目の下の膨らみ・たるみでお悩みの方であれば、ハムラ法・裏ハムラ法、脱脂などという言葉を知ったり、目の下を改善する治療方法としてご存知の方も多いかと思います。
ハムラ法と裏ハムラ法の違いについて、以前解説しました。
今回は、皮膚を切らない治療法である裏ハムラ法について、メリットとデメリット、脱脂との違いについて解説し、手術事例もご紹介します。
目の下のクマ治療 皮膚を切らない裏ハムラ法とは?
裏ハムラ法(眼窩脂肪移動術)とは、1996年、アメリカの形成美容外科医Dr. Hamraが『Clinical plastic sugery』という雑誌にて、『The role of orbital fat preservation in facial aesthetic surgry. A new concept』という表題で論文として紹介したのが最初です。
経結膜的眼窩脂肪移動術を通称 裏ハムラ法と呼び、上記のイラストのように、表側の皮膚を切らないでまぶたの裏側である経結膜的(あっかんべーをした赤い粘膜の部分)から切開を行います。
目の下の膨らんだ眼窩脂肪を凹んだ部分に移動させることにより、凹凸が解消されるという仕組みです。
目の下の膨らみとなっている眼窩脂肪が突出した状態であるクマ(通称:黒クマ)など、クマやたるみに有効な治療法です。
裏ハムラ法の施術の流れと主な適応年齢
主な治療の流れとしては、上記のように
①表側の皮フを切らずに瞼(まぶた)の裏側である結膜を切開し、
②眼窩脂肪を骨膜上に移動し、
③結膜を閉じる
という3ステップです。
裏ハムラ法は、20〜40代で皮膚のたるみやしわが少ないが、目の下の膨らみのある方への治療法として特に有効です。
皮膚のタルミが多い方、凹みが多い方の場合、余剰な皮膚切除をおこなったり、脂肪注入などの補助的な治療法が必要となります。
また、脱脂+脂肪注入での目の下の治療よりも骨膜の上の剥離を行うため、内出血などの合併症が多く、施術してから回復するまでの期間であるダウンタイムが長くなります。
クマ・たるみだけでなく、シミ・そばかすが多く気になる場合は、ピーリングやフォトフェイシャルとの美肌治療との併用も効果的です。
裏ハムラ法(眼窩脂肪移動術)による手術のメリット
- 皮膚を切って眼窩脂肪(通称 目袋)を摘出するという従来の方法とは異なるので、皮膚を切ることに抵抗がある方にも有効
- 脂肪注入を行わずに目の下の改善が可能
- 傷跡がなく、手術後の腫れが少ない
- 外反(あっかんべー)のリスクは、ほとんどありません
- 脂肪を移動するので、術後はスッキリした目元に
皮膚のあまりが少ない20〜40代の方にオススメの治療法です。
手術は、眠らせる麻酔である静脈麻酔下+局所麻酔で行いますので、痛みを感じません。
※50代以上の方であっても、カウンセリングにより、裏ハムラ法での手術が適応の場合もあります。
裏ハムラ法(眼窩脂肪移動術)による手術のデメリット
- 内出血などの合併症が起こる場合がある
- 術後1〜2日目が腫れや浮腫のピークとなることがある
主なリスク
出血、感染、術後瘢痕問題(ケロイド、肥厚性瘢痕などの発生)、麻酔・薬剤によるアレルギー・アナフィラキシーショック、ドライアイ、一過性の視力低下、顔貌の変化、まぶたの皮膚知覚障害、糸が露出する、目の中のゴロゴロ感、皮膚色素沈着、皮膚の表面の凸凹、頭痛、吐き気、下眼瞼外反症、仕上がりの左右差
裏ハムラと脱脂との違い
両者の違いについて、ご説明する前に、脱脂術についてご紹介します。
脱脂術(経結膜的脱脂術)は、目の下が膨らんでいる原因となっている眼窩脂肪を取り除く施術です。
眼窩脂肪を適量減量する技術が必要で、取りすぎると凹むため、適切な量を取り除く必要があります。
この適量がとても重要で、多すぎても少なすぎてもいけません。
皮膚を切らずに、まぶたの『あかんべー』をした際に見えるピンクの粘膜を切開し、まぶたの裏側から行うので出血がなく、ダウンタイムが少ないクマ治療です。
