
年齢を重ねるごとに気になってくる「目の下のクマやたるみ」。ふと鏡を見たときや、写真に写った自分の顔を見て、「なんだか疲れて見える」「急に老け込んだ気がする」とショックを受けた経験はありませんか?30代から60代にかけての女性にとって、目の下のエイジングサインは、メイクでは隠しきれない大きな悩みの一つです。
この悩みを根本的に解決する治療として、近年「目の下のクマ取り」を検討する方が非常に増えています。しかし、インターネットで情報を集めていると、多くの場合「脂肪吸引をして、目の下に脂肪を注入する施術」がセットで提案されており、不安を感じる方も少なくありません。
- 「目の下のクマを取りたいだけなのに、足やお腹から脂肪を取るなんて大がかりで怖い…」
- 「脂肪注入を追加すると、費用が跳ね上がって予算オーバーになってしまう…」
- 「脂肪を入れすぎて、目の下がしこりになったりボコボコしたりしないか心配…」
このように、脂肪注入というステップに対して精神的・身体的・金銭的なハードルを感じている方はとても多いのが実情です。
結論から申し上げますと、目の下のクマやたるみは、必ずしも脂肪注入を行わなければ治らないわけではありません。
お顔の構造やクマの原因を正しく見極め、適切な手術を選択すれば、「脂肪注入なし」でも劇的に、そして自然に若々しい目元を取り戻すことが可能です。特に「裏ハムラ法」という術式は、脂肪注入を行わずにクマやたるみを解消するための非常に有力な選択肢となります。
今回の記事では、脂肪注入をしないクマ取りのメカニズムや、裏ハムラ法がなぜ脂肪注入なしで効果を出せるのか、その理由を徹底的に解説します。あなたが自分に最も適した、納得のいく治療法を見つけるための参考にしていただければ幸いです。
目の下のクマ治療は、「他人がこの方法で綺麗になったから」といって自分にも合うとは限りません。まずは脂肪注入が本当に必要なのか、それとも不要なのか、正しい知識を身につけることから始めましょう。
目の下のクマ取りとは?脂肪注入とは?その違い
目の下のクマ治療を正しく理解するためには、まず「クマ取り(主に経結膜脱脂術)」と「脂肪注入」という2つのアプローチが、それぞれどのような目的で行われるのか、そしてその違いは何なのかを知る必要があります。これらはまったく異なる目的を持った施術です。
目の下のクマ取り(経結膜脱脂術など)とは

目の下のクマ取り(経結膜脱脂術など)とは
目の下のクマ取り(一般的に広く知られているのは「脱脂(だっし)」と呼ばれる手術です)は、「引き算」の治療です。
年齢とともに目の下の脂肪(眼窩脂肪:がんかしぼう)を支えている膜が緩むと、脂肪が前方へと押し出されてきます。これが「目袋(めぶくろ)」と呼ばれるぷっくりとした膨らみであり、その下に影を作ることで「黒クマ(影クマ)」の原因になります。
- 目的: 目の下の老けて見える「膨らみ(突起)」をなくすこと
- アプローチ: まぶたの裏側(結膜)を数ミリ切開し、余分な眼窩脂肪を適量摘出する
- 効果: 膨らみが平らになり、突出による影が消える
脂肪注入とは

脂肪注入とは
一方で、脂肪注入(リポフィリング)は、「足し算」の治療です。
太ももや二の腕、お腹など、ご自身の体から余分な脂肪を注射器で吸引し、遠心分離機などにかけて不純物を除去した上で、目の下の凹んでいる部分に細かく注入していく施術です。
- 目的: 目の下の「凹み(溝)」や、年齢とともに痩せてしまったボリュームを補うこと
- アプローチ: 太もも等から脂肪を採取し、目の下の骨のキワ(ふくらみの下にある溝)に注入する
- 効果: 凹みがなだらかになり、皮膚の薄さによる青クマや赤クマの色味を内側からカモフラージュする
クマ取りと脂肪注入の決定的な違い
