
鏡を見るたびに気になる目の下のクマやたるみ。すっきりとした若々しい目元を目指して「クマ取り治療(目の下の切らないたるみ取り・脂肪脱脂)」を検討される方、あるいはすでに治療を受けられた方は非常に多くいらっしゃいます。
しかし、インターネットやSNSでは「クマ取りをしたら目が凹んでしまった」「影ができて余計に老けて見える」といった不安な声を目にすることもあり、一歩を踏み出せない、あるいは施術後に強い不安を感じている方も少なくありません。30代から60代にかけては、肌の弾力や骨格の変化によって目の下の構造が大きく変わる時期であるため、施術の選択や仕上がりには特に繊細なコントロールが求められます。
もしクマ取り後に目の下の凹みが気になってしまっても、決して諦める必要はありません。適切な知識を持ち、ご自身の状態に合った修正治療を選ぶことで、健康的でふっくらとした理想の目元を根本から取り戻すことが可能です。
今回の記事では、クマ取り後に凹みができる原因や目立ちやすい人の特徴、そしてヒアルロン酸注入・脂肪注入・裏ハムラ法といった具体的な修正治療のポイントまで、分かりやすく徹底的に解説します。
クマ取り治療後に凹みができる主な原因

クマ取り治療、特に「経結膜脱脂術(けいけつまくだっしじゅつ)」の後に目の下が凹んでしまう現象には、明確な医学的理由があります。目の下の構造は非常に複雑であり、単に飛び出している脂肪を減らせば綺麗になるというわけではありません。
主な原因としては、以下の3点が挙げられます。
- 眼窩脂肪(がんかしぼう)の過剰な切除(取りすぎ)
目の下のふくらみの正体である眼窩脂肪を、ドクターが適切でない量まで多く取りすぎてしまうことが一番の原因です。ふくらみを完全に平らにしようとするあまり、本来あるべき自然なボリュームまで失われ、クレーターのように凹んでしまいます。
- 「ティアトラフ(涙の溝)」の存在を見落としている
目の下には、解剖学的に「ティアトラフ」と呼ばれる骨と皮膚が強く結合している溝(ライン)が存在します。ふくらみの下にあるこの溝の深さを考慮せずに脱脂だけを行うと、ふくらみは消えても溝の凹みが強調され、結果として目の下全体が大きく窪んだ印象になってしまいます。
- 皮膚のたるみ・シワの悪化
風船から空気を抜くと表面がシワシワになるのと同じように、脂肪がなくなることで目の下の皮膚が余り、凹みや細かいシワとなって現れます。特に年齢とともに皮膚のハリが低下している場合は、脂肪の減少がそのままダイレクトに「凹み」として見た目に影響します。
目の下のクマ取りは、ふくらみ(プラス)をゼロにするだけでなく、その下にある溝(マイナス)とのバランスを三次元的に計算して行わなければ、美しい仕上がりにはなりません。
クマ取りの失敗を防ぐ最大の鍵は、「事前の緻密なデザイン」にあります。単に脂肪を抜くだけでなく、座った状態や笑った顔など、あらゆる表情での目元の影の出方をシミュレーションしてくれる医師を選ぶことが大切です。
眼窩脂肪の取り残し・脱脂による脂肪取りは変わらない/意味ない?失敗画像と目の下のクマ取り再手術
クマ取りで凹みすぎる、凹みが目立つ人の特徴

同じようにクマ取り治療を受けても、驚くほど綺麗に仕上がる人がいる一方で、凹みが強く目立ってしまう人がいます。これは元の骨格や肌質、年齢による条件が大きく関係しています。
以下のような特徴を持つ方は、クマ取り後に凹みが出やすいため、事前の診断において特に注意が必要です。
- もともと頬の骨(頬骨)が平坦、または後退している方
目の下の土台となる骨のボリュームが少ない方は、脂肪を少し取っただけでも周囲との高低差が目立ちやすく、ガタガタとした凹みになりやすい傾向があります。
- 皮膚が薄く、色白な方
皮膚の厚みが薄い方は、内部の組織の形がそのまま表面に響いてしまいます。脂肪を取った後のわずかな凹凸や、奥にある筋肉・血管の色味が透けて影(黒クマ・紫クマ)になりやすい性質を持っています。
- 40代後半~60代で、肌の弾力(コラーゲン)が減少している方
年齢とともに皮膚の自己収縮力(縮む力)が弱まっているため、脂肪を取り除いた後に皮膚が綺麗にフィットせず、たるんで凹んだように見えてしまいます。
- 目の上の窪み(くぼみ目)が同時にある方
眼窩脂肪は目の上下でつながっているため、下の脂肪を取りすぎることで、上の脂肪がさらに奥へ引き込まれ、目元全体が上下ともに深く窪んでしまうことがあります。
これらに当てはまる場合は、事前のカウンセリングで「脱脂だけで本当に綺麗になるか」「脂肪注入などを併用すべきか」を専門医と十分に検討する必要があります。
自分の肌質や骨格の特徴を正しく把握することが、治療の満足度を左右します。「私は凹みやすいタイプかも」と感じる場合は、カウンセリング時にその不安をストレートに医師へ伝え、リスクをカバーする提案があるかを確認しましょう。
目の下のクマ取り後の凹み、修正治療で気をつけるポイント

