っても改善しないケースがほとんどです。
殆どということは数は少ないのですが挙筋前転で改善するケースもあります。したがって、挙筋前転アプローチをまず行い、挙筋機能を確認します。それで改善が見込めない場合、今回のように側頭筋膜による筋膜移植法を行います。
側頭筋膜は前頭筋に固定を行い前頭筋(おでこの筋肉)の収縮でまぶたを持ち上げます。先天性の場合では、おでこの力でまぶたを挙げることに慣れています。今回のケースにおいても右側のみの眉を挙げることで視野が広がります。
今回のご要望としては、『あまりパッチさせると・・・』、、男性で一重でということであまりオーバーに矯正はしないように行いました。左右対称が得られたので、またよく見えるようになったということで大変喜んでいただいております。
眼瞼下垂症の手術合併症
出血、感染、噛んだときの側頭部の痛み、禿髪、術後瘢痕問題(ケロイド、肥厚性瘢痕などの発生)、麻酔によるアレルギー、再発、ドライアイ、一過性の視力低下、顔貌の変化、二重の左右差、上まぶたの皮膚知覚障害など
眼瞼下垂症の料金
眼瞼下垂症手術にかかる自己負担金
眼瞼下垂症手術(側頭筋膜移植法):片側 約 ¥62,000円
*便宜上、『切らない眼瞼下垂』にカテゴリー別されていますが、これは切らない眼瞼下垂症手術ではありません。
60代 男性の方です。
先天性右片側眼瞼下垂症です。
先天性とは生まれつきということです。
幼少期に一度手術を行われたということですが、治療の結果が得られず右側のまぶたが下がった状態のまま、この年齢にまで至ったとのことです。
ですが、旧サイトの
https://ms-clinic.yokohama/blog/case/4355/
この記事を読まれて、意を決して治療を行うことになりました。
先天性眼瞼下垂症
先天性眼瞼下垂症は、生まれつき眼瞼挙筋の神経筋単位が欠損しているために起こります。
したがって、筋繊維が欠如していることが多いので当然ながら通常行われる眼瞼下垂症手術である挙筋前転法では改善が見込めず、一般的には前頭筋と瞼板との間に筋膜を移植する吊り上げ法が行われます。
今回この吊り上げ法に使用した筋膜は、側頭筋膜です。
その他にも大腿筋膜を使用されることもあります。
*側頭筋膜 or 大腿筋膜を使用するかは術者の好みによって決まります。
*筆者の好みとしては側頭筋膜です。筋膜としての性状はほぼ同じです。まず、術野が目に近いということもありますが、一番の問題は大腿筋膜を採取した場合、痛みによる術後の歩行障害があります。
今まで経験したケースではほぼ100%の方で術後に太ももの痛みを訴えていました。一方、側頭筋膜ではそのようなことはなく開口時(口を大きく開くとき)の痛みが軽度であるだけでADL(日常動作活動)に支障が来さないということです。今回も同様で特に問題はなかったようです。