この2つの施術の決定的な違いは、「アプローチの方向性」と「ターゲットとなる原因」にあります。
わかりやすく整理すると、以下のような違いがあります。
- 治療の概念の違い: クマ取りは出っ張りを減らす「引き算」、脂肪注入は窪みを埋める「足し算」です。
- アプローチする対象の違い: クマ取りは「眼窩脂肪(がんかしぼう)」という目元の脂肪を操作します。脂肪注入は「皮下脂肪(ひかしぼう)」の層に体から採った脂肪を足します。
- ダウンタイムの範囲の違い: クマ取りは目元だけの施術で完結します。脂肪注入を行う場合は、目元だけでなく「脂肪を採取した部位(太ももなど)」にも筋肉痛のような痛みや内出血が生じます。
多くの美容クリニックでは、膨らみ(引き算)と凹み(足し算)を同時に行うことで、目の下を完全にフラットにする「脱脂+脂肪注入」をセットで提案しています。しかし、これはあくまで一つの手法に過ぎず、必ずセットで受けなければならないというわけではありません。
クマ取りは「膨らみを平らにする」、脂肪注入は「凹みをふっくらさせる」という真逆の作用を持っています。ご自身の目の下が「膨らんでいるのか」「凹んでいるのか」、あるいは「その両方なのか」を正しく把握することが大切です。
目の下のクマ取りは脱脂のみ、脂肪注入なしで成功するか

「脂肪注入をせずに、目の下の脱脂(脂肪を抜くこと)だけでクマ取りは成功するのか?」という疑問に対して、専門医として明確にお答えします。
条件が揃っていれば、脱脂のみ(脂肪注入なし)でも十分に成功します。ただし、適応を見誤ると「かえって老けて見える」という失敗につながるリスクがあります。
脱脂のみで綺麗に仕上がる人と、そうではない人の違いを分かりやすく紐解いていきましょう。
脱脂のみ(脂肪注入なし)で成功する人の条件
脱脂だけで非常に美しい仕上がりになり、脂肪注入がまったく不要な方には、以下のようなはっきりとした特徴があります。
- 肌のハリや弾力がしっかり残っている(主に20代〜30代前半): 脂肪を抜いた後、風船がしぼむように皮膚が自然に縮んでフィットしてくれるため、たるみが残りません。
- 目の下の「凹み(骨のキワの溝)」が浅い: 純粋に脂肪の「膨らみ」だけが原因でクマになっている場合、その膨らみを取り除くだけで目の下がフラットになります。
- 皮膚が比較的厚い: 皮膚に適度な厚みがあれば、脂肪を抜いた後に下の血管や筋肉が透けて見える(青クマ・赤クマが目立つ)心配がありません。
このような条件を満たしている場合、脱脂のみを行うことで、劇的にすっきりとした明るい目元を手に入れることができます。
脱脂のみで行った場合の失敗・リスク
逆に、40代以降で皮膚のたるみがあり、もともと目の下の溝(凹み)が深い方が「脱脂のみ(脂肪注入なし)」を行ってしまうと、以下のようなトラブルが生じる原因になります。
- 目の下が余計に凹んで影が深くなる: 膨らみは消えたものの、その下にあった凹みが強調され、目元全体が骸骨(がいこつ)のように窪んでしまい、余計に老けて見えたり、疲れて見えたりすることがあります。
- 皮膚のシワ・たるみが悪化する: 中身(脂肪)が抜けたことで、伸びていた皮膚が余ってしまい、細かいちりめんジワや、皮膚のよれによる新たなたるみが発生します。
- 色クマ(青クマ・赤クマ)が目立つようになる: 脂肪というクッションがなくなることで、皮膚のすぐ下にある眼輪筋(がんりんきん)という筋肉や血管が透けやすくなり、目元の色味が暗くなることがあります。
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なぜ脱脂のみだと限界があるのか
脱脂という手術は、あくまで「出っ張っているものを減らす」ことしかできません。
