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この施術に関して
二重、眼瞼下垂症手術など表側の皮膚を切って治療をした既往のある方が下垂症状を呈したとき、まぶたの裏側より行う『Muller筋タッキング法』は時には有効な場合があります。しかし、今回のような表側より行った治療がMuller筋タッキングの場合、改善が見込めない場合があります。そういったケースでは従来通り再度表側よりアプローチをして癒着や障害(今回の場合糸など)を解除して挙筋腱膜を固定する方が良い方法だと考えます。
改善し、左右のバランスがほぼとれたと思います。
次に、この結果が出るまでの治療プロセスで経皮的=皮膚を切る眼瞼下垂症手術を行ったわけですが、それに関してこれから詳しく説明したいと思います。
*一連の流れに関しては下の『術後の経過』をご覧ください。
表側の皮膚を切るとラインは、前回の手術で行なった皮膚切開線を利用して行います。
挙筋腱膜を持ち上げるとMuller筋(ミューラー筋)が見えます。そこに三箇所の糸を見つけました。前回の手術はMuller筋タッキング法だったということが分かりました。
糸は取り除き、挙筋腱膜を前転し三箇所でしっかりと固定し直しました。Muller筋の糸を外すと左まぶたは完全に下垂して、大きく見開いても力は伝わらず目を開らけない状態です。そして、挙筋腱膜固定をすることでまぶたが上がり、すわった状態でも黒目の大きさがほぼ同じでした。
今回、このケースを経験して分かったことですが・・・、
このケースにおける初回手術は他院での施行なのでどういった術式で行われたのか?術前に知ることは不可能でした。
結果的に、初回手術:Muller筋タッキング法でした。この術式を用いる方は確かに形成・美容外科医の中でも存在します。
挙筋前転(腱膜固定)法が良いのか?Muller筋タッキング法が良いのか??まだ決着がついていない状況です。
しかし、
このケースを通じて一つ言えるのは、一度Muller筋タッキングが行われているケースでは二度同じ手法を使っても一時的な改善は見込めるものの、長期成績は良くないことです。
切るor切らないの術式において、それぞれ一長一短があるので一概にどれがベストである!というのが言えない現状です。
その方のまぶたの状態や諸事情(ライフスタイルなど)を総合的に判断して術式を選択されるのが現状で言える適した方法なのでは?と思う次第です。
術後の経過
治療前
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切らない眼瞼下垂(手術前)
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切らない眼瞼下垂(手術中)
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切らない眼瞼下垂(術後1週間)
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切らない眼瞼下垂(術後3ヶ月)
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二重切開+挙筋前転付加(手術前)
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二重切開+挙筋前転付加(手術中)
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取れた糸
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二重切開+挙筋前転付加(術直後)
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二重切開+挙筋前転付加(術後1週間)
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二重切開+挙筋前転付加(術後1ヶ月)
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今回ご紹介する方は、
30代 女性
眼瞼下垂症手術を他院で3年前に施行されたことがある方です。左目の片目だけが再発した?ということでご来院されました。
左目、すべてに当てはまります。
⇩治療前後の比較です。いかがでしょうか?