万が一、クマ取り後に目の下が凹んでしまった場合でも、修正治療を行うことで美しい目元を取り戻せます。ただし、修正治療は初回の手術よりも難易度が高くなるため、以下の重要なポイントを意識して治療に臨む必要があります。
- 適切な「時期」を待ってから行う
術後すぐの凹みは、一時的な腫れや麻酔の影響、組織の拘縮(硬くなること)によるものである可能性があります。組織が完全に落ち着き、最終的な仕上がりが確定する「術後3〜6ヶ月」を待ってから修正を検討するのが鉄則です。
- 過剰な注入(入れすぎ)を避ける
凹みを埋めたい一心で、ヒアルロン酸や脂肪を一度にたくさん注入しすぎると、今度は不自然に膨らんだり、笑ったときに不自然な塊(しこり)に見えたりするトラブルを招きます。「やや控えめ」に注入し、必要に応じて追加していくアプローチが安全です。
- 目元全体の「なめらかな連続性」を意識する
修正のゴールは、凹みを平らにすることだけではありません。まつ毛のキワから涙袋、目の下、そして頬(チークライン)にかけて、段差のないなめらかな曲線(S字カーブ)を描くようにデザインすることが、最も自然で若々しい仕上がりにつながります。
修正治療を成功させるためには、解剖学を熟知し、修正手術の経験が豊富な「形成外科・美容外科の専門医」のもとで診察を受けることが不可欠です。
焦ってすぐに修正を繰り返すと、組織の癒着(ゆちゃく)が強くなり、かえって治しにくくなることがあります。まずは焦らずにしっかりとダウンタイムの経過を見守り、状態が定まってから次のステップへ進みましょう。
目の下の凹みは治る?凹みの修正治療
クマ取り後の目の下の凹みは、適切なアプローチを行えばしっかりと治すことができます。現在、美容外科・形成外科において広く行われている代表的な修正治療には、「ヒアルロン酸注入」「脂肪注入」「裏ハムラ法」の3つがあります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
ヒアルロン酸注入

ヒアルロン酸注入とは?
ヒアルロン酸注入は、気になる凹みの部分にゼリー状の製剤を注入し、内側からボリュームを補うことで段差をなくす、最も手軽な治療法です。
- メリット:
- 注射だけの治療なので、5〜10分程度で終わり、ダウンタイムが非常に短い。
- 万が一、仕上がりが気に入らない場合や左右差が出た場合でも、ヒアルロン酸溶解注射(ヒアルロニダーゼ)ですぐに元通りに溶かすことができるためリスクが低い。
- 注入直後からその場で効果を実感できる。
- デメリット:
- 時間とともに体内に吸収されるため、約半年〜2年ごとに定期的な再注入必要になる。
- 皮膚の薄い部位に浅く注入しすぎると、光の屈折で皮膚が青っぽく透けて見える「チンダル現象」が起こることがある。
- 繰り返しの注入によって、不自然に膨らんだ目元(いわゆるヒアルロン酸顔)になるリスクがある。
手軽に試してみたい方や、大がかりな手術を避けたい方に最適な治療法です。
脂肪注入