人間の顔は、老化に伴って骨が萎縮し、皮膚や皮下脂肪が下垂するため、目の下の骨のキワは自然と「凹んでいく」運命にあります。脱脂だけでは、この「加齢による凹みやたるみ」に対応することができないため、年齢を重ねた目元に対して脱脂のみで押し通そうとすると、仕上がりに限界が来たり、かえって不自然な結果になったりするのです。
そのため、脂肪を減らすと同時に、凹んでいる部分をどうにかして「平らに持ち上げる」必要性が出てきます。その持ち上げる手段として、多くのクリニックが「脂肪注入」を組み合わせているのです。
30代後半以降で、「脂肪注入はしたくないけれど、脱脂だけで済ませたい」と考えている方は注意が必要です。凹みやシワが悪化するリスクがないか、事前のカウンセリングで医師に見極めてもらいましょう。
脂肪注入なしで行う表ハムラ法・裏ハムラ法
「脱脂だけだと目の下が凹むリスクがある。でも、体から脂肪を吸引して注入する脂肪注入はどうしても避けたい…」
そんな方に向けた画期的な解決策となるのが、「ハムラ法(脂肪移動術)」と呼ばれる手術方法です。この方法であれば、外部から脂肪を持ってくる(脂肪注入する)ことなく、目元の中にあるものだけで膨らみと凹みを同時に解決できます。
ハムラ法には、皮膚の表面を切開する「表(おもて)ハムラ法」と、まぶたの裏側を切開する「裏(うら)ハムラ法」の2種類があります。それぞれの特徴と違いを解説します。
表ハムラ法(皮膚切開を伴うハムラ法)

表ハムラ法は、まつ毛のすぐ下の皮膚を切開して行うアプローチです。
- メカニズム: まつ毛の下を切開し、目袋の原因である「眼窩脂肪」を、そのすぐ下にある凹みの溝(涙溝)に移動させて固定します。同時に、伸びて余ってしまった「皮膚」を適量切り取って引き上げて縫合します。
- メリット: 脂肪の移動だけでなく、余った皮膚たるみも直接切り取ることができるため、皮膚の伸びが大きい50代〜60代以降の方や、深いシワがある方に絶大な効果を発揮します。
- デメリット: 皮膚の表面を切開するため、術後しばらくは赤みのある傷跡が残ります(数ヶ月で白い一本の線になり、ほとんど目立たなくなります)。また、裏ハムラ法に比べて、外反(あっかんべーの状態になること)のリスクがわずかにあります。
裏ハムラ法(経結膜ハムラ法)

裏ハムラ法は、表ハムラ法のメリットを活かしつつ、傷跡を表面に出さないように進化したアプローチです。
- メカニズム: まぶたの裏側(結膜)を少しだけ切開し、そこから器具を入れて、出っ張っている眼窩脂肪を、下方の凹んでいる溝へ移動(再配置)させて固定します。
- メリット: 皮膚の表面を一切傷つけないため、顔に傷跡が残る心配がまったくありません。また、皮膚の組織を大きく傷つけないため、表ハムラ法に比べて腫れや内出血などのダウンタイムが短く、ナチュラルに仕上がります。
- デメリット: 皮膚を直接切り取ることができないため、皮膚そのものが風船のように極端に伸びきってしまっている場合は、脂肪を移動させてもシワが残してしまうことがあります。
表ハムラ法と裏ハムラ法の比較
どちらの方法も「脂肪注入なし」でクマを治療できるという点では共通していますが、適応となる状態が異なります。
このように、ハムラ法を選択すれば、表・裏どちらであっても「他部位からの脂肪吸引」や「人工物の注入」を行う必要がありません。自分の目元にある脂肪を有効活用して、フラットで美しい目元を作ることができるのです。
ハムラ法は、自分の目元の脂肪を凹みに「引越し」させる高度な手術です。皮膚のたるみがそこまで強くなく、傷跡を作りたくないという30代〜50代の方には、まず「裏ハムラ法」が第一選択肢として非常におすすめです。