皮膚の弾力があり、頬の位置が高い方は、脱脂のみで行いますが、頬の位置が低かったり、頬が下垂している場合は、脂肪注入を併用することをオススメしております。
脂肪注入により、脂肪の再分配が可能となり、目の下から頬にかけて流れるような凸面の綺麗な『理想のカーブ』を形成することが可能となります。
脱脂・脂肪注入については、以下の記事もご覧ください。
目の下の脂肪移植・脱脂、入れすぎ・取りすぎなど失敗後の修正治療
裏ハムラ法と脱脂の大きな違いは、膨らんでいる脂肪(眼窩脂肪)の処理の仕方にあります。
裏ハムラ法は、眼窩脂肪を取り除くことはせずに、適切な位置へ移動し、固定します。
脱脂は従来から行われている目の下のクマ治療の方法である眼窩脂肪を切除し、太ももなどの脂肪を採取して凹んだ部分に注入する脂肪注入を併用することが多いです。
眼窩脂肪を適量取り除き、理想の状況にすることも可能ですが、脂肪注入を併用する場合、注入した脂肪がどれくらい定着するか、人によって定着率に違いがあり、個人差があります。
裏ハムラ法であれば、眼窩脂肪を取り除かずに脂肪の血流が保たれたまま移動させる技術のため100%残ります。そのため、脂肪を取りすぎてしまったり、脂肪注入により、入れすぎてしまったり、定着率に違いが出るということはありません。
脂肪の移動のみで完了させることができるのが、裏ハムラ法の利点です。
脱脂に比べて、裏ハムラ法の欠点を挙げるとすれば、眼窩脂肪を移動させるという技術からわかるように、膨らんでいる分量の範囲内でしか脂肪を移動できないので、脂肪が足りない場合は、裏ハムラ法はオススメできません。
さらに、脂肪の移動は遠くに移動させることができないので、凹んでいる部分が多い、または遠いといった広範囲にわたる場合は、裏ハムラ法ではなく、脱脂+脂肪注入の方が適切です。
他にも、膨らみの形としては、移動するだけでなく、摘出・注入を行う脱脂+脂肪注入の方が均一に見えて、きれいに見えます。
色については、膨らみの量を操作する脱脂+脂肪注入よりも、裏ハムラ法による移動のほうが、よく見える場合が多いです。
裏ハムラ法、脱脂+脂肪注入 それぞれこんな方にオススメ
- 裏ハムラ法 凹み・膨らみが限定的で、20代〜40代前半の比較的若い方
- 脱脂 凹み・膨らみが広範囲に突出しており、40代後半~50代の方
脱脂・脂肪注入をしたくないなど、ご本人の希望がある場合もありますが、目の下の凹み・膨らみの状況に応じて、症状に合った手術のため、事前に医師によるカウンセリングが必要です。
施術事例・症例写真・エムズの手術法 ※他院修正も可能
エムズクリニックの裏ハムラ法について、経過・ビフォアアフターをご覧ください。
症例写真の通り、目の下の膨らみはなくなり、笑った時の涙袋が形成されました。経過は良い状態で、ご本人にも大変ご満足いただきました。
※「脂肪注入はやりたくない」との思いを反映し、裏ハムラ法(経結膜的眼窩脂肪移動術)による治療を行った事例です。
こちらの60代女性の施術事例については、以下、エムズクリニック目元専門サイト内の事例をご覧ください。
60代/女性 裏ハムラ(経結膜的眼窩脂肪移動術)行いました。
『皮膚を切るハムラ法と皮膚を切らない裏ハムラ法の違い』については、以下の記事もご覧ください。
目の下の重症度による違いや症状に応じて、どちらの治療法がオススメか、ご説明しております。
目の下のクマは皮膚を切らない裏ハムラ法/下瞼のたるみ取りはハムラ法で皮膚切除による治療
【自費診療】裏ハムラ法による手術 治療費・料金
裏ハムラ(経結膜的眼窩脂肪移動術) ¥495,000(税込)
※他院で治療後の他院修正手術も可能です
まとめ
- クマ・たるみ治療においては、ハムラ法・裏ハムラ法・脱脂・脂肪注入など各治療法を理解し、年齢や膨らみの状態に応じて、最適な治療法を選択しましょう。
- 目の下のたるみ改善治療に失敗しないためには、目元・特に裏ハムラ法の専門医・名医に相談されることをオススメします。
※当クリニックでは、東京を中心とした関東・関西からもご来院いただいています。