脂肪注入とは?
脂肪注入(微細脂肪注入、ナノリッチ、コンデンスリッチファットなど)は、ご自身の太ももやお腹などから採取した脂肪を加工し、目の下の凹みに細かく分散して注入する治療法です。
- メリット:
- ご自身の組織を使用するため、アレルギー反応の心配が一切なく、安全性が非常に高い。
- 注入した脂肪が一度組織に生着(定着)すれば、その効果は半永久的に持続する。
- 脂肪に含まれる幹細胞の効果により、目の下の皮膚のハリが改善し、小ジワや色クマ(青クマ・茶クマ)の改善効果も期待できる。
- デメリット:
- 脂肪を採取する部位(太ももなど)にも内出血や痛みなどのダウンタイムが発生する。
- 注入した脂肪のすべてが残るわけではなく、一部は吸収される(生着率は個人差がある)。
- 技術不足の医師が行うと、脂肪が1か所に固まってしまい、硬い「しこり」として残ってしまうリスクがある。
長期的かつ自然な若返り効果を求め、ご自身の脂肪を使うことに抵抗がない方に非常に人気のある方法です。
裏ハムラ法

裏ハムラ法とは?
裏ハムラ法(経結膜眼窩脂肪移動術)は、目の下の裏側(結膜)を小さく切開し、余っている脂肪を切り取って捨てるのではなく、凹んでいる部分(ティアトラフの溝)へ移動させて固定する高度な手術です。
- メリット:
- 異物や自分の脂肪を外から「注入」するわけではないため、しこりや不自然な膨らみができるリスクが極めて低い。
- 元々ある脂肪の配置を換えるだけなので、仕上がりが圧倒的に自然で、段差のない滑らかな目元が手に入る。
- 目の裏側からのアプローチであるため、皮膚の表面に傷跡が一切残らない。
- 効果は半永久的に持続する。
- デメリット:
- 一度目の手術(クマ取り)で脂肪が完全に取られすぎてしまっている場合、移動させるための脂肪が足りず、この手術が適応外となることがある。
- 非常に高度な解剖学的知識と手術テクニックが必要とされるため、執刀できる医師が限られる。
- 注入療法に比べて、腫れや内出血などのダウンタイムが1〜2週間程度と長くなる。
前回のクマ取りで「まだ少し脂肪の膨らみが残っているものの、その下が強く凹んでいる」という状態の方にとって、最も根本的かつ美しい解決策となる手術です。
どの治療法にも一長一短があります。大事なのは「今の目の下に、どれくらい脂肪と皮膚の余裕が残されているか」を医師に見極めてもらうことです。ご自身のライフスタイル(取れるお休みなど)とも照らし合わせて選択しましょう。
施術事例【40代/女性 他院脱脂後の目の下の凹みを脂肪注入により、ダウンタイムなしで修正】

過去に他院で「脱脂(経結膜的脂肪除去)」のみの施術を受けられたケースです。
一般的に、女性が脱脂のみを行うと多くのケースで目の下に「凹み」が生じてしまいます(男性の場合は、皮膚や脂肪の厚みの違いから凹みが目立たないこともあります)。
そのため当院では、女性に対して脱脂のみを行うことは滅多にありません。基本的には「脱脂+脂肪注入」をセットで行うか、あるいは脂肪を注入せずにクマを改善する「裏ハムラ法」をご提案しております。
今回の患者様は、他院での脱脂後に生じた目の下の凹みを気にされてご来院されました。施術前の写真(Before)をご覧いただくと分かるように、もともと涙袋がはっきりされている方なので、そのぶん目の下の凹みがより強調されてしまっています。