裏ハムラ法のみ脂肪注入なしで目の下のクマたるみが解消できる理由

数あるクマ取り治療の中で、なぜ「裏ハムラ法」だけは、脂肪注入をしなくても目の下のクマやたるみを綺麗に解消できるのでしょうか。
その理由は、裏ハムラ法が持つ独自の「脂肪再配置(再ポジショニング)」というメカニズムにあります。この治療が脂肪注入なしで成立する明確な根拠を、3つのステップに分けて解説します。
1. 自分の脂肪を捨てるのではなく「移動」させるから
通常の脱脂手術では、目の下の膨らみの原因である眼窩脂肪を切り取って「捨てて」しまいます。そのため、その下にある凹みを埋めるために、太ももなどから別の脂肪を採って注入しなければなりませんでした。
しかし裏ハムラ法は、脂肪を一切捨てません。
- 膨らみの部分(余剰パーツ): 出っ張っている脂肪を、削るのではなく根元から動かせる状態にします。
- 凹みの部分(不足パーツ): 骨と皮膚が癒着して溝になっている部分を剥離し、スペースを作ります。
- 再配置: 出っ張っていた脂肪を、そのまま真下にある凹みの溝へと滑り込ませるように移動させます。
つまり、「目元の出っ張りを減らしながら、同時にその脂肪で凹みを埋める」という一石二鳥の処置を一つの傷口(まぶたの裏)だけで完結させているため、外部から脂肪を補給する必要がそもそもないのです。
2. 目の下の「段差」を根本からフラットにできるから
目の下のクマが老けて見える本質的な原因は、脂肪の量そのものよりも、膨らみと凹みが隣り合うことで生まれる「影(段差)」にあります。
裏ハムラ法では、脂肪を移動させる際に、凹みの原因となっている「チーククランプ(骨と皮膚を結びつけている硬い靭帯)」を丁寧に外します。
- 靭帯を外すことで、凹んで強く引き込まれていた皮膚がフワッと解放されます。
- その解放されて平らになったスペースに、上から移動してきた脂肪を敷き詰めます。
これにより、高低差のあった目の下の地盤そのものがなだらかな平野のようになり、影が消え去ります。脂肪を「盛る」のではなく、「段差をなくして平らにする」アプローチだからこそ、脂肪注入が不要なのです。
3. 生きている組織(血流がある脂肪)を移動させるから
脂肪注入の場合、注入された脂肪は一度体から切り離されたものであるため、目の下に定着するかどうかは個人の「生着率(せいちゃくりつ)」に左右されます。一般的に、注入した脂肪の数割は体内に吸収されて消えてしまうため、医師はそれを予測して多めに入れたり、小まめな調整が必要だったりします。また、定着しなかった脂肪が「しこり」になるリスクもゼロではありません。
一方で、裏ハムラ法で移動させる眼窩脂肪は、体(血管)とつながった状態のまま移動させます。
- 血流が保たれているため、移動した先で脂肪が壊死したり、吸収されて減ってしまったりすることがほとんどありません。
- 狙った場所に、狙ったボリュームを確実に残すことができます。
- 術後のボリューム変化が予測しやすく、長期的に安定した効果が持続します。
このように、裏ハムラ法は「自分の天然の良質な脂肪クッション」をそのままスライドさせる術式であるため、脂肪注入なしでも、不自然な凹凸を作ることなく、滑らかで若々しい目元を長期にわたって維持することができるのです。
裏ハムラ法は、目元の「自家組織」を最大限に活かした合理的でエコな手術です。余計な脂肪を体から取らないからこそ、お身体への負担も最小限に抑えることができます。
施術事例【60代 女性に裏ハムラ法で目の下のクマたるみを改善】

年齢を考慮すると、本来であれば「表ハムラ法」が適応となるケースですが、患者様のご要望(ダウンタイムの許容度)や、お肌の状態(皮膚の伸び具合)などを総合的に判断し、今回は「裏ハムラ法」を選択しました。
こちらの方のように皮膚の収縮力が良好な場合、術後に目の下のシワが目立つことはありません。ただし、これはすべての方に当てはまるわけではなく、効果には個人差があります。
術前のお肌の状態からある程度の予測は可能ですが、年齢とともに目の下の膨らみが解消されると、それまで膨らみによって引き伸ばされていた皮膚が、自然と緩んでしまうのが一般的です。しかし今回のケースでは、皮膚の緩みがあまり出ず、きれいに引き締まる(皮膚の戻りが良い)だろうと予測できました。
このように、年齢だけで一概に「裏ハムラ法は適さない」「表ハムラ法しか選べない」とは言い切れないケースも存在します。


裏ハムラ法による眼窩脂肪の移動は、主に「内側」と「中央」の区画が対象となり、「外側」は対象外となります。
そのため、外側の膨らみに対しては「脱脂術」を併用する必要があります。裏ハムラ法と外側区画の脱脂術を同時に行うことも可能ですが、今回のケースでは同日の施術は見送りました。術後1ヶ月が経過した段階で、患者様が外側の膨らみを「やはり気になる」と希望されたため、後日改めて外側区画の脱脂術を行うことになりました。
Dr.三沢
こちらは60代女性の施術事例ですが、脂肪注入は行わず、裏ハムラ法と脱脂術のみでしっかりと改善したケースとなります。
【裏ハムラ法を60代の方に】ダウンタイムと皮膚の伸張度を考慮して目の下のクマたるみを改善
よくあるご質問
脂肪注入なしで目の下のクマ取りがうまくいく人の特徴はありますか?
脂肪注入を行わずに目の下のクマ取りが綺麗に成功する方には、いくつかの明確な身体的特徴があります。
まず最も重要なのは、目の下の皮膚の「たるみ(余り)」が強すぎないことです。脂肪を取り除いたり移動させたりした後に、皮膚が元に戻ろうとする力(収縮力)がしっかりと残っている30代から40代、あるいは50代でも肌のハリが保たれている方は、脂肪注入なしでも非常に美しく仕上がります。
次に、目の下の骨のキワにある凹みの溝が、もともとそれほど深くないことです。クマ原因が「脂肪の膨らみによる影」だけであれば、純粋な脱脂のみ、あるいはマイルドな裏ハムラ法だけで段差が完全に解消されるため、脂肪を足す必要性がまったくありません。
さらに、皮膚自体に適度な厚みがあり、色白すぎないことも有利な特徴です。皮膚が厚ければ、中の脂肪を操作しても、術後に筋肉や血管が透けて青っぽく見えるリスクが低く、健康的な目元の色味をキープすることができます。
脱脂ではなく、裏ハムラ法であれば脂肪注入なしでクマを改善できると思っていいですか?
基本的にはその認識で間違いありません。裏ハムラ法という術式そのものが、「外部からの脂肪注入を行わずに、目元をフラットにする」ために考案された優れた方法だからです。脱脂(脂肪を抜くだけ)の場合は、凹みが強い方に単独で行うとさらに窪みが悪化してしまうため脂肪注入を併用せざるを得ないケースが多いですが、裏ハムラ法であれば、出っ張っている脂肪を凹んでいる溝へ引越しさせるため、一つの手術だけで膨らみと凹みの両方を同時にケアできます。
ただし、どんなケースでも100%脂肪注入が不要と言い切れるわけではありません。例えば、移動させるための目の下の脂肪(眼窩脂肪)の量がもともと極端に少ない方や、凹んでいる範囲が目元を越えて頬の中央(ゴルゴライン)まで広範囲に深く刻まれている方の場合は、裏ハムラ法で脂肪を移動させたとしても、全体のボリュームを補いきれないことがあります。そのような特殊なケースに限っては、裏ハムラ法を行った上で、さらに足りない部分にわずかな脂肪注入やヒアルロン酸注入を併用した方が、より理想的な仕上がりになることもあります。
裏ハムラ法の術後、将来、頬がこけてきたら脂肪注入が必要となることはありますか?