目の下の凹みを改善する選択肢
このような目の下の凹みを改善する選択肢としては、以下の2つが挙げられます。
しかし、当院ではのヒアルロン酸注入はおすすめしていません。
ヒアルロン酸注入をおすすめしない理由
理由としては、皮膚の薄い目の下にヒアルロン酸を注入すると、光の加減で青白く透けて見える「チンダル現象」が起こり、不自然な仕上がりになりやすいためです。やはり、こうしたケースではご自身の組織である「脂肪注入」が最適です。
施術後6ヶ月が経過した写真(After)では、非常にナチュラルで美しい仕上がりを維持されているのがお分かりいただけるかと思います。なお、脂肪注入の術後の状態が完全に定着し、安定するまでには最低でも6ヶ月を要します。
Dr.三沢
女性が脱脂のみを行うと凹みのリスクが高まるため、脂肪注入との併用や裏ハムラ法を検討することが大切です。
他院脱脂後の凹みを修正【目の下の脂肪注入】ダウンタイムなし
よくあるご質問
クマ取り後すぐの凹みはダウンタイムによる影響ですか?
術後1ヶ月未満の時期に見られる凹みや左右差は、かなりの確率でダウンタイムによる一時的な影響です。
手術の際には局所麻酔液を注入するため、その水分の影響や、術後の腫れが左右非対称に引いていくプロセスで、一時的に特定の部位が凹んで見えることがあります。
また、手術による内部の傷が治る過程で組織が一時的に硬くなる「拘縮(こうしゅく)」が起こり、皮膚が内側に引き込まれて凹みが強調されることも珍しくありません。
術後3ヶ月から6ヶ月が経過すると組織が本来の柔らかさを取り戻し、凹みが自然に馴染んで気にならなくなるケースが多いため、まずは焦らずに経過を見守ることが大切です。
脱脂で取りすぎた脂肪は再生することがありますか?
一度の目の下の切らないたるみ取り(脱脂術)によって取り除かれた眼窩脂肪が、後から自然に増えたり再生したりすることはありません。
脂肪細胞自体が完全に切除されているため、その場所のボリュームが自然に復活することはないと考えてください。
ただし、加齢に伴ってさらに周囲の骨が萎縮したり、目の奥にある残った脂肪が目の重みで前方に押し出されてきたりすることで、数年後に新たな脂肪の膨らみが現れることはあります。
しかし、すでに過剰に取られて凹んでしまった部分の脂肪が元に戻るわけではないため、見た目の凹みを改善するためには、やはり外部からの注入治療や組織の移動手術といった修正アプローチが必要となります。
クマ取り後、目の下の修正治療はどれくらい期間をあければいいですか?
原則として、前回のクマ取り手術から「少なくとも3ヶ月、できれば6ヶ月」の期間をあけてから修正治療を行うことを強く推奨します。
術後しばらくの間は、目の下の皮膚や筋肉、皮下組織が炎症を起こしており、内部で癒着や硬化が進んでいる状態です。
この不安定な時期にヒアルロン酸や脂肪を注入しても、正確な仕上がりの予測が立てにくく、かえって凹凸や不自然な仕上がりの原因になってしまいます。
また、裏ハムラ法のような再手術を行う場合も、組織が柔らかく落ち着いた状態になってからのほうが、安全かつ正確に手術を行うことができます。
焦る気持ちはよく分かりますが、急がば回れで組織の回復を待つのが最も確実な成功への道です。
凹みについて、注入療法とハムラ法、どのような基準で修正治療を選べばいいですか?
修正治療を選ぶ基準は、主に「前回の治療で脂肪がどれくらい残っているか」と「ご自身が許容できるダウンタイムの長さ」の2点です。
前回のクマ取りで脂肪がすっかり取り尽くされており、目の下が完全に削げたようになっている場合は、移動させる脂肪が存在しないため裏ハムラ法は行えず、ヒアルロン酸や脂肪注入といった「注入療法」が一択となります。
一方で、まだ目の下に少し膨らみが残っており、そのすぐ下が凹んで影になっているような場合は、裏ハムラ法が非常に良い適応となります。
また、お仕事などで長期間のお休みが取れず、即座に効果を出したい方はヒアルロン酸注入、多少のダウンタイムがあっても半永久的で自然な効果を維持したい方は脂肪注入や裏ハムラ法を選ぶと良いでしょう。
まとめ
目の下のクマ取り治療は、お顔の印象を劇的に明るく若々しく変えてくれる素晴らしい施術である一方、脱脂による脂肪の取りすぎや個人の骨格・肌質の変化によって、術後に「凹み」という形でトラブルが生じてしまうことがあります。鏡を見るたびに深くなる影に悩み、気分まで沈んでしまう方も少なくありません。
しかし、クマ取り後に凹みができる原因と改善方法を知って、適切に治したいという強い思いがあれば、必ず美しい目元を取り戻すことができます。現代の美容外科・形成外科には、手軽に修正できるヒアルロン酸注入から、定着すれば一生モノの効果となる脂肪注入、そしてご自身の組織を無駄なく活かす高度な裏ハムラ法まで、あらゆる状態に対応できる確実な選択肢が揃っています。
一番避けるべきなのは、不安のあまり一人で悩み続けたり、焦って不適切な治療を重ねたりすることです。まずはご自身の目元の状態を正確に診断できる、信頼できる専門医に相談することから始めてみませんか。あなたに寄り添った最適なアプローチが、きっと見つかるはずです。