裏ハムラ法を受けたからといって、それが原因で将来的に頬がこけやすくなるということはありません。裏ハムラ法は目の下の脂肪の配置を適正化するだけですので、手術自体のせいで老化が加速することはないのでご安心ください。
しかし、人間は誰しも年齢を重ねるにつれて、顔全体の皮下脂肪が減少していきます。特に40代、50代、60代と進むにつれて、目の下から頬(チーク中央)にかけてのボリュームが自然と減少していくため、これは手術の成否に関わらず、加齢現象として「頬のこけ」や「お顔の痩せ」を感じるようになる可能性は十分にあります。
もしも裏ハムラ法の術後、何年も経ってから周囲の脂肪が減ってこけてきたと感じた場合には、その時点で初めて、お顔全体の若返りメンテナンスとして脂肪注入やヒアルロン酸注入を検討されると良いでしょう。裏ハムラ法を行った目元のベース自体はしっかりと維持されていますので、その後のエイジングケアも非常にスムーズに行うことができます。
裏ハムラ法・脂肪注入、それぞれのダウンタイムはどれくらいですか?
裏ハムラ法と脂肪注入を伴う治療では、ダウンタイムの期間や症状の出方にいくつかの違いがあります。
まず、皮膚の表面を切開しない裏ハムラ法の場合、主な症状は目元の「腫れ」と「内出血」です。腫れのピークは術後2日から3日程度で、約1週間かけて徐々に落ち着いていきます。内出血が出た場合は、最初は紫色っぽくなりますが、1週間から10日前後で黄色に変化し、メイクで完全に隠せる程度に消えていきます。術後3日ほど経過すればお仕事や日常生活に復帰される方が多いですが、目元が完全に馴染んで自然な完成形になるまでには約1ヶ月から3ヶ月を要します。
一方、脱脂に加えて脂肪注入を行った場合のダウンタイムは、アプローチする部位が2箇所になるため、その分だけ負担が増えます。目元の腫れや内出血の程度は裏ハムラ法と同等か、注入した脂肪の量によっては一時的に目の下が少し強めに膨らむことがあります。それに加えて、脂肪を採取した部位(太ももやお腹など)に、約1週間から2週間ほど筋肉痛のような痛みや内出血が生じます。歩行などの日常生活は翌日から可能ですが、採取部位をサポーターなどで数日間固定する必要があるなど、体全体としてのダウンタイムの拘束感やケアの手間は、脂肪注入を伴う治療の方が大きくなります。
【裏ハムラ法のダウンタイム】手術直後から30日の経過/軽度(短い)・中等度・重度(長い)症例写真
まとめ
目の下のクマやたるみは、お顔全体の印象を大きく左右する重要なポイントです。これを解消するための治療として、現在多くの情報が飛び交っていますが、「クマ取りには必ず脂肪注入をセットでしなければならない」というわけでは決してありません。
これまでお伝えしてきた通り、治療の選択肢は多岐にわたります。
- 脱脂のみ(脂肪注入なし): 20代〜30代前半で、皮膚のハリがあり、純粋に脂肪の膨らみだけが原因の方に適しています。
- 裏ハムラ法(脂肪注入なし): 30代〜50代で、脂肪の膨らみとその下の凹みの両方があり、体に傷跡を残さず、かつ他部位からの脂肪吸引を避けたい方に最適です。
- 表ハムラ法(脂肪注入なし): 50代以降で、脂肪の突出に加えて、皮膚そのもののたるみや深いシワを直接切り取ってリフトアップしたい方に適しています。
このように、あなた自身の「皮膚のたるみ具合」「脂肪の量」「骨格の凹み方」を専門医が正しく診断すれば、脂肪を移植することなく、ご自身の目元にある組織だけで、劇的かつ自然に若い頃の目元を再現することができます。脂肪注入に対する恐怖心や費用の面で一歩踏み出せなかった方も、諦める必要はありません。
大切なのは、広告のセットメニューに惑わされることなく、「自分の目元の状態に対して、本当に裏ハムラ法などの脂肪注入なしの術式が適応するかどうか」を見極めることです。信頼できる形成外科・美容外科の専門医によるカウンセリングを受け、それぞれの術式のメリット・デメリットを正しく理解した上で、ご自身が最も納得できる、あなただけのオーダーメイドなクマ取り治療を見つけていきましょう。